特別寄稿・・・土とは何か
《有機無農薬栽培の米作りをしている松下明弘さんに「土」を語って頂きました》


「土とは何か」そう問われて即答できる人は少ないと思う。
土なんか水や空気と同じで、あって当たり前のものであり、土が無い状態など想像
すらできないものである。
 ”米作りは土作り”とよく言われているが、肝心の土が分からないのに、どうし
て土が作れるのであろうか。
 土は、けっして岩石や溶岩が細かく砕けただけのものでなく、動植物が地球に誕
生して以来数億年かけて出来上がってきたのである。数億年の間に、多くの動植物
が生まれては死にその個体を微生物が分解し、限りなく分解されたものが他の多く
の物質と混ざり地表に堆積してきたものである。
土とは、そのほとんどが無機物であり、土が直接植物の栄養になるわけでなく、微
生物をはじめ、多くの小動物の生活の場であり、住みかである。それらの生き物が
有機物を分解し肥料分となり、土に溶け込み蓄積されているのである。より蓄積さ
れた状態の土を我々は良い土と呼び、微生物の活動が盛んな土を健康な土と呼んで
いる。微生物なくして土は語れず、その複雑で微妙なバランスが土の命であり、微
生物の活動を必要としない化学肥料は、微生物を養わずミネラルも微量要素も生成
しない。つまりは、土がどぶ臭く死んだ状態であり、植物の健康を保証してくれる
状態ではない。
 なぜ、川の土手や山の雑草はあれほど健康に生長しているのであろうか。無肥料
無農薬、不耕起、無除草、つまり人間が手を出さないのが最も健康なのである。単
一の植物を大量に栽培するにも、見習うべきは土手や山の植物の生態である。稲作
もこの状態に近づけることにより、丈夫で悪天候にも負けない稲が育つはずである
 土を作るのに、大量の有機物を投入すれば良いのではなく、栽培する稲にとって
バランスの良い肥料を考え、投入した有機物はまず微生物の餌であり、住みかであ
ると認識し、人間のエゴと勝手をたんぼに押しつけてはいけない。あくまでも自然
の理にかなって行なうべきであり、膨大な時間と愛情の結晶が良き土となるべきで
ある。

松下明弘さん 農業人
 1963年生まれ。青年海外協力隊としてアフリカに。現地の生活に触れて、
 人は土に生かされていると感じたことが米作りの考え方の基礎に。不耕起無
 農薬有機で山田錦を栽培。

※もっと話を聞きたい、米作りの現場を見たい、そんな方はメールで連絡下さい。
時間があればいつでもお話をしてくれるということです。

norizuki@mug.biglobe.ne.jp


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