※ご自分の症状にあったお薬を選びましょう!
西洋医学ではまず病気が診断され、その診断により治療が行われますが、漢方では「証」といわれるものが重要になります。「証」とは病名ではなくて、病人の個性、病気の時期をも考慮に入れ、その病変の刻々に示す症候群です。それによって漢方処方薬が決定されます。したがって漢方の診断とは「証」の決定であり、薬剤の決定なのです。これから記載する内容はあくまでも一般的なものです。漢方薬をご使用の際は漢方薬の知識に詳しい医師・薬剤師さんにご相談の上、正しいお薬を服用してください。
※ここに記載した漢方薬は一般的なものです。この他にもいろいろな漢方薬があります。医師・薬剤師等にご相談の上、あなたのからだにあった漢方薬を服用してください。
疾患名 | 漢方薬 | 効能 |
---|---|---|
●かぜ | 麻黄湯 | 比較的丈夫なからだで、悪寒・発熱・頭痛・関節痛のある場合。杏仁が入っているので咳にもある程度効果があるが、鼻カゼには効かない。 |
葛根湯 | 桂枝湯に葛根と麻黄を加えたもので、麻黄が入っているから、汗の出やすい人には不向きである。葛根にはくびすじや肩のこりを治す作用があり、また鼻づまりにもある程度効果があると考えられる。咳にはあまり効果がない。 | |
柴胡桂枝湯 | カゼがこじれて食欲不振・微熱などのある人で、頭痛を伴う人に用いる。 | |
●咳・ぜんそく | 小青竜湯 | @喘息は原則として湿証であるから、麻黄湯より小青竜湯がよく効く。 A水鼻・くしゃみの多いカゼの初期。但し汗かき、血色のよい熱証者には不向き。 Bアレルギー性鼻炎の大半に有効(著しい熱証者を除く)。 C寒証の人の腎炎や皮膚病で、急に浮腫や尿量減少を来たした場合。 |
五虎湯 | せき、気管支喘息。継続的に用いる。但し、寒証の人、著しい虚証の人には用いない。 | |
甘草湯 | @急性咽喉痛、A胃痙攣、B激しい咳 | |
●のどのかわき | 六味地黄丸 | 疲れやすく尿量減少または多尿で、ときに口渇がある人。排尿困難、頻尿、むくみ、かゆみ |
●鼻炎 | 小青竜湯 | ●咳・ぜんそくの項参照 |
●むくみ | 五苓散 | @腎炎・ネフローゼ、A乳幼児の感冒や自家中毒による嘔吐、B急性腸炎または胃炎、C偏頭痛 |
防己黄耆湯 | @多汗症、A変形性膝関節症、B肥満症。いずれの場合も、色白で水太り、汗かきということを目標とする。 | |
●肩こり | 当帰芍薬散 | 冷え症で、多少ともむくむ傾向がある、というのが適応である。@月経不順、A月経痛、B妊娠中、C流産癖、D不妊症、E慢性腎炎で貧血・尿量減少のあるもの、F痩せ型・冷え症の人のにきび |
加味逍遥散 | 虚証のいわゆる冷えのぼせに広く用いられる。更年期障害・月経不順など、女性ホルモンのアンバランスが背景にあると思われる場合が適応となる。 | |
●冷え症 | 当帰芍薬散 | ●肩こりの項参照 |
桂枝茯苓丸 | 比較的体力があり、ときに下腹部痛、肩こり、頭重、めまい、のぼせて足冷えなどを訴える次の症状:月経不順、月経異常、月経痛、更年期障害、血の道症、肩こり、めまい、頭重、打ち身、しもやけ、しみ。 | |
八味地黄丸 | 疲れやすくて、四肢が冷えやすく、尿量減少または多尿でときに口渇がある次の症状:排尿困難、頻尿、老人のかすみ目、下肢痛、腰痛、しびれ、かゆみ、むくみ。 | |
●更年期症 | 加味逍遥散 | ●肩こりの項参照 |
●生理痛 | 桂枝茯苓丸 | ●冷え症の項参照 |
当帰芍薬散 | ●肩こりの項参照 | |
●生理不順 | 四物湯 | 顔色の良くない虚弱体質者(寒虚証者)で、湿証でない者の月経不順、産前産後の異常、ことに血の道と云われる神経症状に用いる。 |
加味逍遥散 | ●肩こりの項参照 | |
温清飲 | 皮膚の色やつやが悪く、のぼせるものの次の症状:月経不順、月経困難、血の道症、更年期障害、神経症。 | |
●肌のトラブル | ヨクイニン | いぼ、皮膚のあれ |
桂枝茯苓丸 | ●冷え症の項参照 | |
●皮膚疾患 | 消風散 | 湿疹で分泌物が多く、痂皮を形成するもの、熱証でかゆみが強く、やや慢性化したものがその適応である。 |
温清飲 | ●生理不順の項参照 | |
当帰飲子 | 老人、虚人など、貧血性で冷え症で、皮膚がカサカサしている人。但し分泌物の多い人、湿証の人には適さない。 | |
十味敗毒湯 | @化膿性疾患、皮膚疾患の初期。A乳腺炎、ものもらいなどの初期。いずれも比較的寒証で、湿証で、且つ著しい虚証でないことを条件とする。 | |
●口内炎 | 半夏瀉心湯 | 比較的顔色のよい人の急性胃腸炎・胃下垂・胃アトニー・胃酸過多症・アフタ性口内炎などに用いる。但しミゾオチのつかえ・腹鳴・嘔吐・下痢などを目標とし、顔色の悪い、著しい虚証タイプの人には用いない。 |
●疲れ | 補中益気湯 | 元気がなく胃腸のはたらきが衰えて、つかれやすいものの次の症状:虚弱体質、疲労倦怠、病後の衰弱、食欲不振、ねあせ。 |
人参養栄湯 | 病後の体力低下、疲労倦怠、食欲不振、ねあせ、手足の冷え、貧血。 | |
●胃腸のトラブル | 半夏瀉心湯 | ●口内炎の項参照 |
六君子湯 | 胃アトニー・胃下垂で、胃内停水や腸鳴の著しいものによい。顔色の悪い虚弱体質者向きで、嘔気や食欲不振のある人にもよい。 | |
黄連解毒湯 | 比較的体力があり、のぼせぎみで顔色が赤く、いらいらする傾向のある人の次の症状:鼻出血、不眠症、ノイローゼ、胃炎、二日酔い、血の道症、めまい、動悸。 | |
小柴胡湯 | はきけ、食欲不振、胃炎、胃腸虚弱、疲労感および風邪の後期の症状。 | |
安中散 | やせ型で腹部筋肉が弛緩する傾向にあり、胃痛または腹痛があって、ときに胸やけ、げっぷ、食欲不振、はきけなどを伴う次の症状:神経性胃炎、慢性胃炎、胃アトニー。 | |
●頭痛・高血圧 | 釣藤散 | 脳動脈硬化症による頭痛・めまい・肩こり。更年期障害による頭痛・めまいにもよい場合がある。但し、必ず熱証であることを条件とする。 |
●神経の安定 | 半夏厚朴湯 | 気分がすぐれず、咽喉・食道部に異物感があり、時に動悸、めまい、嘔気などを伴う次の症状:不安神経症、神経性胃炎、つわり、せき、しわがれ声。 |
桂枝加竜骨牡蛎湯 | 体質の虚弱な人で疲れやすく、興奮しやすい人の次の症状:神経質、不眠症、小児夜泣き、小児夜尿症、眼精疲労。 | |
柴胡加竜骨牡蛎湯 | 精神不安があって、動悸、不眠などを伴う次の症状:高血圧の随伴症状(動悸、不安、不眠)、神経症、更年期神経症、小児夜泣き。 | |
●肥満 | 防風通聖散 | 腹部に皮下脂肪が多く、便秘がちなものの次の症状:肥満症、便秘、高血圧の随伴症状(どうき、肩こり、のぼせ)、むくみ。 |
大柴胡湯 | がっしりとした体格で比較的体力があり、便秘の傾向のあるものの次の症状:胃炎、常習便秘、高血圧を伴う肩こり、頭痛、便秘、肩こり、肥満症。 | |
防己黄耆湯 | ●むくみの項参照 | |
●便秘 | 防風通聖散 | ●肥満の項参照 |
乙字湯 | 大便がかたくて便秘傾向のあるものの次の症状:痔核(いぼ痔)、きれ痔、便秘。 | |
十薬 | 便秘、尿量減少。 | |
●腰痛 | 桃核承気湯 | 比較的体力があり、のぼせて便秘がちなものの次の症状:月経不順、月経困難症、月経時や産後の精神不安、腰痛、便秘、高血圧の随伴症状〈頭痛、めまい、肩こり)。 |
●神経痛・関節痛 | 疎経活血湯 | 慢性で長引く痛み:関節痛、神経痛、腰痛、筋肉痛。 |
●頻尿・排尿困難 | 八味地黄丸 | ●冷え症の項参照 |
●排尿痛・残尿感 | 猪苓湯 | 尿量が減少し、尿が出にくく、排尿痛あるいは残尿感のあるもの。 |
竜胆瀉肝湯 | @尿道炎・淋疾・膀胱炎、A膣炎・子宮内膜炎、ことに外陰部の痒痛、B陰部湿疹・頑癬。但し炎症性で、冷え症や虚証でないことを条件とする。 | |
●夜尿症 | 小建中湯 | 小児の夜尿症や虚弱児の体質改善に用いる。但し顔色のあまりよくない虚弱体質であること、腹に振水音の著しくないこと、を条件とする。大人でも、虚弱者の神経性腹痛に用いてよい場合がある。 |
桂枝加竜骨牡蛎湯 | ●神経の安定の項参照 | |
●ぢ疾患 | 乙字湯 | ●便秘の項参照 |