イギリスの作曲家ヴォーン・ウィリアムズ(1872-1958)の最も知られているであろうポピュラー名曲。
いわゆる〈グリーンスリーヴズ〉は16世紀には知られていたイギリスの歌謡で,ヴォーン・ウィリアムズはこの節を歌劇《恋するサー・ジョン》(1929)で用いました。
それをR.グリーヴズが1934年に独立した管弦楽曲として再編したのが《グリーンスリーヴズによる幻想曲》です。
弦楽,ハープ,フルートによる編成。
曲の中間部には〈Lovely Joan〉という別の民謡が用いられています。
チャールズ・グローヴズ指揮
フィルハーモニア管弦楽団
DENON 1988年録音
名盤
たった4分半のこの曲から,「幻想曲」としての魅力を引き出した名演。
「グリーンスリーヴズによる幻想曲/管弦楽名曲集III」として,COCO-75809(1300円,95年10月)で出ていたもの。 現在も入手できるかは不明。 ちなみにこのCDに含まれているエルガー:愛の挨拶も名演。
ネヴィル・マリナー指揮
アカデミー室内管弦楽団
PHILIPS 1986年録音
マリナー3度目の録音。 どれもアプローチが違うのは立派。 今世紀のアダージョ系の音楽を集めたアルバム中の1曲として,穏やかな響きに仕上がっています。 旋律的な魅力はやや後退。
「バーバーのアダージョ〜マリナー/アカデミー名演集」として,PHCP-10528(1500円,96年6月)で出ています。
ネヴィル・マリナー指揮
アカデミー室内管弦楽団
ウィリアム・ベネット(フルート)
スカイラ・カンガ(ハープ)
DECCA 1972年録音
マリナー最初の録音。 以前のマリナーらしい,キリリとよくまとまった演奏。
キングレコードから,タリスの主題による幻想曲,揚げひばり,「富める人とラザロ」の5つの異版,とのカップリングで,KICC-8441(1500円,97年11月)。
エードリアン・ボールト指揮
ロンドン交響楽団
EMI 1970年録音
中間部でテンポを落として前後との対比をつけているのが特徴的。 そのため後半部には流れるような印象ができ,なかなか立派な解釈。
国内盤はおそらく交響曲全集に含まれているのみ。TOCE-9774〜9779(8563円,98年7月)。
輸入盤では,音楽へのセレナード,イギリス民謡組曲,ノーフォーク・ラプソディ第1番,沼沢地方にて,揚げひばり,とのカップリングで,CDM 7 64022 2。
1500円〜1700円くらい。
ちなみに,音楽へのセレナードとイギリス民謡組曲は国内盤全集に含まれていません。
バリー・ワーズワース指揮
ニュー・クィーンズ・ホール管弦楽団
DECCA 1992年録音
ワーズワース指揮のヴォーン・ウィリアムズは作曲当時の響きを再現すべく云々・・・という理由だけではないだろうけど,すべての曲において過不足のない印象。 CD全体のクオリティは高く人には薦めやすいけど,個人的に聴く分にはあと何かがほしい気も。 この曲に関しては,流麗な弦や,中間部の2本のフルートの絡みなど,聴きどころはたしかにあります。
タリスの主題による幻想曲,ノーフォーク・ラプソディ第1番,揚げひばり,「富める人とラザロ」の5つの異版,沼沢地方にて,とのカップリングで,POCL-5199(2000円,95年4月)。
ダニエル・バレンボイム指揮
イギリス室内管弦楽団
DG 1973年録音
さすがバレンボイム,イギリス音楽も濃い口演奏。 まぁ,それはそれで一つの味わい。
「イギリス管弦楽傑作集」として,ディーリアス,ウォルトンの作品とのカップリングで,POCG-6014(1500円,97年2月)。 ディーリアスもなかなか濃厚でヘンです(笑)。 ズーカーマンをソリストに迎えた《揚げひばり》は名演。
ネヴィル・マリナー指揮
アカデミー室内管弦楽団
DECCA 1980年録音
マリナー2度目の録音。 もうちょっと低弦にがんばってほしい。
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巫音 月雪
fusetan@mti.biglobe.ne.jp
00.11.6