かやぶきの里として知られる京都府の美山町。この地域とは、野菜や平飼い卵(ゲージではなくて、地べたで育てた鶏の卵)、そして注連縄(しめなわ)の取引があって、わたしも何度となく訪れているところです。
この地域の「とんど祭」もずっと前から行われていたのですが、日程が合わなかったりでなかなか行けませんでした。今年も、19日に広島へ都道府県駅伝の観戦に行くつもりをしていたので、18日はでかけられないはずだったのですが、急遽、広島行きをやめたので、念願のとんど祭りへ行くことができました。
集合は8時半に京都駅。10分前に着いて事務局と合流。とくにお手伝いするでもなくその場にいたのですが、8時半の集合に遅れた人が2組。5分程度の遅れですが、でも、遅れているにもかかわらず、とくにに急ぐふうでもなく、謝罪の言葉もない。まぁね、出発は45分だから、全体に迷惑をかけてるってわけでもないけど、でも、こっちが「30分だ、あと2組だ」とドタバタとやっているのに、あまりに堂々とこられると、がっくりくるんですよね。わたしも気をつけなきゃ。
予定より少し早く京都駅を出て、スタッフのあいさつと全員の自己紹介。こういうのっていまだにうまくできないんですよね。口べた花子です。
バスの座席の隣は、分野担当しているマネージャー。早速、昨日の会議の反省。起案内容を十分にチェックしてなくてゴメンナサイっていうか、あーいう論議でよかったの? これからどんな論議をしていくの?と、しばしマジなオハナシでした。うーん、花子、勉強不足。
京都縦貫道で園部まで行って、日吉町のスプリング日吉でトイレ休憩。10年ほど前に行ったときには、縦貫道がなかったから、周山街道で行ったからたいへんでした。曲がりくねった道で、子どもたちのほとんどがゲロゲロでした。
日吉からは由良川沿い?なのかな。道がくねくねしていて、気分を悪くする人あり。さっき薬は飲まれていたけど、もう遅かったみたい。そういえばわたしもクルマ酔いするほうだったけどスタッフするようになってから、酔わなくなりました。でも、あれは辛いです。クルマから降りない限り、回復しませんから。「コロセー」状態です。
日吉からあたりは雪景色。京都から1.5時間ほど移動しただけで、こんなに風景が変わるものなんですね。そしてだんだんと雪が多くなってきて、車窓を楽しんでいるうちに10時半に美山に到着しました。美山、近すぎ。
あまり定かではないのですが、わたしは「とんど」というものに参加するのは、初めてかもしれません。子どもの頃に、お正月にそういう行事があったのかどうか、よく覚えていなくて、参加するうちに、「あっ、未体験なんだ」と思いました。
杉の木で枠を作ってもらっていて、そこにお正月に飾った注連縄や古いお札、はまやなどを入れていきます。わたしが行ったときには、もう随分と高く積まれていて、上に投げ入れないといけないくらいでした。わたしが飾った注連縄(ボロ家に飾ったものなので、とても小さいものです)は、この美山町で作っていただいたものを買って、それをまたこの美山にもってき灰にして、土に返すってなんかとってもステキな気がしました。こういうつながりって、いいです、ぜったい。自分の注連縄だけでなくて、うちの店舗で預かってきものがダンボールにいっぱい入っているので、それをまたポンポンと投げて積んでいくのは、なかなか楽しかったです。気分は玉入れでした。
11時から開会式。美山町の方々からご挨拶いただいたり、祝電を披露してもらったりして、とんどに点火です。バスのなかで点火する人を決めていたので、6人くらいが「とんど」に火を入れました。注連縄はワラですから、勢いよくもえあがって、煙も大きくあがりました。
「今年も無事にお正月がすごせてありがとうございました。そしてこれからの1年も無事に過ごせますように」と手を合わせて、燃えさかる炎をみていました。
「火」って不思議です。見つめていると、なんか気持ちが落ち着きます。
とんどへの点火が終わったら、これからしばらく、お楽しみタイムです。総勢200人の参加ですが、そのへんは混乱しないようにうまくスケジュールが組み立てられています。
まずは、たる酒開き。みんなでかけ声「いっ、せいのー」で、樽が開きました。そして「とんど」の由来の説明。これには、諸説あるようです。京都のような街中では、もう「ものを燃やす」なんてことできないですけど、地元の方は、ご近所の方と川のところで燃やすなどしているということでした。飾らなくなったらただのゴミになってしまうけど、こうやって儀式をして処分をするのって、やっぱり気持ちのいいものです。
「お餅つき、美山鍋グループ」と「山菜巻き寿司グループ」がローテーションです。わたしは、お餅つきのほうのお手伝いで、つけたお餅にきな粉をまぶして配布していました。去年は、ずいぶんと行列したらしいので、その教訓をいかして、いろいろと工夫をしました。まず、紙皿がひっついてとりにくいから、事前にずらして積んでおいたり、並ぶ方向を一方にして、横入り、後ろ並びを、一人許すとなし崩しなので、並んでいる人から渡そうねと、意思統一(そんなたいそうなものでもないけど。)
お餅を配り始めてすぐは、ちょっと人が多くてドタバタしたけれども、それもだんだんと落ち着いてきて、そのうちお餅を待つ人よりも、お餅のほうがだぶついてくるくらいになったので、その場を別の人に代わってもらって、「美山鍋」をもらいに行きました。豚肉、鹿肉、こんにゃく、里芋、ごぼう、そして、ネギではなくて生の「水菜」を入れます。それからゆで卵が入っているのが特徴。この美山鍋がとってもおいしい。これを食べるために、毎年参加するって人がいるのも納得です。
そうしているうちに次のローテーション。2回目のお餅つきのはじまりです。2回目なので、今度はかなり手際よく、おもちを配ることができました。そしてつきたてのお餅も食べさせてもらいました。おいしいねぇ、いくらでも入ります。樽酒もすすめてもらったけど、今日は遠慮して、竹を切って作った猪口(というか竹を切っただけのもの)をこっそりもらってきました。おうちで日本酒のときは、これでいただこうっと。
ホールのなかでは、大巻き寿司を巻いているそうです。(わたしは中に入っていないので、様子がわかりません。)巻いて切ったものを運んでもらったので、それを食べました。とってもおいしいのですが、具がたくさん入っていて、この巻き寿司をおかずにして、白いごはんがいっぱい食べれそうな感じ。ここにも生のシャキシャキの水菜が入っていました。水菜って、生で食べてもおいしいです。(わたしは、もっぱら油揚げとたいてしまいます。)巻き寿司を食べたら、また美山鍋が食べたくなって、おかわり。「2杯目だから、少しでいいです」といいつつ、結局、さっきと同じくらいよそってもらって、ペロリと食べてしまいました。
たくさんで作って、たくさんの人と一緒に食べると美味しいです。そして美山の空気に触れながらが一番のご馳走です。
おなかいっぱいになったら、その場を簡単に片付けて、場所を移動して、参加者でゲームです。「注連縄作り」をしたい人は、そちらへ移動して、残った人でチーム対抗のゲームです。
最初は「長縄作り」。みんなで縄を作って、縄の長さを競うものです。
稲から縄ができるって、知ってました?わたしは、以前に久美浜町へ行ったときに、縄なえを教えてもらったけど、全然、できなくて、縄をくるくると回して終わってしまったので、今日もみんなの足を引っ張るのではないかと、とても心配でした。15分間の練習タイム。うちのチームは、初体験が4人。わたしともう一人の同僚が、過去に挑戦してできなかった不器用コンビ、あとの人は、ばっちり技術を習得している方でした。不器用コンビ以外の初体験者は、子どもも含めて、すぐに技術を身につけて縄を作っていきます。
さて、モンダイのわたしたち。みんなが一生懸命教えてくださるけど、こういうのって、理屈じゃなくて手で覚えるんですね。美山の方の手が魔法の手に見えました。だって手をこすり合わせているだけなのに、どんどんと縄ができていくんやから。「よりながらねじっていく」ということなんですが、それがなかなかうまくできません。それでも、何回も何回もやっているうちに、少しずつできるようになってきて、15分の終わりのほうでは、不器用コンビは2人とも、なんとか「縄」の体裁をしたものは作れるようになりました。稲を触る感覚も、なんか楽しいです。
ゲームは順番に縄をなっていくのですが、わたしは、順番を最後にしてもらって、その間もずっと練習していました。それにしてもうちのチームのみんなは素晴らしい。あっという間に縄をなってどんどんとつないでいきます。わたしも足をひっぱらない程度のことはできました。よかった、よかった。
出来上がったものを、他のチームと比べたら、3番目。みんなの気持ちをつないだ長縄作りでした。
次のゲームは、ゲートボールのボールとスティック?を使ったトンネルくぐり。これもチーム対抗。わたしは1回も入らずで、チームには貢献できずでした。
できる人は何回やってもできるのに、できない人は全然、できない。うーん、やっぱり不器用なわたし。でも、打ったボールを自分で走ってとりに行くのですが、それだけは、息きらさずに走ることができました。でも、それはチームに貢献したとはいえません、、、、
このゲームのほうは、最下位だったか、下から2番目くらい。賞品がかかっていたので、チームのみなさん、がっかりでした。わたしは、1度も成功してないので、申し訳ないです、はい。
ゲームが終わったら、その場で閉会式。とても暖かい歓待をうけて、わたしたちの気持ちはほんとうに暖かくなりました。お腹もいっぱいになりました。そして体重もきっと、、、、うっ、ヤバイでしょう。
みんなでありがとうございますをました。これからも、みんなでこうやって人とモノがずっと行き交う関係を大切にしようと思いました。
どちらかがムリをしたら、こういう関係は続きません。
お互いがお互いを喜び合える関係を作っていくにはどうしたらいいのかを、ずっと考えていきたいと思います。
とっても楽しい時間をすごして、15時に美山を出て、同じルートで京都に戻りました。
17時に京都駅にきっちり到着。
楽しい美山への旅も終わりです。