反対であり・賛成である

n:原子力発電って、賛成? 反対?

e:ん〜 まぁ賛成やないんやけど、積極的に反対って訳でもないな。だって電気使っとるもん。

n:放射能の危険性を考えたら、あんなもんいらんよ。お前も、あんなもん自分家の近くにあったらイヤやろうもん。

e:でも、今や電力の35%くらいが原子力発電で供給されとるっちゃなかったかいな。あんた、自分が使う電力を2/3に減らせると?

n:そういう問題やなくて。危険な原子力発電をやめて、太陽熱発電や風力発電に切り替えれば良かったい!

e:いや〜、そんな簡単にいくもんね。そげん言うなら、全部の住宅に太陽熱発電取付けるぐらいやらんといかんばい。あんたん家太陽熱発電付けとると?

D:俺は、原子力発電、「反対でもあり・賛成でもある」ってとこかな。

n:え〜っ、それって「コウモリ野朗」やん。そういう立場って、許されんちゃない。

D:だけど、これが一番正直な俺の立場やね。賛成派の言い分も解るし、反対派の言う危険性も理解できる。しかし、「賛成でもなし反対でもない」って言うたら、何か、関心が無い様に思われそうやし。

e:俺、無関心ってわけでもないよ。でもそれぞれの言い分は分かるけん、賛成でもなし反対でもなし、ってことになってしまう。

D:「賛成でもなし反対でもない」っていうのは、賛成派・反対派、それぞれの意見は聞くけどそれぞれに対して反論はしない、って立場になってしまうちゃない。また、反論しても中途半端な意見としてしか受け取られんよ。俺は、賛成派の前では反対意見、反対派に対しては賛成意見、を言う立場を取っとる。

e:それって、ズルイっちゃない。

D:現在日本には50基以上の原子力発電所が存在するんやから、反対派にとって「本当に安全に運営されているのか?」というのが一番問題にせないかんことやと思うんやけど、現実に、「反対運動が原子力発電の安全性向上に寄与しているか?」っていうと、甚だ疑問を感じとるんよ。
それと、動燃のナトリウム漏れ事故以来の隠蔽工作問題も、動燃の自己保身から出てきたものやけど、その背景には「一方的な反対運動」があるんやないか、って心配しとるんよ。もし、そういった反対運動が安全性の低下に影響しとるんなら、問題が大きいよ。
これは原子力発電だけに限った問題やなく、賛成・反対という意見の対立は、それが感情的で一方通行に成ればなるほどその問題解決からは遠のいてしまうちゃない?

e:そうやね、「放射能漏れ事故は起きない」という確信は、本当のところ賛成派・反対派両方共「ない」って解っとると思うんやけど、チェルノブイリやスリーマイルの件もあるしね、でももしそういう事故が起こった時のための付近住民も加わった避難訓練は「出来ん」、って言うのが現実やもんね。もし重大な事故が発生した時、避難訓練無しじゃその被害はより大きくなるわけやから、それを考えるとゾッとするね。

n:「だから、原子力発電なんかいらん」って言うとるだけじゃ問題は何も解決に向かわん、って言うんやね。

D:反対意見も賛成意見も、それが一方通行になっとることが問題やね。賛成派・反対派両方共それに反する意見を冷静に理解・分析した上で、戦略的・戦術的にその運動を展開していかな、問題は解決せんし、重要な問題は益々先送りされていくんやない。

e:「ピンを抜いた手榴弾を持ってあっちウロウロ、こっちウロウロ」っていうのが現状で、「お前、危ないけん、アッチ行ってろ」とか「お前、危ないけん、取り敢えずこん中入ってろ」って言われとるごたる、チョット無責任やし恐ろしかね。根本の問題はなんも解決されとらんちゃけん。

D:でも、そう簡単にはこの問題は決着が付かんやろうと思う。反対意見・賛成意見の一方通行の時代がやっと終わりかけ、もっと冷静に議論しようという時代がいま始まったばかり、という風に感じとる段階やね。その議論をするために「反対でもあり・賛成でもある」って立場を取っとるわけやけど。

n:でも、反対運動がその安全性に寄与できるちゃろうか?

D:逆に、「安全性向上のために寄与できる反対運動とはどんな運動?」っていう問題から考えな、なかなか有功な運動にはならんちゃない。そのためには推進派の意見を充分に理解・分析せな始まらんやろし、それを持って、冷静な議論を継続してやって行く。だけどその議論も、戦略・戦術的にやらな解決の糸口は難しいやろうね。

e:有益な議論をするための「反対でもあり・賛成でもある」、ってわけやね。

D:特に、放射能の問題・地球環境の問題が複雑に絡み合った原子力発電というような重要な事は、生半可な知識で「反対」・「賛成」を意思表示するだけで終わらせること自体が問題、って思うけど。「反対」・「賛成」の一方的な意見で解決できる程単純な問題や無いやろう。むしろ「反対でもあり・賛成でもある」という議論のなかでもっと冷静に考えていくべきやないの。

n:なんか反対派の俺が非難されとるようやね。

D:いや、基本的には俺も原子力発電には反対なんよ。他の発電方法に早期に移行すべきだ、とは思うけど、今や日本にも50基以上の原子力発電所が存在するんやし、この発電所も何時かは破棄処分という形を取らないかんのやけど、放射能破棄物の最終処分場の問題も解決できとらん。「反対」とばっかし叫んどっても、何の解決にもならんし、逆に「反対」だけを叫んどったらなお更解決を遅らせるだけやないか、って思うんよ。だから厳密にいうと、原子力発電所の新設・増設を凍結した上で「反対でもあり・賛成でもある」ってわけやね。そいう立場で議論しながら自分自身でこの問題を考えていこう、って思うとる。

e:狭い日本、原子力発電は50基もあれば充分やないの。

n:原子力発電の安全性向上のために寄与できるような反対運動を展開せよ、ってわけか....

D:この「反対であり・賛成である」は、現在の日本が抱えている色々な社会問題にも適用できる有功な手段やと思って、
  賛成派には反対意見を!
  反対派には賛成意見を!
って、色々な場所で議論を吹っかけてるわけよ。どや、あんたらもやってみらんね。

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