角松敏生

TIME TUNNEL TOUR“SPECIAL”

1999年3月20日 東京国際フォーラム ホールA


ツアー・スペシャル!のはずが・・・

 2月の新潟公演を見ていたので、最初は行く予定のなかった角松の国際フォーラム2DAYSですが、今回もKWSのまどさんから1日目のチケットを譲っていただきました。毎度ありがとうございます。
 角松の東京公演と言えば、アンコールでのメンバーの「仮装大会」が有名(笑)ですが、私はまだ見たことがない(東京に見に行った経験は93年の凍結ライブのみ)ですし、角松敏生「スペシャル」と言えば、過去にはジェリー・ヘイをゲストに迎えた読売ランドや、ポンタを加えたツイン・ドラムにさらにTHE SYSTEMを迎えた横浜アリーナがあったわけで、今回は何をしてくれるんだろう!?と期待して東京に向かいました。
 会場には早めに入って、角松特集のADLIBとBNN出版から発売されたばかりの角松本をゲット。で、客席に着いて、ステージを見ると・・・ん!? 新潟公演と同じセットだぞ。ホーンセクションが加わるスペースもないし、ドラムセットも一つしかない。疑問を感じつつ、ステージは始まりました。
 数曲演奏したところで、角松のMCとなりますが、ここで衝撃の発言(笑)が!
今日はツアー最終日ということで。」
 ん!? 明日もこの会場で公演があるし、まだ大阪・名古屋があるよな?
「あ、明日は全然内容が違うんで、今日がレギュラーツアーの最終日です。」
 が〜ん(笑)。今日は全然「スペシャル」じゃないのか!? でも、チケットには「TOUR SPECIAL」って書いてあるし、料金も通常公演より高いじゃん。そりゃないよ、角松さん。
 というわけで、演奏内容は新潟公演とほぼ同じ。特徴的なことだけレポートしておきましょう。


宮古島から下地さん登場

 新作“TIME TUNNEL”の中で異彩を放つナンバー“風のあやぐ”。沖縄的なメロディーを使った曲で、宮古島で活動しているボーカリスト下地暁さんとのデュエットなので、当然レギュラーツアーでは演奏されなかったのですが、今回は下地さん本人が登場し、ライブ初披露となりました。
 とりあえず、男同士(笑)でもデュエットというのは盛り上がりますね。いい演奏でした。しかし、ひと昔前のハードロック・バンドのボーカルのような下地さんのルックスにはちょっとビックリ。
 それにしても、角松の沖縄趣味というのは、私はあまり好きではない。本土出身者による沖縄音楽へのアプローチと言えば、代表的なのはTHE BOOM(坂本龍一は論外、ということで)だと思いますが、THE BOOMの“島唄”からは沖縄の歴史(悲惨な戦争も含めて)と文化に対するリスペクトが伝わってくるのに対し、角松の“OKINAWA”や“風のあやぐ”から感じられるのは「リゾート・ホテルから見た沖縄の風景」なんだな。


出た!仮装角松バンド

 アンコール1曲目の“Best Of Love”が終わると、バック・メンバーが仮装のために引っ込み、ステージには通販で売ってる室内運動器具(笑)が並べられます。そして、メンバーが揃わないまま「エクササ〜イズ」こと“GIRL IN THE BOX”スタート。と、コーラスの女性2人はレオタードで登場し、なんと青木氏は加藤茶ばりのハゲヅラ&ステテコ姿(笑)。友成氏もシンセ・ソロは打ち込みにまかせて、ステージ真ん中で上半身裸になる(笑)という「脱ぎソロ」を見せてくれました。いやー、笑わせてもらいました。ハゲヅラなのにバリバリのベースを弾く青木氏は異常にカッコよかった・・・
 楽曲的には“GIRL IN THE BOX”はもう古いとは思いますが、こういう「出し物」としてなら大満足ですな。でも、初めて角松のライブに来た人が、あの仮装大会を見せられたらショックだろうなぁ(笑)。


慣れた観客はマナー悪し

 今回のライブで一番気になったのは、客のマナーの悪さ。ライブ中盤で角松が引っ込んで、ギターの浅野氏のソロ・コーナーがあったのですが、席を立つ人間の多さにはビックリしました。Kadomatsu Web Site のBBSとかを見ていると、BIC(角松ファンクラブ)会員は角松のツアーは3回、4回観るのは当たり前(多分今回も2DAYS両方観た人はかなり多かったと思う)みたいな風潮があるようで、そういうファンの行動が悪い方向に作用しているな、と思いました。
 私も新潟に続いて2回目のツアーだったので、「あ、ここでバック・メンバーのソロ・コーナーだな」というのは分かったけれども、まるで休憩時間のように席を立つのはどうかと思う。もちろん本当にトイレに行きたい人もいるんだろうけど、あの人数が全員そうとは思えない。
 また、本編終了からアンコールまでの間も休憩時間と化していて、私の席の周りの皆さんはおしゃべりに夢中でした。もちろん、今時本当の意味での「アンコール」なんてのはない、ということは常識だけれども、それでも、あのおざなりの拍手はないよなぁ。すごく居心地が悪かった。
 私は和洋を問わず色々なライブを観ているけど、「演奏中に観客が集団で席を立つ」「観客にアンコールを求める気持ちがない」なんてライブは初めてでした。角松のMCにしても、基本的にはどの会場でも話すことは共通しているわけで、笑うべきポイントでの客席からの反応が鈍く、どうも場内の空気に「一期一会」の緊張感がない。慣れた客相手に同じことを話し、同じ曲を聴かせるという「お約束」の仕事をしなければならない角松氏にちょっと同情してしまいました。

 



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