元気を出して /薬師丸ひろ子 詞・曲 竹内まりや

 かなり個人的な趣味の問題ですが、わたしは薬師丸ひろ子さんの声、歌い方があまり好きではありません。だからこの歌もあまり好んで聴いていたわけではありませんでした。
 あらためて歌詞をみてみると、この歌は失恋した女友達を励ます歌ということが、わかりました。
 そんなに特別なことを言っているわけではありませんが、でも、まともには言いたいけど言えないことを、歌だから言えるという内容のような気がします。たとえば「終わりを告げた恋に すがるのはやめにして」なんて、言葉でいわれたら、とっても腹たつと思います。「明日を見つけることはとても簡単」も、まともに言われたら、「あなたはお気楽よね」と思ってしまいます。
 本当に言いたいことをストレートに言ったらこうなったという感じなんでしょうか。
 もっともジンとくるのは、最後のところの「人生はあなたが思うほど悪くない 早く元気出して あの笑顔をみせて」というところですね。こう言われたら、落ち込んでばかりいないで、「もうちょっと頑張ってみようかな」と思いますから。
 それはそれで、歌として成立しているのですが、あえて、「終わりを告げた恋に すがるのはやめにして」に拘ってみたいと思います。
 わたしは何にたいしても、未練たっぷりの人なんで、「終わりを告げた恋」にかなりすがってしまうほうだと思います。「もうええやん、どうにもならへんのやし」ということがわかっていても、「なんとかしたい」って思います。「なんとかしたい」というより、自分の気持ちというのは、自分でもなんともできないのです。「だって好きなんやもん、仕方ないやん」なんです。そういう気持ちって、その恋がうまくいっているかいないかも、あまり関係なくなってきます。
 こういうのって、あんまりよくなくて、もうちょっと「考えて」、人を好きになったほうが賢いのかもしれませんが、賢くなりきれずに、余計に辛い思いをするということもあるので、あまりおすすめできません。
 ただ、「人を好きになっている自分が好き」というのもあるので、ちょっとジャンキーかなって気もします。