スタジオ録音の謎
ブラザース・フォアのステージは動画もたくさん残っているので、その様子はよく分かるが、レコード録音はどのような形でやっていたのだろうか?「謎」というわけではないが、探ってみた。
 
下の写真はブラザース・フォアの一番最初の頃の1960年発売のEPレコードに掲載されていた写真。

中年っぽく見えますが、まだ23~24歳の頃の写真であり、ステージ上ではなく、服装もラフな写真。左端のディックさんはこの時はまだギターを弾けずにシンバルを叩いていたのがこの写真でも見てとれる。そういう意味でも貴重な写真。

さて、彼らは何をしているのか?上にボーカル用マイクが数本、下に楽器用マイクが見られ、客を前にした演奏ではないことは確か。これはスタジオでレコーディング(或いはその練習)している風景と推測する。当初はこのように4人集まって一気にリアルタイムで録音したのだろう。

では、その後も同様な方法で録音していったのでしょうか?彼らの録音風景の写真は少ないが、LPに収録されている写真をチェックしてみた。

LP「The Brothers Four 1970」の裏ジャケット写真です

その中に下のような写真が有ります。前にマイクが下がり、スコアを見ながら歌っています。楽器は持っていないようです。すてわち、まず伴奏を録音しておき、それに合わせ歌を入れるという正にカラオケスタイル。このやり方の場合、伴奏音が歌声に交じらないようにヘッドホンを付けているはずですが、写真では無いように見えます。本番中の撮影はシャッター音なども入るので、これは練習中で、その為に付けていないのかも知れません。
このレコードには子供合唱団と一緒に収録している写真もあります。この曲はアルバムに収容されているコミカルソング「The Hippopotamus」と推定されます。合唱団の歌声が収録されています。この場合、ブラザース・フォアも楽器無しで参加しています。この曲にはブラザース・フォアだけの歌の部分もあり、全体をこの形態で収録したのではなく、合唱団とのコーラス部分のみを収録し、最終的にミックスして完成させたのでしょう。

このように伴奏に合わせ歌を入れていくという「カラオケ」方式は音楽界の主流となっていきました。

次の写真は別のLP「Today and yesterday」に入っているもので、このアルバムの前半曲は1968年8月の来日時に新宿の太平スタジオ(現存せず)で収録され、この写真もその時の撮影と推測されます。これも楽器は最初に収録してあり、それに合わせて歌っている姿でしょう。コーラスなので四人一緒の歌唱収録だったと思います。

ところが次の写真が「A Beatles Songbook」(1966年発売のYS 656-Cのみ。後年再販のLPにはこの写真は無し)の中にありました。どこかのスタジオで四人が楽器を弾きながら収録をしているようです。このアルバムはオーケストラとの共奏なので、このアルバム作成時の写真ではなく、日本発売の日本語解説シートの中にある写真なので、恐らくは日本での撮影と推測されます。
一番最初の写真に雰囲気は極めて似ていますね。これは一体何をしているのか?謎!?
レコードの録音でないことは確かでしょう。またマイクがたくさんあるので、練習風景でもありませんね。これが日本だとすると恐らくはラジオの収録でしょう。ブラザース・フォアは当時から日本のラジオ番組に呼ばれて、そこでインタビューを受けたり生演奏をやっていました。その時のシーンと推測します。随分、密集体制てやっていたのですね。この密集演奏スタイルは彼らの原点です。