はじめての二人三脚  2008年3月17日

今日は鳥居寮式チキチキ運動会でした。
鳥居寮というのは、「中途視覚障害者更生援護施設」で、わたしは2年前からパソコンボランティアとして週1回、お手伝いさせてもらっています。
そして、何か行事があるときはできるだけ参加するようにしています。

3月17日は、いわば室内の運動会です。
ホールで室内競技をします。
競技名は忘れてしまいましたが、たとえば「5メートル」という距離を指定されたら、アイマスクをしてその距離を歩いて正確さを競うもの、段ボールで作ったキャタピラで競争する、体内時計(指定された時間をあてる)などで、1チーム9人、5チームで競います。

そのなかで最後の種目に二人三脚があって、わたしも出場することになりました。
わたしは、たぶん全盲で脚が悪く白杖のほかに杖をもって移動しているUさんと組むことになりました。
Uさんは、秋に嵐山へ行ったときに手引きをさせてもらっています。
実はそのときに、脚の悪いUさんをあまり気遣うことができない手引きをしてしまったので、そのことがとっても気になって、その気持ちの延長で、わたしは今、ガイドヘルパー講習に通っているということがあるのです。

チームで順番を決めるにあたって、Uさんは競技には参加できないのではということもあって、わたしもちょっと心配していました。
二人三脚はタイミングがあわなければ転倒ということもあるし、果たしてほんとうに二人三脚ができるのかと思っていました。
まずその場で練習してみようと彼女に声をかけてみると、「二人三脚はやったこともないし、知らない」ということ。
よく考えたら当然といえば当然なのですが、ちょっとした心配がさらに増大して、「Uさん、二人三脚はしたことないって言われているんですけど」とチームのH先生に言ってみました。
わたしとしては、もしかしたら仕方がないから、エントリーを辞めるという指示を待っていたのかもしれません。
H先生の答えは「その場でやってみてください」でした。

わたしの運動能力といえば、いまでこそランニングをしていてすっかり体育会系になっているけど、ほんとうはとても不器用なんです。
自分のことだけでもかなり心配なのに、そんなわたしが彼女のフォローをしてできるのか、とっても不安でした。
でも、やってみないとわからないし、もしできなくて危険だったらその場で判断すればいいし、同じチームのボランティアの方からも、「無理しなくていいから」という言葉に助けられて、練習してみることにしました。

まずは競技の説明から。
お互いの内側の脚を縛って1本の脚にして、脚をあわせて歩行するということを説明して、右足と左足のどちらを結ぶのがいいのかを聞いてみます。
彼女の患足は、右脚だったので、彼女の右脚とわたしの左脚を縛ることにして、「(彼女の)右、左、右、左」で動かすことにしました。
右が患足なので、彼女は左に杖を持っているので、結果的には、その選択しかあり得なかったのですが、そういうことを考える余裕がありませんでした。


そして競技開始。
わたしたちは4番目の出走でした。
「右、左」という掛声をかけながら、ゆっくりだけれども安全に1歩、1歩、リズムよく進むことができました。
悪いほうの脚を縛っているので、その脚にあわせて着地をすれば、何も問題なく二人三脚ができました。
といっても杖をついているので、そんなに速く進むことはできないけど、ちゃんと二人三脚になっていました。

なんだ、できるんだ。

やる前に、彼女は脚が悪いからと大丈夫だろうかと、思っていたわたし。
でも、よく考えたら、二人三脚って、内側の脚はどちらにしても「不自由」にするのだから、ハンディはあまりなかったのです。
そんなこともやってみないと気づきませんでした。

早くはないけど、最後まで走って次の組にバトンタッチ。
「うまくできたね、ありがとう」とUさんに言って、次の組の応援をしました。

はじめての二人三脚。
その経験に立ち会うことができたこと、とっても嬉しいです。

やる前からあきらめてたらいけないこと。
そんな当たり前のこと、思い出させてくれました。


                                                     花子のノート

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