JHL 日本ハンドボールリーグ プレーオフ
準決勝 湧永製薬 VS 大崎電気
(2007年3月17日 駒沢体育館)
観戦記を書いてみました。
でも、わたしはプレーヤーではないので、シュートの種類など、よくわかっていません。
そのへんは、ご了承ねがいます。
スポーツは勝敗を決めるもの。その決め方は、いろいろです。
人間の目が審査して決めるのは、フィギアスケートやシンクロナイズドスイミング。体操も同じく、人間の目が勝負を決めます。
一定の点数に先に達したほうが勝利というのは、たとえばバレーボールや卓球。
陸上は、競歩以外は単純に、より速く、より高く、より遠く達したものが勝利する。競歩だけは「失格」があって、ちょっと特別です。
加点をしていき、ゲームセットの時点で点数が多いほうが勝ちという競技が一番多いのかもしれません。
野球、サッカー、ラグビー、そしてハンドボール。
何点取られてもいい、何点取ってもいい。とにかく試合終了の瞬間に1点でもリードしていれば勝ちになります。
ハンドボールは前後半で60分。59分間リードされていても、最後の瞬間に逆転していれば、逆転したほうが勝ちです。
ハンドボール日本リーグ、プレーオフ、大崎電気対湧永製薬は、ゲームセットの時間に点数を上回っているのはどちらのチームか、どちらに勝利が転んでもおかしくない、そういう試合でした。
今シーズンの大崎電気と湧永製薬の戦績は、7月の実業団総合は9点差で大崎電気が勝利をしている以外は、すべて1点差で勝敗が決まっています。
日本リーグの開幕戦は1点差で大崎電気、国体も大崎電気、10月は湧永製薬と、実力伯仲といっていいのではないでしょうか。
両者の直接対決だけではなく、日本リーグのレギュラーシーズンも、勝敗は同じで、得失点差で湧永製薬が2位、大崎電気が3位となっています。
だからプレーオフではほんとうにどちらが勝つのかわかならない、やってみないとわからないということで、注目度は一番だったと思います。
プレーオフ準決勝は、駒沢体育館で。
試合前は、会場を暗転にして、選手紹介のセレモニーがあり、選手もファンも自ずと気持ちが高揚してきます。
またMCも1人ではなく、それぞれのチームにつくという形も、わたしは初体験でした。
わくわく、どきどき、そんな単純な言葉では言いあらわしようのない興奮のなか試合は始りました。
以下、敬称略で書きます。
スターティングセブンは、大崎がゴールキーパーが浜口、コートプレーヤーは豊田、中川、佐藤、永島、岩本、猪妻。オフェンスでは、佐藤→宮崎、永島→東(あずま)。
湧永がGKが松村、CPは下川、浜本、福田、東(ひがし)、古家、山口。
前半30分
湧永のスローオフで試合開始。
はじまってしばらくは、両チームのGKがふんばり、好セーブの連続。
4分くらいには、大崎の放ったロングパスを湧永の松村がうしろからひゅっと出て、ボールを奪ってしまいます。
わたしはこういうシーンを初めてみて、びっくりしました。ゴールキーパーは、動く範囲は、コートプレーヤーに比べれば狭いけれども、もっとも人の動きに集中しているプレーヤーではないかと思いました。
試合が始まって6分半の間、0−0。
これはいったいどういう試合展開の序章なのでしょうか。
この試合の初得点は、湧永の古家キャプテンのシュートでした。
そのあと、大崎のシュートをセーブ、7分には湧永の下川のループシュートで2−0。
ここから、両チームともテンポよく点数が入っていきます。
8分には大崎の中川のポストシュートで1−2。
9分には湧永の福田のミドルで3−2。
そのあとは、大崎の猪妻のサイド、ループが連続で決まって3−3の同点に。
11分には湧永の山口のポストシュート。シュートははずれたけれどもこれが7メートルを誘い、東(ひがし)が、7メートルを目が覚めるようなきついシュートで4−3。
大崎もすぐに反撃して、豊田の右サイドからのシュートで4−4の同点。
このあと大崎GKの濱口、湧永GK松村ともファインセーブで得点を阻止。
14分に湧永の山口のポストが決まって5−4。すぐに大崎の永島のポストで5−5。
前半の折り返しまで、まったく互角の戦いでした。
15分すぎに大崎の宮崎が巧に抜いてシュート、6−5と初めて大崎が得点を上回ります。
17分には、湧永の小藪が決めて6−6。
大崎の佐藤がファウルで2分間の退場となるが、濱口のセーブもあり同点のままです。
19分に、湧永の下川が今日2本目のループで7−6と、すぐにリードします。
ここから約3分の試合展開がよくわかりません。
「東」は湧永のひがしさんなのか、大崎のあずまさんなのか不明ですが、東さんが何かしたみたいです。
大崎は濱口のセーブがあったり、豊田、シュートチャンスを逃したり、、、みたいです。
21分には、湧永の渡辺がループを決めて8−6。
ここで湧永の山中が2分間の退場。
7メートルスローは大崎の猪妻、それを怪我(故障?)から復活のJAPANの守護神、坪根が止めるけれども、リバウンドを豊田が入れて7−8。
22分にまた豊田がすごい勢いのシュートを決めて8−8の同点。
すぐにまた猪妻のシュートで9−8と大崎がまたリードします。
大崎の浦和のセーブ、湧永の東が2分の退場。
24分には大崎の宮崎が後ろのほうから「隙間」を抜いて10−8。
次は宮崎の速攻で11−8。
25分には、宮崎からの岩本へ絶妙のパスがまわって12−8と大崎は6連続得点です。
ここで湧永、1分間のタイムアウト。
27分には湧永、山口のポストで9−12。
28分には大崎が宮崎からポスト永島へパスが通って13−9。
29分には、中川から猪妻へ、シュートを決めて14−9と、前半では最大得点差の5点がつきます。
あと30秒のところで、大崎の佐藤が2回目の2分間の退場。
前半終了前には、湧永の古家、渡辺のスカイプレイで10−14。
大崎がタイムアウトをとったあと、前半は14対10、大崎が4点をリードして終わります。
後半30分
4点差。
前半の残り10分は大崎のペース。
この勢いのまま大崎がリードするのか、湧永が立て直してくるのか。
4点差といっても、まだまだ試合の行方はわからないと、誰もが思っていたと思います。
後半は大崎のスローオフで始まりました。
湧永のGKは坪根。
開始早々、30秒で大崎がパスを細かくまわして宮崎が決めて15−10。
そのあと湧永、山口のポストを濱口がセーブ。
1分半には湧永、東が決めて15−11と湧永の反撃が始まります。
大崎のGK濱口も必死のセーブをするものの、3分半には福田、12−15。
大崎のオフェンスはいろいろ変えているようですが、しばらくどちらにも点数が入りませんでした。
5分に下川、東、山口とパスをまわして、ポストが決まって13−15.
一方、(たぶん大崎の)東がポストをはずしてしまいます。
うーん、このあたりの違いかなぁ。
山口さんの気合いの入り方が違っているように見えました。
それにしても、山口さんと東さんのゴール前での迫力あるプレーは、すごかったです。
その後も濱口のセーブはあるものの7分半には湧永、下川の速攻をここでみることができました。
たしかに、ループシュートってイメージではなくて、速攻っていうイメージですから。
ここで14−15と1点差、大崎の中川、2分の退場になってしまいます。
9分には、湧永の福田が、後ろむきから巧みなシュートで15−15の同点に。
すぐに大崎の東がポストを決めて16−15と、1人少ないなかでも得点、追いつかれてもリードを守ります。
ここで大崎は、サイドが猪妻に変わって太田が入ります。
10分には湧永の浜本で16−16と再び同点。中川が戻ります。
しばらくは、両チームが順に加点をしていき、ほんとうに勝負の行方はわからず、緊迫した試合展開でした。
10分半に大崎の岩本がミドルを決めて、17−16。
すぐに湧永、下川が右サイドから、17−17。
またすぐに大崎、宮崎が少し後ろから決めて18−17。
さらに湧永、古家が決めて18−18。
30秒ごとにどちらかが加点するような試合展開です。
13分には大崎、中川のステップで19−18。
中盤には両チームともミスからノーマークになったりしますが、湧永GK松村、大崎GK浦和のセーブで失点を防ぎます。
中川から東へのポストを松村がセーブして、次、ようやく15分、湧永の山口のシュートが決まって19−19。
湧永(名前失念)が決めて20−19にしたら、すぐに永島がリバウンドボールを速攻で決めて20−20と、ほんとうに一進一退です。
18分には湧永、東のシュートで21−20。
大崎はサイドが豊田から森本に変わります。
19分半には宮崎のステップで21−21、すぐに山口のポストで22−21。
ラスト10分になっても、中盤の攻防が続きます。
20分に宮崎からポスト永島へのパスで22−22。
すぐに湧永、小藪が決めて23−22。
さらに湧永、東が2連続シュートで25−22と、後半では初めて3点差がつきます。
ここで大崎はタイムアウト。
23分には宮崎がすぐにきめて25−23。
でも、すぐに湧永、東で26−23と3点差。
でも、ここで湧永、古家が2分間の退場になってしまいます。
残り5分。
25分には再び入った、大崎の豊田が決めて24−26、さらに猪妻のシュートで26−25。
ここですごいと思ったのは、大崎、岩本が「そこしか空いていない」というコースをついて26−26。残り3分です。
この緊迫した雰囲気のなかで、「スコーン」というかんじで決めてしまう岩本さん、さすがです。
これが1000得点の技なんでしょう。
大崎の3連続得点のあと湧永がタイムアウトをとります。
タイムアウトのあと、28分45秒に宮崎が決めて27−26。このまま終わるかと思ったら、残り5秒で、湧永、東のシュートで27−27の同点で、60分が終わります。
延長
延長は、前後半5分ずつ。
前半5分は大崎のスローオフで始まります。
1分半には山口の7メートルを大崎、浦和がスーパーセーブで阻止。
でも、2分半に山口のポストで28−27。
3分には大崎、中川のシュートを今度は坪根が阻止します。さらに宮崎のシュートも阻止。浦和も下川の速攻を阻止と、GKの必死の守りが、さらに会場はヒートアップしました。
4分には、猪妻の7メートルを坪根がセーブし、また、浦和もさらにセーブ。
延長の前半は28対27。
山口のポストシュートで1点が加わりました。
延長後半は、1分半に大崎、中川のシュートで28−28の同点に。
2分30秒で古家が決めて29−28。
そのあと、大崎、前田がはずしてしまい、一方、湧永は(選手名失念)で30−28。
ここで山口が足をつって退場。大崎のGKも負傷退場と、コート上も満身創痍です。
3分44秒には、大崎、豊田の7メートルを坪根が阻止。
残り1分で2点差と勝負あったかもと思ったとき、湧永下川が4分20秒に決めて3点差。
ここで勝負あったと、だれもが確信したでしょう。
結果は31対28で湧永製薬の勝利でした。
いやぁ、ほんとうにすごい試合でした。
後半の一進一退の攻防もなんともいえませんでしたが、そのあと、どちらのチームも3連続得点くらいがあって、リードをしたりします。
でも、連続得点も両チームに平等にあって、点差の広がらない、先のわからないすごいゲームでした。
残り2分半で、湧永が28点から3点取ったのに対し、大崎は、確実にとれるはずの2点を落としてしまった上に下川さんにとどめを刺された、そういう感じでした。
大崎は後半の残り5分で追い上げ、1度は逃げ切ると思ったけれども、残り5秒で同点にされてしまい、そこからの流れは、湧永にきていたのかもしれません。
さすがプレーオフ。
負けた時点で終わりという、その緊迫感ある試合が見れたことに感謝です。