オリビアを聴きながら 杏里  詞・曲 尾崎亜美

 杏里の失恋ソングといえば「悲しみが止まらない」のほうが強烈やと思うのですが、このアルバムでは、杏里のデビュー曲のこの曲が入っています。(「悲しみが止まらない」というのは、友達に彼をとられたという、踏んだり蹴ったりの歌詞。)
 ユーミンの「リフレインが叫んでいる」が、淋しさを訴える歌なら、「オリビアを聴きながら」は、強い気持ちはおさまって、悲しく静かになくした恋を想うという感じです。歌詞からはよくわからないのですが、これは「ふった」歌なのかなぁ。よくわかりません。
 「出逢った頃はこんな日が来るとは思わずにいた」というのは、「リフレインが叫んでいる」と全く同じ思いです。出逢ってから、近しくなってそして別れてしまうのですから、「こんな日」なんてくるとは思いもしないものです。
 ところで、タイトルでもある「オリビア」というのは、「オリビア ニュートン ジョン」のことなのですが、オリビアの歌って、しっとりというより、もう少し明るい感じでなかったかなと思います。「淋しい心 なぐさめてくれる」のかなぁとふと思いました。
 失恋の激しい悲しさを通り越して、しっとり想って、やがてそういう想いも癒されていくのかな、そんな過程のひとつかなと、思います。

 この曲でもうひとつ気になるのは、別れた彼からの電話です。
 夜更けに彼が電話をしてきて、「二度とかけてこないで」だから、うん、やっぱり振った歌なのだろうか?それとも、振った彼女のところにまた電話してくるのかなぁ。これが実はよくわかりません。
 電話というのは、今や1人1台の時代ですが、それでも恋愛には欠かせないアイテムになっています。電話をどんなふうに彼と使うかって、結構、重要だったりするように思います。
 わたしの最悪の失恋(と思っているもの)は、「電話」なしには語れません。
 彼の雰囲気からなんとなく「もうダメかな」と思って、深追いして傷つくより潔くあきらめようと、自然消滅的失恋をしました。言葉で書けば簡単ですが、そういう選択も辛いものはあって、あきらめるのに自分なりに必死で努力するということもありました。そうやって、やっと諦められた、もうあんなやつのこと忘れたもんね!と1ヵ月後くらいに元気になったところで、彼から電話がかかってきました。わたしとしては、別れた(あきらめた)つもりなんですが、彼は全然、そんなふうでなくて普通にしているから、なんか複雑になって、でもやっぱり無理からあきらめたようなところがあるから、、「まだ彼女でいれるのかな」とすっかり舞い上がってしまいました。
 でも、何日かたって彼のところに電話したら、女の人が出て、絶句。いたずら電話状態で、無言でしばらくいました。気がないんやったら電話してくることないやん!と怒れればまだいいのですが、なんか悲しくて。一旦、あきらめた気持ちをまた戻されて、奈落の底に落とされた気分でした。
 気がないんやったら、電話してこなくていいやん!と切に思います。
 彼から電話がかかってきて、舞い上がって、彼に電話して奈落の底へいってと、こんな感じかな。
 わたしはどちらかというと、いつも電話やメールで繋がっていたいと思うほうなんで、こんなことも起こってしまうような気がします。