コロナ患者には心苦しくはないのか

21/05/13

3回目の緊急事態宣言

2021年5月12日夜、緊急事態宣言が延長された。その際、菅首相は「”宣言”延長は心苦しいが国民の皆さんの協力をお願いする」と述べた。たしかに日々手洗いうがいそして3密を避けよ、さらに不要不急の外出自粛と国民の日常生活に大きな影響を与える政策なのだから、「心苦しい」という言い訳はよく分かる。特に酒類を提供する店舗などの業者、あるいは観光業などに携わる方々には、経済的な面での大きな痛手であろう。その面では不十分ながらも補償金、支援金なども用意されてはいる。

5月12日には、新規感染者7057人、死者106人、重症者1189人にのぼり、入院中や療養中の人は67255人と発表されている。そして医療崩壊は全国規模にまで広がり、コロナ患者以外の患者にも医療を受けられないという危機が現実であると指摘する医療関係者も報道で知った。コロナ感染拡大は、既に個人のレベルを越え、国家的災害と言えよう。

しかし、菅首相の発言からは、コロナ感染者への思いやりの欠片すらも感じられなかった。祖父、祖母、親兄弟をいきなりコロナで亡くした者へ、あるいは感染の後遺症に苦しむ者への”心苦しさ”がわずかでも感じられるならばと思う。