ダイアモンドシティ・ハナ

大型ショッピングセンター

 噂にきくだけで、なかなか行く機会のなかったダイアモンドシティ・ハナ。島津の跡地にジャスコが大型ショッピングセンターを作るという計画は以前から知っていたし、ここのオープンで、京都生協の店舗にも何らかの影響があるだろうとも思っていました。そしてオープン後は、五条通の交通渋滞はダイアモンドシティ・ハナの影響ではないか、などといろいろと聞くものの、伏見に住むわたしには、近くを通ることもなく、あえて買い物に行かなければならないような必然性もなく、何か機会がなければまったく行くことはなかったと思います。
 自分の買い物環境を考えてみると、日常の食品の7〜8割は生協の個配で、残りを生協の店舗か近所のスーパー(ダイエー藤森店)。一般人より、かなり生協に依存していることは、いたしかたのないこととして、スーパーなら、ダイエーかもう少し離れたところにイズミヤがあって、百貨店なら普段の移動の途中にあるJR京都の伊勢丹か、四条烏丸の大丸。ダイアモンドシティのようなショッピングセンターに行くことは、まずありません。もちろん、それは、わたしが自動車を使わないということも大きいでしょう。

京都駅より

 市バスの205番に乗って、西大路五条で下車。すぐ見えるところにあるのかと思ったら、「徒歩7分」。駅からではなくバス停から7分というのは、そこそこな距離に感じました。
 五条通りに面して、イオン(/EON)のロゴの入った大きな建物がドーンとあるのが見えました。五条通りから車が入るので、実際の建物に行きつくには、もうちょっと時間がかかります。店舗の規模からして、徒歩での来店より、自動車、シャトルバスが中心なんだと思います。パンフレットには、「1700台の駐車場と1600台の駐輪場完備」とあるので、自転車での来店もかなり見越しているのでしょう。
 建物に入ると、明るくてキレイなのはオープンしたてだから当然として、なんとなくいつもと違うハイな気分にさせられるのは、消費者の興味をひくようにと建物全体がそういう雰囲気をもっているからかもしれません。
 地図をもらって、自由に見学することになりました。
 1F、2Fはジャスコと専門店、3Fは、ジャスコはなく、立体駐車場、アミューズメント(いわゆるゲームコーナー)、飲食、そして雑貨店など。ジャスコも専門店とも1Fは「食」、2Fはファッションのフロアとなっています。
 1時間くらいなので、全部はみれないと思い、1Fの食品のフロアを中心にみていくことにしました。

見学

 ジャスコの店舗に入る前に、スーパーのようなコーナーがあり、みていくといろいろなテナントが入ってひとつの「スーパー」のようになっているのだとわかりました。
 鮮魚・寿司では「阪急大急」、青果は「きたの畑」、他にも塩干、珍味、精肉、サラダ、中華など。他にもとんかつの「新宿さぼてん」、洋菓子(プリン)の「パステル」など、全国区と思われるようなテナントが入っていて、みているだけで楽しい。鮮魚や青果の売り場では、とっても活気のある店員さんの声がとびかっていました。
 ジャスコの店舗に入らなくても、この専門店だけでも、「生鮮品」は買えそうな気がしました。

ジャスコ

(青果)
 売り場が広くて、わたしなんかが普段、京都生協で利用しているお店が小さいこともあって、品揃えの豊富さには、驚くばかりです。野菜もいろいろな種類があって、「グリーンアイ」というブランドのもの、地場産のものなどがあります。
 「5 A DAY」(1日野菜を5皿、果物を200グラム食べよう)というのが、ジャスコの「食生活」についてのコンセプトらしくて、そのロゴが売り場のところどころにあります。また、野菜売り場の一角に管理栄養士の女性が電磁調理器で料理を作って、出しています。そのときは、「キュウリのキムチいため」というのが試食に並んでいて、そして管理栄養士の方は「春キャベツのキッシュ」を作っていました。3つくらいずつの料理提案があって、そのレシピをおいて、実際に料理を試食もしてもらって、栄養士にいろいろと相談することもできるというもののようです。そうやってジャスコは「5 A DAY」を実践しようとしているのだと思います。
 京都生協で「食と健康」についていろいろ取り組みを具体化させなければならない立場のわたしにとっては、なかなか興味をひくものだったので、そのコーナーに寄っていって、キュウリとキムチを炒めたのを食べて、ちょっと管理栄養士の方とお話ししました。話したといっても、
 「これがキュウリとキムチの炒めものですかー」、
 「今、キッシュを作ってはるんですかー、いいにおいがしてますねぇー」
という程度で、とくに「5 A DAY」について、話を聞くわけでもなく、せっかく専門性をもった人がいても、あまりその専門性は生かされないのではと思いました。
 わたしのように、まさに同じテーマを追う人間ですら、2〜3分もそのコーナーにいればネタ切れになってしまうし、そんなに売り場に長居をするものではないし、そもそも、売り場でそういう情報が求められているのかも確かではありません。
 もちろん、「健康」に関心があっても、もちろんトータルで専門的な知識が得られれば、それに越したことはないけれど、そういうタイヘンなことではなくて、「○○がいいらしい」という情報の連続で、「なんとなくの健康情報」ではないかと思うのです。だから、管理栄養士の若いおねえちゃんが静かに作った料理ではなくて、「暑くなったら、キュウリとキムチでさっぱりと!」、「春キャベツもたまにはお洒落にキッシュで」と元気よく試食してもらったらいいのにと、思います。
 それから、レシピに「キャベツ 120g」と表示があるのは、致命的。キャベツが1個何グラムあるか、見当のつく人はいないと思います。わざわざレシピにジャスコのPBの「トップバリュ商品」の表示するくらい丁寧にやるなら、120gと書いた横に、「中くらいのもの半分」というふうに、書いたらわかりやすいのにと思いました。
 それに「5 A DAY」というキャンペーンも、これを実践するにはちょっとハードルが高いように思いました。今は「野菜を食べましょう」ではなく、「3食、食事を食べましょう」くらいから始めて、「野菜を5皿」は相当な上級者(いろいろな意味で余裕のある人)への提案になるのではと思います。

(水産、畜産他)
 水産はどこでも力をいれているらしく、とっても賑やかでした。
 お刺身を作っている人たちの作業は、ガラスのむこうにしっかりとみえています。以前に何かの番組でみましたが、お刺身の盛り合わせを作るのも、「等級」のようなものがあって、それをクリアすれば給与に反映されるそうです。「○○円」のを盛り合わせを、これくらいの原価で作るというような試験だったと思います。そういう評価が従業員の方のやる気を引き出しているように思いました。
 バックヤードから出てくるときの礼儀の正しさなど、徹底した教育がされているように思いました。

 お肉の売り場は、原産国の表示はもちろんされていて、BSEの検査をクリアしているという「FAX用紙をコピーしたもの」も、売り場のはしのほうに目立たないけど、おいてありました。
 食品や飲料は、ただただ広い売り場にドーンとおいてあります。ほとんど商品の補充が必要ないくらいなのかもしれません。生鮮のところよりは、随分と人が少なかったように思います。
 店の見取り図をみていみると、農産や日配、水産、畜産の売り場に比べて、調味料、菓子、飲料、リカー、コメ、家電、消耗品の売り場がとっても広くなっています。とっても広いといっても、中心は生鮮で、それ以外は売り場というよりは商品の「置き場」というイメージです。その「置き場」の向こうに集中レジがあります。

 レジは20のうち14があいていました。レジは1人ならぶかどうかくらいで、平日の正午頃にしてはそれなりに来店が多いように思いました。レジが2方向というのは、混雑しているときは混乱しないのかと思いました。
 サービスカウンターの横には「お客さまからの声」が張り出されていて、そのなかには、レジの混雑に関する苦情が2件くらいありました。「火曜市」など、なにかあるときはとっても混雑するそうで、また、その「声」のなかには、生鮮の売り場からレジまでがとっても遠いことへの不満もありました。食品や飲料のコーナーが「置き場」と感じたのは、わたしだけではなかったようです。
 レジの方の応対は、とっても気持ちよく、きっちり教育されていることが窺えました。

どんな店?

 ジャスコの生鮮売り場と専門店の一部のみをみただけですが、毎日、行く店ではなく、また、2日に1回、行く店でもなく、やはり休みの日に家族で行って、いろいろと買いこんで、ちょっと普段では食べられないような専門店のパンや総菜を買って、3Fで何か美味しいものを食べて帰るというようなそんな感じかなー。
 若者だったら、2Fのファッションフロアーと3F。それなりに楽しめるのかもしれません。いろいろ使って1万円コースくらいかな。でも、もしそうなら週に1回というわけにはいかないかもしれない。ということは、遠いところからたくさんの人を集めて成り立つSCなのかもしれません。
 ダイアモンドシティ・ハナは、せっかくできたのだから、京都の人に役に立つ店になってほしいと思います。

花子のノート