GREEN FIELDS Before/after |
ブラザース・フォアの北米の最大のヒット曲は1960年のデビュー曲グリーン・フィールズ。あれよ、あれよという間にビルボードの2位にランクされ、ブラザース・フォアを世界の歌手仲間に引き入れた曲である。1960年2月のことであった |
これは他の人の歌だった!! |
この失恋バラードはブラザース・フォアによって有名になったが、実は彼らの為に書き下ろされた曲ではなかった。その元は1958年、Terry Gilkyson and the Easy Riders(Richard Dehr & Frank Miller)という3名ユニットにより歌われている(写真クリックでYouTubeリンク)。 |
この3名のユニット曲はブラザース・フォアのようにギター伴奏で始まり、一部ちょっとボップな音階もあるが、全体にはブラザース・フォアと良く似ている曲調・歌唱となっている。いや、逆だ。このユニット曲をアレンジしたのがブラザース・フォアと言える。 では、何故ユニット曲は全米大ヒットせず、ブラザース・フォアのは大ヒットしたのか?幾つかの要因が考えられる。 (1)キングストン・トリオからスタートした都会的に洗練されたアメリカン・フォークの潮流にブラザース・フォアのイメージが乗った。キングストン・トリオのトム・ドゥリーは1959年11月から12月にかけてビルボードのトップを5週連続記録。 (2)曲調がユニットのように「凝って」いなく、シンプルであり、一般的に受け入れやすかった (3)ユニットは社会人てあるが、ブラザース・フォアはまだ学生あがりであり、その若々しさが当時のアメリカの世相にあった。 (4)プロモーション力の違い。両方ともコロムビア所属だが、宣伝への力の入れ方が違った。 |
これは2番目のシングルレコードだった!! |
グリーン・フィールズはブラザース・フォアの最初のシングル曲だった・・・というイメージだが、どうやら、その前にもう一枚デビューレコードがあったようだ。記念すべき最初のシングルは1959年末に出たA面"Chicka
Mucha Hi Di"、B面 "Darlin' Won't You
Wait”だったようで、これは「静かにリリースされ去って行った」らしい。ただ、このシングルが一般に市販されたのか放送局などの限定リリースだったのかは不明。少なくとも市販版は確認出来ていない。YouTubeのChicka
Mucha Hi Diはここ。 "Chicka Mucha Hi Di"は日本での発売曲には入っておらず全くと言っていいほど知られていない曲。Chicka Muchaとは英語的語彙ではないと思われ、グーグル翻訳に入れてみるとフィリピンのタガログ語と表示される。この曲は明るいラブソングではあるがコミカルソング的な感じを受ける。 これを最初に真面目にプロモートしようとしていたのであれば、ブラザース・フォアはコミカルソング・バンド狙いだったのか?という疑惑が残る。この1~2カ月後にグリーン・フィールズを発売し大ヒットとなったが、仮にChicka Mucha Hi Diが大ヒットしていたらブラザース・フォアは随分違うバンドになっていたことでしょうし、今まで50年以上に渡っての長続きは無かったことでしょう。 |
ヒット後はどこの国で販売したか? |
北米の大ヒットを受けて、コロムビア社は全世界に大プロモーションした。実際、どの国でどの程度ヒットしたのかの記録は見つかっていないが、分かっている販売国は結構ある。 ・カナダ ・オーストラリア ・ニュージーランド ・日本 ・フィリピン ・イギリス ・ドイツ ・オランダ ・デンマーク ・ノールウエイ ・フランス ・イタリア ・ギリシャ ・エジプト ・南アフリカ ・ヘルー 以上はレコード写真を確認できているが、それ以外に ・香港 ・台湾 ・タイ ・スペイン ・メキシコ ・ソ連 あたりは確実と思われる |
B面曲は? |
日本以外の国でのB面曲はAngelique-Oである。ラテン系のイメージを持つかろやかなコミカルソング。元歌は1957年頃のハリー・ベラフォンテの同名曲と思われます(ここ)。 日本でのグリーン・フィールズのシングル発売は半年遅れて1960年6月。B面は何故かブラザース・フォアの曲ではなく、ジョニー・マティス Johnny Mathisの「スターブライト」Starbrightという曲がカップルされた(ここ)。Angelique-Oは歌詞が分からないと面白さが伝わらないので、甘い声のジョニー・マティスの曲にしたのだろうか?結果として日本のあるヒットランクの記録(ここ)では1961年の14位にランクされている(1960年は記録がないので不明)。 |
その後のグリーン・フィールズ |
ブラザース・フォアにとっての原点であるこの曲は音階・歌唱方法・伴奏方法等いろいろな変遷を経て今に至っている。 |