PART7

抜け毛の季節

初夏。衣更えの季節です。人間たちは暑くなると上着を脱ぎます。私もそろそろ夏服に衣更え。私が冬服を脱ぎ始めると家族は皆いやな顔をします。

お留守番をしてて、誰かが帰ってくると嬉しくって「お帰りなさい」ってしっぽを振るでしょ。すると、「しっぽ振るなあ!」って言われるの。ちょっと首のあたりがかゆくてカイカイカイってすると、「うあー、掻くなあ!」ってブラシと掃除機をもって私を追い掛け回すようになるのです。
パソコンの前に置いてあるロッキングチェアーとオットマンは私のお気に入りの場所。お母さんたら私がそこでイイ気持ちでお昼寝しているのに「ちょっとどいて。」って掃除機をかけるの。私掃除機が苦手だってお母さん知っているのに、1日に2度も3度も私の部屋(ホール)を掃除機かけるの。部屋だけじゃないのよ。私自身に、掃除機のノズルを当てて、「やっぱ、元から断たなきゃね。」だって。これは、はっきり言って動物虐待です。
お姉ちゃんもお兄ちゃんもお母さんの真似をして、ブラシを使って私の毛を抜くのが趣味となってます。
 

 

怪獣来襲!ウルトラマン、助けに来て。

えらく小さい人間がやってきた。その人間は2才の女の子。我が家のお兄ちゃんよりももっともっと小さくて可愛らしいの。私のこと“わんわん”だって。今日から1週間一緒にいられるらしい。ひっぱりっこしたりオニゴッコしたりして仲良く遊ぼうね。
…と思っていたのに、やってきたのは実は怪獣だった。
お昼寝している私にニコニコ笑顔で近づいてきて、いきなり体に抱き着いてくる。うっ、苦しい。それに重たい。早くどいてよー。その手が鼻先に伸びてきて、ムギュー。痛い!私の大事な鼻先つかまないで。ほんとにっ! 
あらっ、何考えてんの?この怪獣…。人の(犬の)毛むしって、フーって息を吹きかけて「飛んだー!」だって?痛いんだってば。ちょっと、お願い、私の毛、むしらないで。なんて嬉しそうな顔してんのかしら。この無邪気な笑顔が、私には恐ろしい。あのね、いつまでやってんの。タンポポの綿毛じゃないんだから。
でもね、いいとこもあるのよ。私にポッキーくれたの。優しく頭を撫でてくれて、この怪獣もしかしたらそんなに悪いヤツじゃないのかも…
お礼にほっぺにキスをしてあげようと、ペロッと顔を舐めた途端、
「ウワァーン!、わんわん恐いー、わんわん噛んだー」
えっ?噛んでない噛んでない。私、何にもしてない。何でコイツ泣くわけ?泣きたいのはこっちよ。ちょっと、しっぽ引っ張らないで。
怪獣が帰っていった。5才のウルトラマンダイナと一緒に、新幹線に乗って。
 

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