男子2部1万メートル

 まだ少し蒸し暑さの残るなか、スタートしました。スタート直後、先頭に誰がでるのかバチバチと小競り合いがあり、すぐは集団でしたが、先頭にいちはやく出たのはダビリくん(流通経済大)、田中くん(駒大)。そのあとすぐにダビリくんの後ろに平成国際大のジェンガくんとキレギくん、そのあとに田中くんです。
 1キロは2分52秒。そのあともしばらく同じように外国人3人が前でそのあとに日本人選手という状態でレースが続きます。田中くんのほかに田上くん(城西大)もいます。大東大の佐々木くんは5番目くらいにつけていました。2キロは5分37秒
 外国人3人のなかからダビリくんが抜けていき、ジェンガくん、キレギくんから田中くんまでが10〜11秒とこの展開がしばらくつづきます。3キロはダビリくんが8分25秒、後ろの(たぶん)田中くんが8分47秒。(おそらくダビリくんとジェンガくん、キレギくんまでが10秒、そこから田中くんが10秒くらいだと思われます。)田中くんで1周71〜73秒くらいだったと思われます。4キロは11分14秒。(うしろは11分40秒、11分47秒くらいでダビリくんがひとり違うペースで先頭をいっています。)

 このようにダビリくんが単独で他をまったく寄せつけないレースをし、ジェンガくん、キレギくんがペースメイクをするような走りをしたわけではないので(もちろん、彼らがペースメイクする必要はまったくないのですが、日本人選手にとって運よくそういうことになれば、それはそれでいいことだと思っています)、レースをみるほうとしては、とっても冷めた気分になりました。2部ということで、中大が出ていないというのもあるかもしれませんが去年は、駒大の内田くん、神大の下里くんらの活躍で、ワクワクしたものですが、観るほうの気持ちもテンションが下がってしまったので、ほとんど観戦メモもつけられませんでした。

 ダビリくんといえば、4月25日の兵庫リレカで28分01秒で走っています。後半で少し落ちたものの前半は1周を65〜68秒程度で突っ走った選手です。まったく速さも違うけど、こう言ってはインカレをなんだと思っているのだと言われそうですが、大学の事情からすれば箱根や全日本で驚異になる存在にはなりそうもないので、「お先のどうぞ」ってな気になってしまいます。
 キロごとのラップもダビリくんの記録が当然ながらアナウンスされるのですが、その数値も、目の前で行われている1万メートルの試合のものとは別世界なので、ますますテンションが下がってしまったのです。

 ということで、このあとの観戦メモはほとんど当てになりませんので、その点、お含みおきください。
 それから、大東大の選手のレポをといわれていたので、大東の選手の動きを中心にみていました。

 第2集団(つまり日本人選手の集団)は、田中くんがひっぱります。
 大東の佐々木くんは7番目、野宮くんは10番目くらい、古川くんはもう少し後ろですが、5キロあたりで佐々木くんが下がっていきます。5キロのラップは不明。6キロはダビリくん16分55、うしろは17分15くらい。1周を71〜73秒で周回しています。見ているほうは、後ろがどうしようもなく離されたような気になっていますが、よーく考えたら、この17分15って、決して悪いタイムではなかったんですね。
 野宮くんは7番目くらい(前の外国人選手をいれて7番目か、除いて7番目かよくわかりませんが、たぶん日本人選手の集団のなかの7番目だと思います)、後ろにつけていた古川くんが上っていき、逆に前にいた佐々木くんが下がっていきます。

 第2集団をひっぱるのは、ずっと田中くん、他に帝京の佐藤くんがいます。1周は73秒から72秒。このあたりで少しペースが遅くなったので、29分前半のタイムが結果的には出なかったのかもしれません。
 ダビリくんの7キロ通過は19分46秒。

 7キロくらいで、第2集団をひっぱるのは、水色のランパンの宮崎小林から東大に入った松本くんです。
 わたしが観ていたところの右前に東大の選手が3人ほどいたのですが、彼らがどれだけはしゃいでいたか!(好意的ですよ。東大の選手がエントリーしているというだけでも、彼らには嬉しいことらしく、ましてずっと前のほうでレースをしていましたから。それだけで十分にはしゃいげたのに、外国人選手を除いたら集団のトップをひっぱるのですから。)
 先頭は松本くん、帝京の佐藤くんで8〜10番目に野宮くん、古川くんがいます。この展開が8キロあたりまで続きます。ずっとひっぱっていた田中くんは7キロあたりから後退したと思われます。
 8キロは22分32秒。残り2キロくらいのところで、松本くんが後退、野宮くんもだいたい同じような感じで下がっていったようです。古川くんは、このあたりで前のほうへ出たように思います。1周73秒と、あまりいいペースではなかったようです。
 9キロは25分33秒

 ダビリくんが突っ走るのはさておき、その後ろの平成国際大のジェンガくん、キレギくんの動きがよくわかっていなくて、ゴールタイムからすれば、キレギくんは後退していたようです。
 前のほうのユニホームは、駒大、城西、帝京、中学大。結果から予想すれば、駒大の斎藤くん、帝京の佐藤くん、城西大の中安くん、中学大の中東くんと思われます。

 わたしは第1コーナーの先あたりで観戦していたので、前には席を立って応援する人がいっぱいで、視界が遮られてとっても不愉快だったのですが、まぁ、そこはそういう場所になってしまうので、ある程度は仕方のないことと諦めていました。それにわたしの目の前ではなくて、左右なので、最低限の視界は確保していました。
 
 それが、たぶん7キロか8キロくらいだったと思います。
 突然、わたしのほとんど目の前に赤の上下のウエァの人が立ったのです。
 まともの視界遮られたわたしは、思わず
 
 「おっさん、ええかげんにしぃやー、人の前、立たれたら見えへんわー」と言いたいところを、
 「あの、すみません、ちょっと、みえにくいんで……」

 と言おうとして、よーくその赤のウエァをみたら、帝京カラーで、その「おっさん」と言いそうになった人は、喜多監督じゃないですか!
 選手のためだったら、わたしは別に見えなくてもいいので、何も言わずに角度を変えて、見るようにしました。それに、さっき書いたように、観戦メモをとる気がかなり失せていたので、そういうこともあって、見えなくてもあまりなんとも思わなかったのです。

 9キロすぎにその喜多監督がわたしの左前にドカッと立たれました。
 まさかそのあと、信じられない出来事が起こるとは、考えていませんでした。

 トップを走るダビリくんに、最終的に全員が周回遅れになってしまいました。
 先頭集団が周回遅れになったのは、かなり後のほうで、ギリギリだったと思います。もしかしたら、わたしの目の前くらいだったのかもしれません。最初、ダビリくんに続いて先行すると思われていたジェンガくんですら周回遅れになってしまったのですから、そのとき、わたしは、「全員が周回遅れだ」と、落胆というか、「ちぇっ」みたいな気持ちになったのをよく覚えていました。

 ダビリくんがぶっちぎりで28分17秒でゴールして、しばらくしたら、帝京の佐藤くんがガッツポーズでゴールラインを越えてきたのです。全員が周回遅れというのは、わかっていて、だれがどんなふうに佐藤くんに伝えたのか、目の前にいる喜多監督がどういう指示を出されたのか、時間が止まったようで、全然、覚えていないのですが、とにかくだれかが「もう1周行け」という指示を出したようで、佐藤くんはもう1周、走っていきました。
 わたしは、見ていなかったのですが、佐藤くんがラスト2周でスパートしたので、「何、やってんだろ」と思われた方もいたそうです。
 わたしのメモからすれば、中安くん、中東くんあたりも勘違いがあったのかもしれません。
 そういうことがあって、ゴールあたりも、観ているわたしたちも騒然としてしまって、そしたら2位は誰なんだ?ということで、ゴールのほうをみてみると國學院大の三島くんが2位でゴールをしていました。
 3位がジェンガくん、4位が神大の清水くん。(すみません、清水くんは一度も観戦記に登場していません。)
 そして駒大の斎藤くん、佐藤慎悟くんが5位、6位。そういえば、大八木さんかどうかわかりませんが、「ジェンガくんにつけー」というような指示をされていたような気がします。
 7位が帝京の中尾くん。中尾くんは佐藤くんより後ろにいたので、ラストのところで、佐藤くんより先行したものと思われます。
 8位の拓大の加藤くんの動きは、すみませんが全然、みれていませんでした。

 そういう騒然としたなか、大東大の佐々木くんがゴールをしてきたのですが、トラックのほうにいる部内の人に「あと1周」というようなことを言われていましたが、佐々木くんは結局、走りませんでした。
 わたしは佐々木くんの動きは、わりとちゃんとみていて、野宮くん、古川くんより後退していたので、この2人より速くゴールすることはないこと、途中、中学大の選手の並走していたので、その選手がまだ走っているということは、佐々木くんもまだ25周いっていないということで、内心、「あ〜、、、、、、」という感じでした。

 こういうケースは、たしか徳本くんが実業団1年目のときの日本選手権かなにかの5000か1万で、ラスト1周のこっているのに、倒れこんで係員の人に声をかけられているのを見たことがあります。
 駅伝やマラソンでは、選手に触れたら、その時点で失格になったかと思います。(増田明美さんしかり、山学の中村くんしかり、法政の徳本くんしかりだったかと。)
 トラック競技の場合はどうなるんでしょうか。トラックの外に出るようなことがあれば失格とか、選手に触れたら失格とか。

 わたしはゴールする選手のわりと近くにいたので、信じられない空気が漂っていました。
 少し、後ろのほうには國學院の選手たちが「三島、やった!」という感じで喜んでいるけれども、こういう形で日本人1位になっても複雑だと思いました。
 あとで冷静に考えれば、「何でそんなことが起こるのか」、「自分のラップをみていたら、このタイムでゴールするのはおかしいと気づかないか」といえるけれども、陸上に限らず、間違いというのは、「何で起こるかわからない」から間違うのであって、そういう間違いを起さないために、いろいろと事前に対処していくものなのです。勘違いしてしまった選手は、やりきれないと思いでいっぱいだと思います。でも、もう失敗してしまったことは取り返しがつかないのだから、次からはこういうことが起きないようにされると思います。あとに引きずらないでというのは無理かもしれませんが、この経験が後に活かされて、笑って話せる日がくるように、頑張ってほしいと思います。

 こう書きながらも思い出したのが、全日本実業団で1万メートル競歩をみたときでした。
 プログラムで持ちタイムをみたら4分ぐらいの差があって、出場選手もたくさんです。だから周回遅れは当たり前。トップの選手はスピードが違うからわかるようなものの、その他の選手は全然、わからないのです。でも、係員の方は、ラスト1周の鐘を選手に確実に鳴らしていたし、選手のほうも「まだです」みたいな感じで、間違いがありませんでした。いったい、あの人たち(係員も選手も)は、どうやってチェックしているものなのかと思ったものです。

 だから、ラスト1周の鐘が誰に鳴らされたものなのか、しっかり伝わって、こういう間違いが今後起こらないことを願うばかりです。

*お願い この観戦記はわたしが目視しながらとったメモ、手元の
 時計で測ったラップタイムをもとに書いているので、正確ではありま
 せん。レースの雰囲気をお伝えするために書いているので、引用は
 お避け下さい。

2004年関東インカレ
2004年関東インカレ
花子のノート