十日町雪まつり / 豪雪JAM 2009

2009年2月21日(土)〜22日(日)
新潟県十日町市


雪まつり発祥の地、十日町市

 「雪まつり」と言えば、札幌が圧倒的に有名ですが、一応「発祥の地」は新潟県十日町市ということになっています。札幌も十日町も昭和25年に第1回雪まつりが開催されましたが、十日町の方が2週間早かったということで(笑)。
 今年で60回目を数えますが、昨年から雪上ステージを活用した「豪雪JAM」というロックフェスが始まり、音楽関係がなかなか充実してきました。


2月21日(土)13:00〜 FM新潟 SOUND SPLASH WINTER STAGE

 まずはキナーレ十日町という施設の中庭で行われるFM新潟の無料イベントへ。
 この日の新潟は、平野部は吹雪、十日町のような山間部では深々と雪が降り積もる厳しいコンディションでした。
 まず最初は新潟で活動しているアコギ2人組の「カナデフウビ」。今年の新潟国体のテーマソングを歌っているので、地元での知名度はあるけど、音楽的にはコメントする必要なし。最初から2人のギターのチューニングが全く合っていないのには呆れた。

 次は今日の目玉(笑)、再結成したC-C-Bと大事MANブラザーズオーケストラ。なんだかテレビの「あの人は今」みたいだな(笑)。
 降りしきる雪の中、まずはC-C-Bの3人とサポートのギタリストが私服で登場。「やる気が無いわけじゃなくて、持ってきた衣装が夏用だった」と言い訳していましたが、髪の毛もパステルカラーに染めていないし、ドラマーの笠浩二氏のカラフル眼鏡が無ければ、本物のC-C-Bなのか、ただのオヤジバンドなのか判別不能だわ(笑)。
 渡辺英樹氏のベースは独特のドライブ感があって非常に上手いのだが、キーボード無し、シンセ類は同期演奏で、バンド全体としてはかなり大味な演奏。
 「曲数は少なくして、MCを長く」と主催者から依頼されたそうで、渡辺氏と関口誠人氏が延々と酔っぱらいオヤジのようなトークを繰り広げていました。メンバーがもう50歳近いとは驚いた。

 “Romanticが止まらない”の後は、大事MANブラザーズの立川氏とキーボードの女性が登場し、そのままC-C-Bと合体して、唯一のヒット曲“それが大事”を演奏。大事MANブラザーズはこれが再結成後の初ライブで、本来はメンバー15名だそうですが、「今日は予算不足で2人だけ」とのこと。
 最後はなぜかビートルズの“ツイスト&シャウト”をセッション。立川氏からギターソロを振られたC-C-B関口誠人が「ソロなんか弾けないよ〜」と言いながら、のらりくらりと8小節を消化したのは笑った。ホントにやる気が無いんだわ(笑)。

 次は「Lil'B」という女の子2人組。ボーカルとラッパーのコンビですが、あれをラップと言うのはヒップホップの歴史に対して失礼と言うべきだろう。
 続いての「COLOR」は、80年代のビジュアル系バンドの再結成(笑)ではなく、男性ボーカル4人組。EXILEの子分らしく、女性ファンからの歓声がすごかった。しかし、門外漢には東方神起との違いが分からん。

 トリで登場したのは山下久美子。C-C-Bとは大違いで、バンドの演奏もボーカルもプロとしての仕事をきっちりと聴かせてくれました。いきなり“赤道小町ドキッ”と“バスルームから愛をこめて”の往年のヒット曲から始めて、次は「大好きな曲」だという“SINGLE”。聴いただけで作曲は元ダンナの布袋だと分かるメロディーですが、確かにいい曲だな。
 プライベートな問題と音楽の素晴らしさをキッチリと分けているところにもプロの凄みを感じました。初めて生で観たけど、非常に好印象です。


2月21日(土)18:00〜 十日町雪まつり雪上カーニバル

 夜はメインイベントの雪上カーニバルへ。こちらも後方エリアは無料です。
 私が子供の頃はこの雪上ステージから「ロッテ歌のアルバム」が放送され、豪華な歌謡ショーだったのを覚えています。近年の雪上ステージはNHKの企画で、演歌あり、アイドルあり、時にはモー娘の加護ちゃんが喫煙事件で出演キャンセルになったり(笑)しておりましたが、今年はテレビ朝日の企画に変わりました。

 最初はパントマイム2人組の「が〜まるちょば」。非常に完成度の高い芸でしたが、真冬の野外では、表情や細かいニュアンスが伝わらないので、かなり苦戦。次の「イカルス渡辺」という歌手(芸人?)はさっぱり意味が分からなかった。
 続いて、沖縄の石垣島出身の女性2人組「やなわらばー」。アコギと三線を使っていましたが、曲調としては普通のポップス。石垣島ならではの味をもっと出してくれればよいのだが。

 毎年恒例の着物ショーの後は、中村あゆみが登場。お約束の“翼の折れたエンジェル”をカラオケをバックに歌った後は、ギタリストと2人で尾崎豊の“シェリー”を生演奏で聴かせました。80年代育ちにはたまらん選曲。
 “翼の折れたエンジェル”がヒットした20年前よりも、カムバックした後の方が中村あゆみは美人になった気がするなぁ。

 そして、トリはバブルガム・ブラザーズ。曲はもちろん“WON'T BELONG”で、EXILEのカバーバージョンのおかげか、会場は予想外の盛り上がり。4人のダンサーが参加しているものの、バックトラックはカラオケなので、サウンドに迫力が無いのが残念なところ。

 最後は再結成後の新曲“Daddy's Party Night”。着物ショーの出演者も含めて全員がステージに登場し、花火が上がってフィナーレ。

 それにしても、再結成とかカムバックのアーティストばかりで、アラフォー世代(笑)が狙い撃ちされたような一日でした。高齢層も若者層も無視したようなチョイスで、雪まつりとしては大丈夫だったのでしょうか? この祭りを楽しみにしている地元の爺さん、婆さんも多いので、ちょっと心配です。


2月22日(日)11:00〜 豪雪JAM

 前夜の雪上カーニバルのステージを流用したロックフェスで、今年が2年目。
 あの雪上ステージは、毎年、地元建設業者の技術を結集して雪山を削って制作されるのですが、カーニバル1回だけの出番で終わらせるのは確かにもったいない。翌日も野外ライブで活用するのは非常にいいアイデアだと思う。
 天候は前日から一転して快晴。最高のフェス日和です。

 芸術作品でもある雪上ステージを見物にくる一般客を完全排除はできないので、観客エリアの後ろ半分は無料開放。また有料エリア(当日券4000円)も、高校生以下と60歳以上の高齢者は入場無料と非常に太っ腹なイベントです。
 しかし、残念ながら中高生の姿は全く無かったのが残念。ま、フェスやレイブに参加するには、ある程度の経済力と音楽知識、思想的なバックグラウンドも必要なので、10代の子供にはまだ早いか?
 逆に、何かの歌謡ショーと勘違いして迷い込んでくる高齢者の方々が大勢いたのは微笑ましかった(笑)。

 出演は、ライブが犬式とDachambo、DJがCALMさん、というフェス好きにとっては素晴らしいチョイス。私はちょっと遅れて会場に到着したので、オープニングアクトの「むーたらず」のライブがちょうど終わったところでした。

 

 まずはDJ CALMのプレイ。ガッツリ盛り上げるのではなく、BPMを抑えて落ち着いた感じでした。大物DJなのに、なぜか観客の反応は薄く、DJブース前にも全く人が集まらなかったのはなぜ?

 DJプレイに体を揺らしていると、あっという間にお昼の時間。出店ブースは、飲食よりも服飾関係の物販の方が多かったのですが、山形風の芋煮を発見。イモニストとしてはこれは食べるしかないぞ。
 里芋がゴロゴロ入って、焼きおにぎりも付いて600円。体も温まるし、旨い!

 次のライブは「犬式 a.k.a. Dogggystyle」。名前は知っていましたが、音を聞くのは初めて。
 レゲエをベースとしたジャムバンドとでも言うべきか、カッコいいよ。レベルミュージックの精神性をしっかりと受け継いだボーカルと骨太で低音の効いたバンドサウンド。
 「俺の意志は誰にも犯せない。捕まえるならやってみろ。獄中だってダンスは踊れる、頭の中でラップは続く。人間の愚かしい歴史は俺たちの世代でケリをつけようぜ!」
 スゲェ・・・。こいつらは本気だし、本物だ。

 タイムテーブルでは、犬式とDachamboの間に出演者は載っていませんが、この時間もDJ CALMが2度目の登場。犬式の演奏を意識してか、レゲエ中心の選曲でした。
 次は去年の朝霧JAMでトリを飾ったDachambo。ツインドラム、唸るアナログシンセ、スペーシーなリフを繰り出すギタリスト、グルーヴ全体をリードするベーシスト。フェスティバルの場で必要とされる音を知り尽くした演奏は、本当に気持ちいい。犬式のパーカッションとボーカルも演奏に参加していました。


 終了予定の16:30はあっという間に経過したが、Dachambo村の祭りは終わらない。
 「17時でバスが出るそうですが、まだ演ってもいいですか?もう1曲だけ!」と言って、打ち込みの4つ打ちキックとアナログシンセのシーケンスが流れ出し、そのまま怒濤のグルーヴチューンへ。
 最後は皆がカウベルを持って、打楽器だけで異常な盛り上がり。観客もステージに上がってダイブを繰り返すという、ほとんどイギーポップのステージ状態だ(笑)。


 ともかく、天候に恵まれたおかげで、真冬とは思えない快適なフェスでした。観客は延べ500人くらいかな?
 最後のDachamboで盛り上がっていたのは300人くらいだったと思いますが、一番盛り上がっていたのは出店ブース関係者とスタッフだったような?

 フェス好きには非常に楽しいイベントでしたが、「十日町雪まつり」という枠の中では異物感は否めないと思う。お祭りの中で、豪雪JAMだけがポカンと浮いているというか、独立しているというか。
 実際、関東からのバスツアーで「輸入」している観客も多いわけですが、夜中に東京を出発して、朝に十日町着、ライブ終了後はすぐに東京に戻る、という日程のようなので、豪雪JAMのみにピンスポットで参加して、雪まつりは全く素通りということになる。それでは、地元にとっての経済的な波及効果が発生しない。
 そして、老若男女が楽しむお祭りでは、普通は「当たり障りの無い」イベントが求められるわけだが、ロックフェスというのは確実に「当たり障りのある」存在だ。
 もちろん、雪上ステージあっての豪雪JAMなので、雪まつり期間中に開催するしかないのですが、地元のお祭りとロックフェスをどう両立させていくか、まだまだ課題はありそうです。




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