レビューのページ
ページのスタイルは暫定的なものです。
今回からは商業コミック単行本以外のメディアについても紹介していきたいと野心(?)を抱いておりますので。
評価について:
今回からはA〜Eの総合評価とすることにしました。
Cが一応の基準値(購入に値すると思うレベル)となります。
また,各段階とも+と−で微妙に細分化しています。
(このへんの仕様,ころころ変わってすみません・・・。)
評価は巫音月雪の主観によるものです。
高く評価されているものほど好みや趣味に近いわけで,一般性を失っているかもしれません。
また,視野を広げるためにも,他サイトのレビューも参考にしてください。
いずれにせよ,最終的な良し悪しを判断するのはあなた自身です。
評価日:2001.4.9
- 武藤鉄『W・E・T』(フランス書院)
- 総合評価:B
-
初単行本。
たしかデビュー作だった「迷子の仔猫」,カラーの「Let It Rain」,「君が生まれた世界」を含む短編11作品を収録。
カバー下の表紙はラフスケッチ集かな。
パピポ掲載分の収録なのですべて私は読んだことがあるはずなのだけど,なぜか記憶になかったのが2作品(汗)。
買っただけでまともに読む余裕がなかった時期の作品かな。
ま,それは余談として,改めて読んでみても〈いいな〉と思える作品群なので,評価はBということで。
1番のお気に入りは「INNOCENT BLACK」で,たしか雑誌掲載時にレビューも書いた記憶があるけど・・・。
導入としてはいきなり現れたサキュバスの娘とエッチする話なんですが,主人公の〈いつか女の子を抱けたら 一生懸命 全身全霊を込めて 気持ちよくしてあげたいって〉というセリフが印象的な,内容もそういう話です。
おしまいも印象的。
「君が生まれた世界」は,〈人形師〉の話なので女の子は〈人形〉なんだけど,いっぱいの愛情を注ぎこむという点では同傾向。
「人をつなぐもの」もたしか以前にレビューを書いたはずだけど,しっかりものの彼女とトロい彼の立場が1つの〈首輪〉で入れ替わる,てな話。
それが単なる逆転の話でなくて,愛しあって支えあう2人の話にうまく落ち着かせてるところがいいですね。
その他の作品も全般に心や体のつながりを意識させるものが多いけど,中にはややダークな傾向で,多少残酷な側面を持ったものも目立ちますか。
絵柄は表紙のような,なんか丸っこい感じでややクセを感じるもので,エッチの傾向も表紙から想像できるような液体系。
絵柄への抵抗が少なければ,描写的にはハードなのでエッチ度は高いでしょう。
ストーリーも,責め側のキャラが女の子のエッチな面を内側から引き出しながら,羞恥に耐える(というか開放されるというか)心のよりどころをその(許してくれる)相手に求めるような感じになってるものが基本なので,これも好みに合えばかなり良い感じだと思います。
・・・要するに私の好み(というか,理想かも)なんですが(笑)。
評価日:2001.3.7
- はらざきたくま『黄金色舞台』[5] (ヒット出版社)
- 総合評価(1〜5巻):B
(参考評価(1/2/3/4/5巻):C+/B−/B−/C/B−)
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シリーズの5巻で完結編。
第23〜27話と,短編「天使のお仕事」を収録。
あと,製作過程のお話など,あとがきが8ページ。
今作は表紙をみたとき,あれ? 絵が変わった? とまず思いましたね。
先月の「阿吽」で「天使のお仕事」を見たときもあまりの変わりように驚きましたが。
肝心の本編のほうは,びみょーに変化はしてますけど,過去4巻分との差は微小です,よかった(笑)。
お話の流れは4巻でほぼ決した格好になってたので,5巻ではそれをどう(漫画として)表現するかということになりますね。
で,実際のところよくまとまってると思います。
クライマックス部分でもエッチがからんでくるあたりが実にこういうメディア的な表現で,人によっては気にならなくはないでしょうけど,そこはまぁそういうものですので(笑)。
そういうわけで,シリーズ全体としては全5巻に及ぶ大作ということも考慮して,Bという評価としました。
絵柄と設定の,リアリティありげでそうでもなさそうな微妙な雰囲気がよかったですね。
演劇部のお話ということだけど,このお話自体が演劇・舞台・ドラマっぽい感じに終わってみると思いました。
ストーリーには多少未消化の伏線があるようにも感じるのですが,3巻くらいからは要素を絞ってまずまず結んでいるでしょうか。
なんというか,成年コミックとしての実用性への配慮(サービス?)ゆえに,ストーリーに寄り道が多かったような面もあって,そのため各巻の評価としては参考評価として示したようになってます。
でもこのことで,個人的にはコミック各巻の価値・魅力を上手く保てていたようにも思いますし,2・3巻なんかはけっこうお気に入り。
稲穂ちゃんは4巻あたりからどうにか主役に返り咲いた感じですが,やはり個人的には野島×椛のカップルが良かったですねー。
この2人には幸せになってもらいたいものです。
・・・以上,簡単ながら『黄金色舞台』の総括でした。
- 師走の翁『宴』(ヒット出版社)
- 総合評価:C+
-
5冊目。
過去4冊は早いペースで出ていたので,ずいぶん待った気がします。
表題作全8話を収録。
ヒット出版社にしては異例の厚い単行本で,製本が不安なほど(笑)。
カバー下表紙に雑記。
お話は,9人の男女が一夏を一緒に過ごす物語。
この先生のお話らしく,それはもう入り乱れるわけですが。
・・・えー,なんというか,非常に説明しづらいのは私がよくわかってないからで,C+という評価もそれに起因するものです。
ダメ読者ですみません。
1話の段階で5人だったのが,2話の冒頭で9人に拡大したところで人物把握ができなくなってしまったんですね(汗)。
ストーリーを主導してるのは,みやび,あいか,本基の3人のはずなんだけど,そもそもこの3人,顔似てない?(笑)
さらに,例の入り乱れた描写や場面転換が混乱に拍車をかけてるんでしょうけど・・・。
そういうわけで,お話的にも実用的にも,個人的にはC+評価で精一杯です。
ただこれは,現評価日の時点での話なので,今後理解が深まれば上方修正ですね(といっても,意外と第一印象というのは消えない?)。
けっこう本質的には,いい話っぽいのは感じてるんですけど・・・。
あとがきにあるように,みやびの心の変化を追ってみるのが一つの道のようではあります。
評価日:2001.2.26
- ぢたま某『気分2』[2] (ティーアイネット)
- 総合評価:A
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気分2シリーズの2巻目で,完結編。
個人的には新刊リストで見るまですっかり忘れてた(汗)。
シリーズの6〜8話と,中編「臆病なダーリン」を収録。
カバー下表紙はイラストとコメント。
あと,同氏が原画の放尿ゲー「盛夏の杜」(ガッツ)の予告宣伝チラシもしっかり入ってます(笑)。
えーと,前の巻ではひょんなことから健二と奈美が別れちゃったところまでですね。
ストーリーから健二くんが逃走(笑)してしまった関係で,奈美中心にストーリーが展開。
ていうか,奈美ってこんな娘だったっけ?
やたら感情爆発させてるし。
最後のほう(後日談?)ではちょっぴり大人っぽくなっちゃって,まるでまほろさん(『まほろまてぃっく』)みたい・・・と一瞬思ってしまいましたが。
ま,なんにせよ予想通りのハッピーエンドです。
文句ないでしょ。
「臆病なダーリン」も良い話だけど,より少女マンガ的なストーリーだと思いましたわ。
まぁ,私の好みはこっちかもしれないけど(笑)。
エッチ度は客観的に見てそんなにないですが,作品から愛が享受できるなら,かなりの爆発力はあると思います。
個人的には,ストーリーを伴わないエロ一直線より,こういう作品のほうが印象に残ると思います。
でも,やはり,量的な薄さはぬぐえませんが・・・。
評価に関しては,こうやって振り返りながら文章書いてるとやはり良い作品としか思えないので(笑),Aといたします。
ただ,前巻を読んだ人は,となるでしょうか。
- 作:中山文十郎/画:ぢたま某『まほろまてぃっく』[3] (ワニブックス) (←一般向け)
- 総合評価:D
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3巻目。
掲載誌は「ガム」というわけで,一般向けのコミックです。
エッチ度的にはお色気程度で,評価の対象とはなりません。
ついに戦闘アンドロイドとしてのまほろさんのライバル(?)が現れて予想通りの展開を歩むわけです。
えー,こういうの長編ストーリーの展開上必要なのはわかるんですが,私の趣味からいえば〈いらない〉です。
ましてや,こんなの1巻丸ごと使って見せられても・・・て感じなのですが。
やるならやるで,もう少し不意打ち的なほうが良いと思います。
というわけで,私的には評価しづらくこの巻はDということで一応。
こんなに厳しくあたるのは私くらいでしょうけど(笑)。
(さらには,こういう評価をするくらいならわざわざ買うなという声もあるでしょうけど,いや,それはごもっとも。)
というわけで,私みたいなひねくれ読者でなければ当然評価も変わりましょう。
(注:巫音月雪は非大作ほのぼの志向なのです,一応。)
さて,今後の展開は・・・これでもまだ消化しきれていない伏線がみられますねぇ。
はてさて。
ところで帯にアニメ化とは書いてあるけど,詳細情報がないのはなぜ?
- 刑部真芯『禁断−秘密の花園−』(小学館) (←一般向け)
- 総合評価:B−
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ここで紹介するのもどうかという,少女マンガです(笑)(フラワーコミックス,掲載誌は「Cheese!」)。
さすがに露骨にではないにせよ,エッチな描写もあるし,まぁこの際ということで。
これは「まんが王倶楽部」で紹介されてたので,買ってしまいました・・・というわけですが(それなりに売れてるようで,世でも評判らしい)。
〈光源氏計画〉とか言われたら反応してしまうでしょ?(私だけ?)
内容は,金持ちの御曹司が孤児院から引き取ってきた娘,その成長とともに自分の立場に疑問を感じるようになるわけで,それを彼に問うたところでついに手を出されてしまう,というとこから動き始めるわけですが。
なんつーか,光源氏どうこうよりそんな幼い娘(設定年齢14・・・この時点では?)に手出していいの? っていう衝撃のほうが強かったです(笑)。
で,さらには他の男も絡んできたりして,読んでる分にはなかなかインパクトのある作品なんですが,こうして冷静に振り返ってみると,所詮は〈好きな男を振り向かせたい〉という少女マンガの一パターンからは脱しておらず,平凡ともいえます。
まぁ本来,少女マンガはその枠の中で差異を見せるものなんでしょうけど,こういう異次元の場(笑)から評価されると,こんなものです,ということでB−。
それに〈光源氏計画〉ゆーたら,手を出すまでが楽しいのじゃないでしょうか(笑),ねぇ。
繰り返しますが,少女マンガゆえ露骨なエッチ描写はありません。
でもなんか,表情とかはエッチぽく見える瞬間がそれなりにあります。
さらにもう一つこの異次元の場的意見も加えれば,もう少し絵の上手さがあればまた評価も変わるでしょうね。
男の絵と比べて,少女の絵はちょっと見劣りが感じられます。
評価日:2001.1.29
- 神楽雄隆丸『JET COMBO』(茜新社)
- 総合評価:C
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初単行本。
短編が6つと,3話分の中編が1つ,2話の続き物を1つ収録。
「TENMA(天魔)」でマークしていた単行本未発売の作家さんの一人。
作品のストックはけっこうあったようで,個人的に期待していたあたりでは「だしぬけめたも」くらいしか収録されていなくてちょっと残念(本音ではかなり残念(笑))。
この先生の描く娘は基本的に巨乳です。
性格的には,年上,年下ともにかわいらしい感じが主体ですね。
作風的にも明るいので安心です。
ただこういう風に条件が揃っている場合,単行本にまとまってしまうと全体が平坦な印象になって各話はインパクトに欠けるという,短編集特有の弱みもあります。
これは作品面,エッチ度の面,両方でです。
したがって評価は(良作としての)水準値のCとしますが,時間が経てば上方修正される潜在力はあると思います。
私が気にしてるようなことを特になんとも思わないような方は,もう少し評価できるかもしれません。
- 紫川弓夜『愛部』(東京三世社)
- 総合評価:C+
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たしか9冊目。
表題作全9話を収録。
ほかにページ数の関係で,13ページのあとがき的な描き下ろしがついてます。
転入早々「愛部」というクセのある人ばかりでしかも何やら学園内での地位も確保してるらしい部活動に入部させられてしまった娘のエッチな受難の日々(前半)と,その中で真実の愛をみつけるストーリー(後半)。
・・・いや,この説明,何か違う気もするけど(笑)。
えー,何と言うか,シュミ(?)とノリの世界というか,この先生のいろんな作風を見てる私にはわからなくもない世界というか。
あとがきに,この作品を描いた3つの理由の1つとして,「くだらないモノが描きたかった」というのが挙げられております。
・・・。
まぁ同じくあとがきにあるように,もう少し徹底ぶりがあっても良かったかもしれませんねー。
個人的には前半のノリは好きなんですが,後半はシリアスっぽい展開が冗談に見えませんでした(笑)。
エッチ度はやはり水準並かなぁ。
どうせならもっと乱交っぽい展開もほしかったですが。
逆に,外野が邪魔かも(笑)。
というわけで,個人的にはまだ消化しきれてない部分も多いけど,とりあえずはC+という評価にしておきます。
本作の評価はいろいろわかれそうですねぇ・・・。
- チャーリーにしなか『ダウン▽タウン▽POPS』(少年画報社) (←成年マークなし)
- 総合評価:B+
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初単行本。
表題作全8話と,短編1つを収録。カバー下表紙はおまけマンガ。
「ヤングコミック」でたしか隔月で連載していたもので,個人的には3話ほど読んで好印象を持っていたので購入。
1話完結タイプで,それぞれ異なるカップルが登場するオーソドックスなエッチマンガ。
各話ともほんのりいい話。
連載としては街の喫茶店を軸に,そこのウエイトレスさんをガイド役にしながら各話の導入とオチがつくかたちです。
もちろん最終話はこの娘の話。
こうして単行本にまとまってみると,全体を貫く構成のアイデアなんかから作品への愛情も感じられるようでますます好感触。
成年コミックではカップルのふつうの愛のあるエッチの描写って,淡白で私には物足りなかったりすることが多いのだけど,本作はちゃんと愛撫とかしてて実用度的にもいい感じです。
もちろん,成年マークついてないので過激な描写とかは期待できませんが。
というわけで,個人的に見て新世紀早々の「あたり」だと思います。
作品傾向と絵柄について不満がなければ,また特に過激さも求めないのであれば,なかなか良いのではないでしょうか。
というわけで,とりあえずの評価はB+といった感じです。
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巫音 月雪
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01.4.9