フライングジーメン



宣 言




ニュージーランド南島のブラウントラウト


 フライングジーメンは今ここに重い腰を上げて立ち上がった。我々は一億総活躍社会の一億分の一として活躍することを断乎として拒否し、生産性のないただの一個人として自分勝手に好きなことをして好きなように活躍することを高らかに宣言する。
 あるものは飛んでる爺メンとして、またあるものは常にフライングをおかす爺メンとして、またあるものはフライフィッシングに憂き身をやつす爺メンとして、社会の税金泥棒と言われてもひるまず、そういうおまえたちこそ国民の税金を無駄遣いしているくせにと言い返し、なにが社会のためだ、国際貢献だと、そんなものは屁でもないと豪語し、毎日楽しく平和に生きてゆくことをここに高らかに宣言する。
 フライングジーメンは、贅沢を求めてはならない、便利な生活を求めてはならない、人を差別してはならない、収入によって人の価値を決めてはならない、社会的地位によって人を見てはならない、金は必要なだけあればよいと思って生きなくてはならない。それらを実現できてこそ、はじめて幸福で豊かな生き方が出来るということを身上としなくてはならない。
 フライングジーメンの共通項はフライフィッシングをこの上なく愛好するという点である。自然を畏敬し、自然のサイクルに随って、自然と共に生きる生活の大切さを忘れずに、魚を通じて自然からさまざまな知恵を学ぼうというのが我々の信条である。まあ、そんな堅苦しいことは抜きにして、フライフィッシングは奥が深くておもしろく、楽しいものなのですよ。


★フライングジーメンの宣言の趣旨に賛同される方で、フライフィッシングをはじめてみようと思われる方に初歩からご教授します。道具の選び方、フライの巻き方・選び方、実際の釣りまで教えます。希望者は「ニュース・寄稿文」欄のメールでご連絡ください。ただし、営業が目的ではないので、教授の日時はこちらの都合を優先とします。ニュージーランド釣行のガイドの紹介なども行います。委細はお問い合わせください★





北海道道東の湖で釣れたアメマス(55cm)




ニュージーランド秘密の川のレインボートラウト(60cm)


釣り随筆

 前回なにを書いたか忘れてしまったが、たしか、フライフィッシングをはじめたいきさつについて書いていたと思う。

 というわけで、それ以来、フライフィッシングにのめり込み今日まで40年以上続けているわけなのだが、なんでそれほどまでに熱中したのか、なにがそんなにおもしろいのか、ということを、やったことがない方々にもわかるように書いてみたいのだが、これがなかなか難しいことはわかっている。ほんとうは、百聞は一見にしかずで、見るなり経験してみなくてはその本質というものはわからない。

 かつて、こういう話があった。僕の友人で、僕の釣りを見てフィッシングをはじめた男がいた。ところが、奥さんと娘が「釣り一般」というものに偏見を持っていて、「あんなもの、やってほしくない」と反対されたのだ。いくら、一般の釣りとは違う、と説明しても納得してもらえない、と嘆いていた。

 ちょうどその頃、テレビで、ブラッド・ピット主演の映画「リバー ランズ スルー イット」をやった。アメリカのモンタナ?あたりで、フライフィッシングを通じた家族の交流の物語、といった内容の映画だった。それを見てから、家族の反応が180度変わったというのだ。「ああいう釣りなら、やってもいい」と言ったのはたしか娘さんだったという。それ以来、大いばりで「釣り」に出かけることができるようになったという話だった。

 つまり、簡単に言うと、自然とともに、自然のサイクルにしたがって、自然の摂理の一環として、自然の生態系にしたがって釣りをする、というのがフライフィッシングなのだ。だから、フライフィッシングでは餌は一切使わない。川に生息する川虫をおもに、そのライフ・ステージにあわせて、幼虫から成虫になっていく段階にあわせた川虫に似せた疑似餌を獣の毛や鳥の羽を使って自分で作り、それを川の流れにのせて魚に喰わせ、釣り上げ、殺さずにまた自然の川に返してやる、という釣りなのだ。

 逃がすのなら、釣らなくてもいいではないか、と言う人がいる。もっともな説だ。でも、魚の美しさは釣ってみなくてはわからない。釣られると、魚は興奮して、体色が一段と鮮やかになる。泳いでいる時にはさほどでもない魚が、釣り上げた一瞬だけ、とても美しい姿を見せるのだ。その姿を見たい、というのも釣り上げる理由のひとつだ。もっとも、いつも逃がしてばかりいるわけではなく、鱒類は食べるととてもおいしい魚なので、時には自分と家族が食べる分だけ殺して、おいしく食べさせてもらう時もある。

 対象魚は、おもに、鮭・鱒類である。僕は鮭は釣ったことがなく、鱒類しか釣らない。鱒類もいろいろあって、皆さんにいちばん馴染みのあるのはニジマス、ではないだろうか。スーパーで売っているあの魚を思い浮かべないでほしい。実際の天然のニジマスは体側にレインボーカラーが走り、それは美しく、かかってからのファイトも、鱒類では屈指のものだ。あとは、ヤマメ、イワナなどは比較的なじみ深い魚だろう。しかし、ヤマメにはよく似たアマゴという亜種がいるし、イワナにも、アメマス、オショロコマ、日光イワナ、ゴギなどさまざまな種類がいる。他にも、本来は日本には生息しないブラウントラウトやブルックトラウト(川鱒)などというものもいる。レインボートラウトは北米が原産で、ブラウントラウトはヨーロッパが原産。有名なシューベルトの「鱒」はブラウントラウトのことだ。

 そして、それぞれの魚の習性もそれぞれで、生息する場所も違う。それらの条件と自然の条件に合わせて、もっとも単純な道具で、自分の腕ひとつで魚を釣るのがフライフィッシングという釣りなのである。(続)



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