かけなれた番号を押す
3回の呼び出し音のあとにきこえるメッセージ
電話のむこうに彼はいるのだろうか
それともほんとうに「外出中」なんだろうか
こたえをあいまいにしておきたいから、
なにも言わずにきる
彼のメッセージにもすっかり慣れた
彼の録音された声をきくために
電話し続けているのかもしれない
そんなあいまいな日々
そして今日も電話をかけている
突然切れたメッセージ
「もしもし」という女の人の声
何も言えないわたし
受話器を握りしめていた
早く切らなければと思うのに身体が
かたくなって、なにもできなかった
受話器のむこうに、無言電話に戸惑う2人の声
しばらく音沙汰のない日々
避けられているのかもしれない
だから忘れようと思っていた
おいかけなかった
それなのに突然、電話がかかってきた
もう1度逢いたいとすがっている自分がいた
そしてまた電話をかけはじめた
留守電の声をきくだけで十分だった
あと1度、逢えればよかった
そんな思いで番号を押していた
そして突然、女の人の声がきこえた
T
U
V