運動してみませんか? 

 

ダイエットの目的、生活習慣病(成人病)が心配だから、などの理由で自分もそろそろ運動を始めようか?と思っている方はこのページを参考にして下さい。解らない点があったらメールして下さい。私が解る範囲でお答えしたいと思います。

 

メニュー
T)まずはその前に、準備から

U)知っておいて損はない話

V)水分と食事と運動

W)運動の強さは?
X)運動の時間はどのくらい?
Y)運動の前と後の軽い運動(ウオームアップとクールダウン)
Z)シルバー世代の運動

 T)まずはその前に、準備から

自分もそろそろ運動を始めようかな?と思っている方へ。

先ずはその前の準備をしてください。運動を始める位のことで大げさかもしれませんが、きっと役立ちます。

 

 1 運動する前の今の生活は?

一週間ほど自分の生活を振り返ってみてください。

・何時に起きて何時に寝ますか?

・食事の時間は不規則だったり、朝食を抜いていませんか?

・食事の量やバランスは良いでしょうか?

・体重や体温はどのくらいあるのでしょう

・血圧異常や不整脈(脈のリズムの乱れ)、狭心症(数分間続く胸痛)などの心臓病はありませんか

・血糖や中性脂肪、コレステロール値に問題がないでしょうか?

・その他、気になる病気がないですか?

メディカルチェックを受けて、専門的な判断は医師に相談して下さいね。
運動で改善する病気もあるんです。

 2 脈の測り方

脈を自分で測ってみましょう。運動中に1分間の脈拍数を自分でチェックできるということはとても良い事です。

※脈拍の正しい測り方があります。

通常の右利きの人は腕時計を左手につけます。
右手の脈を左手で時計(秒針付き)を見ながら測ります。
この時、右手の手首関節の少し手前の親指側に脈を触れます。
左手の人差し指、中指、の2本(又は薬指を加えて3本)でこの脈を触れてください。この時に2本(3本)の指を揃えるのがコツです。
10秒間、腕時計で時間を測ってみましょう。
そして脈に合わせて“0、1、2、3、・・・”と“0”から数えます
その10秒間の値を6倍すれば、それがあなたの1分間の脈拍数です。
(例えば10秒間の脈拍数が10だったら60、13だったら78、15だったら90ですね)

慣れたら10秒ではなく5秒でも良いですし、15秒や20秒で測っても良いです。測る時間が長いほど正確ですが、面倒ですね。運動中はあなたの隣にお医者さんはいませんので、自分である程度は自分の状態を管理できた方が良いのです。

 3 体重を測りましょう

減量目的の人はもちろん、その他の人も体重を測りましょう。

体重の日内の変動はどのくらいあるか?

一定のコンディションで、例えば朝起床時の排尿後、夕食前、入浴前、就寝前などで体重は変わります。一体どのくらい変わるのか知っておいてください。実際に運動を開始したらコンディションを同じにして、1日2回位は測った方がよいようです。
正確な体重計がある事が理想ですね。

 4 血圧もついでに測っては?

最近、高血圧のコントロールの指標として、自宅での血圧が使われるようになりました。血圧計をもっている方は、体重と同じように1日数回、血圧を測ってみましょう。けっこう日内変動があります。
血圧が高め又は低めの方は運動しない方が良いこともありますのでかかりつけ医に相談してください。

実際に運動を開始したら、運動の前後はもちろん1日何回も測って下さい。自己管理は良い事ですし、 軽〜中等症の高血圧は運動により血圧が下がるとされています。

 5 記録を付けるノートの準備

上に書いたような体重や血圧を運動開始前に1〜2週間記録してみてください。ノートでなくてもパソコンでも家計簿でも何でも良いです。運動を開始すると励みになりますし、実際的には運動量の調節にも必ず役に立ちます。運動の効果で自分がどのように変わったかが判ればよいのです。
食事や間食の記録も、特に糖尿病や高脂血症の方、ダイエットを目指す方は記録してください。
「運動が辛かった、楽だった」や、「その日の体調が良かった、悪かった」なども記録項目に加えると後々に運動量の調節なんかに参考になる事が多いです。

ついでに奥さん(或いは旦那さん)の誕生日なども記入した方が良いかも・・・・。

 6 服装について

スポーツの種類によって服装が違いますね。水泳では水着、剣道なら剣道着です。ジョギングやウォーキングは交通事故に遭わないように少し派手で目立つ方が良いでしょう。先ずは服装から若返るつもりでいてくださいね。

ここでポイントですが、運動すると汗をたくさんかきますので、動きやすいのはもちろんですが、汗をよく吸う材質の服装がいいですね。そして、吸収した汗をいつまでも保持しない、つまりすぐに乾く材質がお勧めです。綿のTシャツなどの汗はよく吸うが乾きが悪い材質の服は、風にあたると夏でも寒さを感じます。

 

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 U)知っておいて損はない話

運動の目的は?

なぜ運動を始める気になったのでしょうか?ダイエット?、健康維持?、体力増強?いろいろ有ると思いますが目的を持つ事が大切です。自分に合った(好きな)運動を探しましょうウォーキングが流行っていますね。これはよい運動です。運動にかける費用も剣道やサイクリング、テニスより安くて済みますし何処でも何時でも出来ますね。ただし、歩く事が嫌いな人もいるはずです。自分に合う運動は何かを考えてください。付き合いで運動しても続きませんし、好きではない運動を自分を叱咤激励して続けようと思っても無理ですよ。

自分に合う運動が見つかる事は幸せですよね。

毎日運動するのは良い事か?

日本人はまじめですので、雨の日も風の日も1日も絶やさず続ける事が良いことだと思っています。これはこれで大切ですが、運動に関しては少し違うようです。

もちろん運動は毎日休まずに行うのが一番効果があがるのは事実のようです。しかし、運動による怪我や障害の頻度は毎日運動をする人の方が多いのです。ところが運動の効果は週のうち2日ほど休んだ場合と、1日も休まないで続けた場合とを比較しても大差が無いようなのです。自衛隊の強化訓練でさえ中休みを3〜4日に1日入れている、と聞いた事もあります。当然、運動の種類やその人の持病によって一人一人違いますが、週のうち1日〜3日は運動しない日を作った方が良いようです。ウォーキングなどで、お友達と雑談したりするのも楽しみですね。友達ができる事も運動が続く理由です。どうしても友達に会いたいならば、手加減して軽めに済ます日を作るという具合に、工夫したら良いですね。「運動して体を鍛えても、運動を止めるとすぐにその効果は無くなる。」と聞いた事があるかもしれません。これは正しい事ですが、ある程度の運動の効果は1日〜2日位は続くのです。また週に1回の運動でも数ヶ月又は数年続ければ、結局、ある程度の効果はあるとの報告もあります。

「雨の日も風の日も・・・」の考えが強すぎて、「微熱があったり、お腹をこわしたりしている体調不良の時でさえ運動する」なんて論外ですね。

水分の補給

運動すると汗をかきます。たとえ、水泳や水中ウォーキングでも汗はかくものです。マラソンのテレビ中継を見ていると、選手たちは途中で水分を補給していますね。運動するとそのエネルギーを作る反応が体内で起こります。このエネルギーを作る反応を代謝と呼びます。代謝するエネルギー源の補給も脱水状態ではおぼつかなくなります。また、この代謝のため、運動していない時の何倍もの老廃物が作られてしまいますので、脱水になると老廃物の排出も滞ってしまいます。そして人間は汗をかいて、水を皮膚から出して体温を調節している分けですね。「水を飲むと汗をかくので飲まない」の考え方は間違っています。「汗をかく前に、汗で出る分の水だけでも補っておく。」と思って下さい。ついでに、のどが渇いて水を飲むのでは遅く、のどが渇かないように水分を補給すると考えてください。心臓や腎臓が悪い方は話が違いますので、医師に相談してくださいね。

食事と運動のタイミング

食後すぐに運動したらお腹が痛くなる事があります。しかし、運動でエネルギーを使いますし、健康人では運動を続ける事によって血糖値が下がります。そうすると集中力が無くなり、疲労感だけが強く、場合によっては事故や怪我にもつながります。だから空腹時の運動も避けた方が良いようです。
ずばり、運動開始は食後2時間が理想的のようです。

詳しくは後で書きましょう。

無酸素運動と有酸素運動

この説明は難しいですね。理解するには、少し生理学の知識が必要です。

有酸素運動をエアロビクスと呼んでますね。無酸素運動の状態は酸素を必要としない体の反応(代謝)によってエネルギーを作っている状態の事で、有酸素運動は酸素が必要な、つまり酸素を使った反応で運動エネルギーを作っている状態の事です。
有酸素運動は酸素が必要な状態の運動、無酸素運動は酸素を必要としない状態の運動、と思ってください。

簡単にポイントを箇条書きしてみます。

1.素早く、瞬間的な強い力を出すのが無酸素運動で、持続的な力を出すのが有酸素運動。

2.無酸素運動は糖より乳酸(筋肉痛の原因の一つ)を作ってしまう。

3.有酸素運動では酸素を使って糖や脂肪(や蛋白質)がエネルギー源となり、二酸化炭素と水を作る。

4.高コレステロール血症、高中性脂肪血症、糖尿病などの運動療法には無酸素運動より有酸素運動が適している。

5.中高年には、ある理由から有酸素運動の方が薦められる。

6.実際は、有酸素運動と無酸素運動とが混ざった状態でエネルギーを作っている。

7.体脂肪を減らすのは有酸素運動で、無酸素運動では脂肪は運動エネルギーには使われない。

8.運動を始めた直後は、反応が早い無酸素代謝によるエネルギー生産が主体。

9.有酸素によって運動エネルギーが作られ始めるのは運動開始の数分後からで、20分位たつと有酸素によるエネルギー産生が最高潮となる。
これは運動に慣れていくと、早い時期から有酸素でたくさんのエネルギーを作り、しかも乳酸の産生は低い状態で運動が持続できる様に変わっていくことが出来る。

10.有酸素運動の状態でも、さらに運動強度を増したり、あまりにも長い時間の運動を続けると、再び無酸素運動状態が中心となり、やがてはオールアウトしてしまう。(オールアウトとは、ぶっ倒れることです。)

11.この有酸素運動主体の状態から、再び無酸素運動主体に変わっていく時の運動の強さをAT値とかLT値と呼ぶ。AT=無酸素運動閾値・LT値=乳酸産生閾値 のことです。

12.中高年の方や運動初心者、心疾患、糖尿病などの疾患がある人にはAT値(又はLT値)を超えない運動が望ましい。

無酸素運動では脂肪がエネルギー源とはなりませんので、AT値を越えた運動は、ハードだが脂肪は減らないと言う事になります。

筋肉量を増やす

筋肉の量を増やす運動といえば、重量挙げやダンベル体操が思い浮かびます。ダンベル体操でダイエットをうたった本も読んでみました。

ダンベル体操で筋肉量が増える。ところが、基礎代謝は筋肉量に正比例する。従って、筋肉量が増えれば基礎代謝量も増え、結果として1日の消費カロリーが安静であろうが、運動していようが無関係に増加する。その結果、食べても太りにくい体質となる。

・・・・というのが簡単な理屈です。これは理にかなった事ですので、怪しげなダイエットとは一線を画すものです。ところが、中高年の運動の事を書いた本に、このような重量負荷の運動を薦めている本は見当たりません。血圧が急に上がる、腰や膝への負担、有酸素運動になりにくい、等がその主な理由です。私も患者さんにダンベル運動とウォーキングのどちらが良いかを聞かれた時には、おそらくウォーキングを薦めるでしょう。
しかし、前に書きましたが、ウォーキングが嫌いな人がいるのです。しかもダンベル体操は場所や天候を選びません。ダンベルやバーベルを使って運動する事が自分に合っている人がいますよね。この人に、あえてウォーキングを薦めても続きません。ダンベル運動を、テキストに必ず書いてある注意事項や医師の助言を守り、軽い負荷から始め、その後続ければ、それなりの効果は有ると思います。

運動の目的に”心肺系持久力の向上”を上げている人にとっては難しいですが・・・。

ところで、ダイエットを目的に運動を始める場合、基礎代謝量の増加は有利です。
更にウオーキングは雨や嵐の日には出来ません。歩くつもりでいたが急用が入って出来ないこともあります。
こんな時には、筋肉量を増やす運動を行なったら良いのではないでしょうか。あくまで有酸素運動が主体だが、筋肉量を増やすことも無視しない、という考えです。

外では歩き、家の中ではダンベル体操。こう言った、2種類の運動が好きになったら、それはとても羨ましい事です。

 

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 V)水分と食事と運動

水分補給について

運動前にあらかじめ水分補給しておく事は前に書きましたが、更に運動の途中での水分補給も重要です。この場合、あまりにたくさん飲むとすぐに吐いたり腹痛の原因になるかもしれません。少量、具体的には1回につきコップ1杯まで(100cc以下)を、20分間隔で補給するくらいでよいと思います。当然、運動の質と量や天候などで違ってきます。少なくとも運動が終わった後、オシッコの色が極端に濃くなる事は避けてください。

水分の補給はスポーツドリンクでも良いですが、ハードな運動でない限り、普通の水で十分です。しかも水は運動中に怪我した場合、さしあたって傷の汚れを洗い流す事にも使えます。1時間以上のジョギングやサイクリングでは、水ないしハイポトニック飲料(体の浸透圧より浸透圧が低い)が良いでしょう。アイソトニック飲料(体の浸透圧と等しい浸透圧の飲料)は濃すぎると聞いた事があります。どうやらアイソトニック飲料を脱水状態が強い時に飲むと、先ず水分が吸収され胃の中ではさらに濃縮されるようなのです。

ハードなスポーツを長時間行う人は、普通のスポーツドリンクを水で薄めてハイポトニックにしたり、中にはビタミンを入れたりしているようです。凝りだすときりが有りませんね。(私の自転車には、普通は水道水だけの水筒を1本つんでいます。長距離の場合は、これに加えてスポーツドリンクを水で2倍程度に薄めたものも持っていきます。)

水分補給にこだわる方へ

実は“何を補給したいか?”によって飲料が違ってくるのです。
水分の補給が先ず一番ですので、少しだけ冷えた(10℃〜15℃)の水を飲んでください。少し冷えた水は胃腸の運動を亢進させますので吸収も良いようです。冷た過ぎると腹痛を起こすかも知れません。
第2段階は電解質(ナトリウムやカリウムなど)の補給ですので、アイソトニック又はハイポトニックのスポーツドリンクを飲みましょう。
第3段階はブドウ糖などのエネルギー源の補給となります。

食事について

前に運動開始は食後2時間くらいがベストと書きましたね。胃の内容が少なくなり、血液中の糖も補給が済んでいる状態ですね。
とは言うものの、実際には食後2時間の運動開始は不可能な事の方が多いですね。例えば仕事が終わって、食事をして2時間待って、「さあ運動するぞっ!」は現実的には難しいですよ。
また、早朝に運動する場合は、寝汗をかいていますので、体の水分が少なくなっていますね。短時間のゆっくりとした散歩くらいなら問題が無いのですが、ある程度の運動をする場合や高齢者の場合は散歩でさえ注意が必要です。

そこでお勧めは、食後2時間からの運動開始が無理でどうしても空腹時や早朝にしか運動できない人は、少量の糖質(甘いもの)を運動前に摂ってください。
同時に汗の分の水の補給も行うと良いですね。
ついでに、ビタミンも少しだけ補給するとより理想的です。普通の生活では、ビタミンは食事から吸収される量だけで十分ですが、運動(特に激しい運動)ではたくさん消費されますので。

総合ビタミン剤は高価なものもありますが、安いものでも十分です。(その効果は値段とは無関係ですもんね。)ビタミン入りのドリンクでも良いですが、炭酸の入っているものは運動直前には不向きです。また、どうせビタミンを補給するならば運動後でもいいのですが、運動前がより効果的です。

食事療法が重要視されている生活習慣病(成人病)の方は運動や食事の内容については医師や栄養士の助言を受けてくださいね。健康な方や、生活習慣病は無いがダイエットや健康維持の目的で食事療法を行う方は、糖尿病に準じて食事療法を行うと良いです。糖尿病の食事療法はバランスをとても重視して考えてありますし、本屋さんで参考となる本が一番そろっています。

この時に、食卓に計量器(料理用の量り)を置いて、食べる前の重さと食べた後の重さを測ってカロリー計算を行う事を薦めます。1〜2ヶ月経てば、目分量でも結構正確に摂取カロリーが判るようになりますよ。

運動だけやって、食事療法を併用しないで体脂肪を減らす事は不可能に近いのです。

ついでに、怪しげな簡単ダイエットは止めましょう。だいいち、そんなに簡単に体脂肪を減らせるはずが無いでしょう。

 

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 W)運動の強さは?

いったいどれくらいの強さ(辛さ?)の運動を行えばよいのでしょう。運動選手の場合と健康のための運動で違ってきますね。ここではもっぱら健康維持やダイエットのための運動の事だけを書くつもりです。選手になるためには、もう少し管理された運動が必要でしょうから。

運動を始めると気になるのが、運動の強さです。どの位の強さ(辛さ?)の運動が有効なんでしょう。それは目的がスポーツ選手を目指す場合と健康やダイエットの場合とでは違ってきます。

「あまり辛い運動(強い運動)は良くない」と聞いたことがあると思います。スポーツ生理学の立場、或いは高血圧や糖尿病、高脂血症などの疾患の運動療法の立場より、激しい運動よりもあまり強くない運動を続けた方が良いとなっています。

具体的には、最大心拍数の5割から7割くらいまでの運動が良いとされているようです。この程度の運動の強さが、前に書いたAT値(LT値)を超えない運動なのです。
この位の脈拍数の運動を適当な時間続けると、(ある程度は無酸素運動もありますが)むしろ有酸素運動が主体となった運動となりますし、運動障害も少ないとされています。無酸素運動が主体の強い運動強度では乳酸がたくさん作られますので、翌日の筋肉痛なども起こしやすいのです。しかしAT値以下の状態では産生された乳酸をもエネルギー源として使ってしまうらしいです。
それと無酸素運動では脂肪はエネルギー源になりませんので、前に説明したように、AT値を越えた運動はおおざっぱに言えば”辛いけど,やせない運動”とも言えます。

もちろんスポーツ選手は運動能力を高めるために、時々練習にAT値を越えた強い運動を取り入れています。競技中の、ここ一発のハイライト場面では、やはり、無酸素運動の瞬発力は重要なのです。

 

 最大心拍数とは?
運動を開始し、その強さをだんだん強くしていきます。するとだんだん脈(心拍数)が早くなります。更に、運動強度を強くしていくと、もうこれ以上心拍数が上がらないという脈拍に達します。これを最大心拍数と言います。
この最大心拍数をきちんと求めるには、専門の施設でしかも医師の立会いのもとで行います。しかしこれからお話する運動の強さを決める時には、あなたの最大心拍数を知る必要があります。そこで最大心拍数を簡便に求める計算式があります。

 Wolthuisの式  204−0.6×年齢
 Cummingの式  210−0.788×年齢
 Blackburnの式  220−年齢

この中では一番下に書いたBlackburnの式が簡単ですので一番良く使われるようです。

 

運動に適した心拍数は?

最大心拍数が求められたら、次は運動に適した心拍数を求めます。

これは次の2つの式が使われるようです。下段の式は計算が面倒ですが、安静時の心拍数が加味されています。上段の式は計算が簡単ですので多用されるようです。

 最大心拍数×
( 最大心拍数−安静時心拍数 )×+安静時心拍数

この””に数字を入れます。
最大心拍数の50%の運動ならば0.5に、70%の運動ならば0.7となるわけです。

例 1) 45歳の場合で、最大心拍数の60%の運動強度

45歳の最大心拍数は上段の式 220−45=175 

従ってその60%の心拍数は 175×0.6=105

例 2) やはり45歳で安静時の心拍数が72の人の、60%の運動強度

下段の式で ((220−45)−72)×0.6+72=134

運動中に1分間の脈拍数が上段の式を使えば105、下段の式を使えば134となる位が、この人にとって最大心拍数の60%の運動の強さということになります。

※ この2つの式の使い分けは、申し訳有りませんが、はっきり知りません。
厳密には下の式では最大酸素摂取量の60%相当の心拍数が算出されているようです。最大心拍数の60%の心拍数と最大酸素摂取量の60%の運動強度に相当する心拍数は近似しますが、差があるのも当然かもしれません。ある資料によりますと最大酸素摂取量の60〜80%は最大心拍数の70〜85%に相当するとの事でした。したがって、安静時心拍数が加味されている下段の式の方がスポーツ慣れした人に向いている様な気がしています。少なくとも運動の初心者は上段の式の方が無難でしょう。

※ この設定心拍数はベテランでも初心者でも同じ計算式で良いことになっています。
ベテランは軽い運動くらいでは心拍数が上がりませんし、いざ設定心拍数を越えてもペースダウンすれば短時間でもとに戻りますので。

”の数字を50%にするか70%にするかの厳密な判定は、医師かトレーニングコーチに相談すべきです。運動の初心者は50%位で始めて、慣れたら60%あるいはそれ以上にしても良いのですが、その人に何か病気があるかどうかで違ってきますし、その他もろもろの個人の状態までも考えるべきですので、やはり医師への相談は重要でしょう。

このコーナーの最初の方に脈拍の測り方を書きましたね。自分で脈拍を測る事が出来る様になってください。

実際、最大負荷の50〜70%の心拍数を保ちながら運動すると、どの様な感覚があるのでしょうか?
下の表を見てください。運動の種類によって、どうしても脈が測れない、または測る事が面倒な方は参考にしてください。

最大心拍数の
何%か?
その時の感覚
80% きついくて止めたい。のどが渇く。頑張るのみ。
70% ややきつい。どこまで続くか不安。
汗びっしょりで緊張もある。
60% やや楽だ。いつまでも続く。充実感があり、
汗が出る。
50% 楽だ。汗が出るか出ないか。フォームが気に
なる。
40% 非常に楽だ。楽しい気持ちだがもの足りない。


実際に、私が運動して見ますと60%ではなんとなく運動が頼りない感じです。”こんな運動で良いのだろうか?”と思いました。しかし30分程続けると結構汗をかいていました。

それと、運動中に張り切りすぎて脈拍数が上がり過ぎてしまう場合があります。つい運動が強くなってしまった場合で、これはよくある事ですよね。こんな時は運動を完全には止めないでペースダウンして下さい。
例えばウォーキングしている時に心拍数が上がり過ぎた場合だと、ゆっくりデレデレと歩く分けです。運動を完全に中断して、心拍数が下がるのを待つのはお勧めしません。突然に運動をやめるのは、ある意味で怖い事があります。この説明は後で(
クールダウンの所で)書きます。

 

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 X)運動の時間はどのくらい?

有酸素運動が健康に良いのは、なんとなくお解りでしょう。この有酸素運動をするためには、前にも書きましたが20分以上の持続時間が必要です。有酸素運動は運動開始後数分でスイッチが入ります。そしてだんだん有酸素により脂肪や糖よりエネルギーが作られる割合が上がってきて、20分ころに最大となります。健康を扱ったどんな本にも、最低20分と書いてあると思いますが、この理由です。
20分という時間はトレーニングで短くなります。慣れた運動でしかも何年も運動を続けている方は、もっと早い時間で有酸素運動が最高潮になるという事です。初心者や健康目的の方は20分以上、前に書いた運動強度でやってください。そしてクタクタになるまでは続けず、余力を残して終わってください。「明日も運動しよう!」という気持ちが残っていれば良いですね。

”辛い運動で、又は長い時間歯をくいしばって続け、自分をいじめて体を鍛える”という考えはあっさり捨ててください。スポーツ選手になるつもりなら別ですが・・・。

こんな辛い事は長くは続きませんし、膝や腰が痛くなるかもしれませんし、運動中の合併症も起こるかもしれませんよ。

 

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 Y)運動の前と後の軽い運動(ウオームアップとクールダウン)

子供のころから、体育の時間に運動前の準備運動や運動後の整理体操を言われてきました。どうして必要なのか?「足や腕がつらないように。」「筋肉痛が残らないように。」と思っていました。

ウォームアップ(準備運動)
これは、やはり運動中の筋肉や関節障害を防止する効果があります。しかしそれだけではなく、有酸素運動が始まるスイッチを入れておくという効果もありますね。筋肉な中の血管も拡張して、血液やエネルギー源が何時でも補給できるという下準備の効果もあります。本当の運動を行う前の体調のチェックにもなります。

ストレッチなんかを5分〜10分やると良いですね。この時も痛みを感じるストレッチでは強すぎて返って筋肉や腱をいためます。少し筋肉が伸ばされて、気持ちよいと感じる位でとどめてください。ピョンピョンと反動をつけて行うストレッチではオーバーストレッチになる事もありますので、10秒から20秒間、目的の筋肉や関節を伸ばして静止するのが良いと思ってください。全身のストレッチを行うのが理想ですので、例えば足なら表と裏、体なら前屈と後屈をして伸ばすと思えばよいでしょう。
(具体的には他の本などを参考にして下さい。)

そして終わった時に体が暖まっている事が大切です。

整理体操(クールダウン)
これは仕上げの運動でして、実際は本運動を手抜きして軽く続ければ良いわけです。ストレッチを取り入れても良いと思います。
前に書きました有酸素運動をやっている時に、有酸素運動だけではなく無酸素運動も行っています。無酸素運動では乳酸が作られています。この乳酸は筋肉痛の原因ですので、軽い運動で筋肉を動かしながらある程度の血液を筋肉に送り、その乳酸を追い出すことが出来ます。

もうひとつ、有酸素運動では糖も脂肪もエネルギーとして使われます。脂肪は脂肪組織に蓄えられていますね。もう少し正確に言うと、脂肪組織の中の脂肪細胞に蓄えられているわけです。脂肪細胞は中性脂肪が詰まった細胞なんです。
この中性脂肪は一旦、有酸素運動がはじまると、脂肪細胞から外に出るときに脂肪酸とグリセリンに形を変えます。有酸素運動中ではこの脂肪酸が筋肉に運ばれて、酸素を使った状態でエネルギーが作られます。

ところが急に運動を止めた場合でも、しばらくはこの脂肪酸は作られつづけます。急には脂肪酸の産生は止まらないのです。従って脂肪酸の血液中の濃度は高くなります。ところが脂肪酸の血液中の濃度が高くなりすぎると心臓に悪影響を及ぼすらしいのです。若い時にはあまり心配しなくても良いのですが、中高年の方には少し心配ですね。
従って運動の後に、ある程度の時間だけ軽く筋肉を動かして、まだ作られ続けている脂肪酸を使い続け、脂肪酸の血液中の濃度が上がるのを防止するのがクールダウンの大切な役割なんです。

従って、運動中に辛くなったらペースダウンする事は大切ですが、運動を完全に停止しない方が良いのです。
もちろん胸痛や呼吸困難などの重症な自覚症状が起こったときは、こんな悠長な事は言っておられません。こんなことにならないようにやはりメディカルチェックの意味でかかりつけの先生に相談した方が良いですね。

 

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 Z)シルバー世代の運動

現在、老人と呼ばれている方は、実は若いころに体を鍛えた方も多く、中には若者よりも元気な方も居られます。

基本は前に書いたことですが、思いついた事を箇条書きしてみます。

1.頑張って体をいじめる思いまでして体を鍛えるのはやめましょう。

2.むしろもう少し運動したいなと思うくらいで止めましょう。

3.毎日運動する義務はありません。

4.かかりつけ医の先生に必ず相談しましょう。

5.水や甘いものなどの補給は大切です。

6.体調によっは、途中で或いは運動の始めたばかりでも、いさぎよく運動を中止してください。

7.少しの運動でも続けることに意味があります。だけどたまにはサボっても良いですよ。

8.運動が終わって「明日も運動しよう。」又は「運動したいな。」と思うくらいの心と体のゆとりが大切です。すると三日坊主ではなくなります。

 

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