MADONNA

Confessions Tour

2006年9月20日(水) 東京ドーム


13年ぶりの来日

 ベストヒットUSA世代にとっては、マイケル・ジャクソンと並ぶ超大物。とはいえ、自分にとってのマドンナは“ライク・ア・ヴァージン”と“パパ・ドント・プリーチ”の時代で終わっているので、90年代以降は全く興味がありませんでした。
 しかし、去年リリースされた新作“Confessions on a dance floor”が予想外にカッコよかったんだよね。ついに女王ダンス・フロアに帰還!って感じで。プロモ・ビデオではレオタード姿でバリバリ踊るし。
 48歳という年齢を考えると、「踊るマドンナ」を日本で観れるのは、今回のツアーが最後だろうと思ったので、仕事を休んで東京ドーム初日に行くことにしました。
 今回のチケットは、アリーナの前方の席が50,000円通常の席(スタンド含む)でも14,000円、さらにフロア中央の花道周辺の特等席オークションで値段をつけるという、常識はずれのバブリーな価格。私はヤフオクでスタンド1階席を、なぜか定価以下で入手しました。


バブル経済復活?

 開演は19時なので、18時20分頃に東京ドームに入場。客層は、当然ながら30〜40代が主力で、女性の方が多い。どう見ても、50歳を過ぎている派手なオバさんもいる。ま、バブル経済の残骸(失礼)みたいな客層か。私の後ろの席から「デュラン・デュランの来日ライブがさぁ〜」てな話が聞こえてきたのが象徴的でしょうか。
 グッズ売り場をチェックすると、普通のコンサートと違って、アクセサリー類が主力で、全般的に値段設定は高めパンフ4,000円もするし(しかも英語版のみ)、アクセサリー付き(?)のTシャツ7,000円
 せっかくなので、4,500円(これもちょっと高い)の普通のTシャツを購入し、さっそくトイレで着替えました(笑)。この日を逃がすと、多分もう着る機会はないから(笑)。


カメラ撮影OK

 今回のライブはなんと観客もカメラ撮影可能フラッシュ望遠レンズ禁止だけど、普通の撮影は問題なし。ま、確かにカメラ付き携帯が当たり前になってから、コンサートでのカメラチェックはあまり意味は無くなってしまったけれど、撮影公認の太っ腹なライブは初体験です。
 開演19時の予定でしたが、19時20分を過ぎても始まる気配全くなし。と、突然観客から歓声が上がり、何かと思ったら、叶姉妹が登場(笑)。いやぁ、まさにバブルな客層だ(笑)。叶姉妹は、一度アリーナ前方の席についたものの、すぐに撤退。19時50分頃に再び登場しました。
 そして、19時55分頃、今度は安室奈美恵が登場。私は目撃できなかったけど、松任谷由実倖田来未も来ていたらしい。


EQUESTRIAN SECTION

01. Future Lovers
02. I Feel Love
03. Get Together
04. Like A Virgin
05. Jump

 今回のツアーは、公式ホームページ等の各種メディアでセットリスト4部構成での進行が公表されているという、これまた珍しいスタイル。観客の「次の曲はなんだろう?」という期待感に頼らなくても、圧倒的なステージを見せられるという自信の現れでしょうか?
 19時57分、ようやく客電が落ちて、約1時間遅れでライブはスタート
 巨大ミラーボール天井から降りてきて、ボールが開くと、中からマドンナが登場! 競馬の騎手の服装で、馬役男性ダンサー達をムチで叩くというSMチックな演出で、いきなりのビッチぶりを発揮(笑)。
 バンドは、ドラムベース兼ギタリストキーボード、さらにDJじゃないけど楽器を弾くわけでもないマニピュレーター的な男が1人。コーラス2人。サウンドの主要部分打ち込みハードディスク出し)だったので、いっそのこと生楽器は無しでもよかったような気がする。各セクション間での繋ぎでのSEの方が低音が出ていて、PAの出音はよかったと思う。

 そして、4曲目でついに出たよ“Like A Virgin”。ステージ左側につり下げられた乗馬型(?)イス(これもかなりSMっぽい)にまたがって、空中でのパフォーマンス。アレンジはもちろんフューチャー・ディスコ仕様だが、生ドラムのフレーズに80年代テイストを残していたのは、ファンサービスか?
 可動式スクリーン3枚LEDカーテンを使った映像効果もスゴイが、ダンサー達の踊りが本当にハイレベルオリンピック体操競技かと思うようなアクロバティックな動きでステージを駆け回る。 


BEDOUIN SECTION

06. Live To Tell
07. Forbidden Lovers
08. Isaac
09. Sorry
10. Like it or Not

 海外では色々と物議を醸したという十字架はりつけパフォーマンス。宗教には節操のない日本人としては、そんなに目くじら立てなくてもいいじゃん、と気楽に考えてしまうが、そう簡単にはいかないのが、キリスト教社会なのか?
 “Live To Tell”を歌うマドンナの頭上では、数字がどんどんカウントされていき、1,200万になったところで「アフリカではエイズのために1,200万人子供両親亡くしている」というメッセージが映し出されます。演出としては視覚効果抜群だけど、大金持ちセレブのアンタにそんなこと言われてもなんだかなぁ、と思いましたが、その後もマドンナの政治的なメッセージは続く。

 

 “Forbidden Lovers”では、スクリーンにユダヤの「ダビデの星」とイスラムの「三日月と星」が乱舞し、マドンナは男性ダンサー2人(おそらく、ユダヤとイスラムを表してるのだろう)と肩を組んで歌う。ユダヤ思想カバラ信者であるマドンナにとって、これは対イスラムの戦争を拡大し続けるブッシュ政権へのプロテストでもあるのだろう。
 次の“Isaac”では、CDでもフィーチャーされていたアラブ系シンガーが登場。音楽面でもアラブとの融合を実践するあたりに、マドンナの本気度が伺える。


NEVER MIND THE BOLLOCKS SECTION

11. I Love New York
12. Ray of Light
13. Let It Will Be
14. Drowned World
15. Paradise (Not For Me)

 3つ目のセクションは、タイトル通りのパンク・ロック風の演出。
 金髪というか黄色カツラ黒のレザースーツを着込んだマドンナは、レスポールを抱えて、ディストーション・ギターをかき鳴らしながら“I Love New York”を歌う。う〜ん、まさか楽器を弾くマドンナを見れるとは思わなかった。
 そして、ステージを降りて、花道の周りのオークション席の前を一周し、ファンと直接触れあう。オークション席はいくらまで値上がりしたのか知らないけど、マドンナに直に触れられるなら、いくらでも払うという人は世の中結構いるわなぁ。商売上手だ。
 マドンナにミッフィーぬいぐるみを渡したファンがいて、それを抱えたままマドンナはステージに戻りました。マニピュレーターの男の足下にマドンナがミッフィーを置いたのですが、なんとあの男はミッフィーを蹴り倒しやがった。客席からは「ひどーい!」の声が。アイツは日本人を完全に敵に回したな(笑)。


DISCO SECTION

16. Music
17. Erotica
18. La Isla Bonita
19. Lucky Star
20. Hung Up

 最後のパートのテーマは、もちろんディスコ。クラブじゃなくて、フューチャー・ディスコですよ。
 ダンサー達とともに登場したマドンナが羽織ったマントの背中には「Dancing Queen」の文字が。そして、マントを脱ぎ、お揃いの白いスーツサタデー・ナイト・フィーバーあのポーズをキメる。いや、カッコいいよ。70年代からニューヨークのディスコ・シーンで生き延びてきたマドンナならではの重みがある。
 “La Isla Bonita”はラテンのリズムを強調したアレンジで演奏し、懐かしの“Lucky Star”の後は、再び衣装替え
 黒っぽいレオタードで登場したマドンナが歌うのは、もちろん“Hung Up”。プロモ・ビデオで着ていたピンクのレオタードではないのが残念だが、48歳とはとても思えないプロポーションの素晴らしさ。
 クライマックスでは、天井から大量の風船が落ちてきました。


アンコールは無し

 アンコールは無いと知ってはいたものの、場内は暗転し、スクリーンには「Have you confessed?」の文字が映し出されます。どう見ても、アンコールがありそうな雰囲気ですが、場内は薄暗いまま終了のアナウンスが流されました。「え〜!?」とガッカリする観客が大量に発生。
 出口に向かう途中、スパンコールタイツを履いたオバさん(!)を発見。思わず写真を撮ってしまった(笑)。


驚異の現役感

 最近、近所のレンタル屋で1987年来日公演ビデオ(当時はまだ東京ドームが完成前で、後楽園球場だった)を借りて観たのですが、もちろん、全盛期のそのライブに比べれば、今回のマドンナにはさすがに衰えはある。しかし、あのプロポーションとあのダンス、普通に観ていれば、全く48歳とは思えない。
 そして、なによりもその音楽にナツメロ感が全く無く、現役感がみなぎっているところが驚異的最新アルバムの“Hung Up”がクライマックスになる、ということは、まだアーティストとして進化を続けているということだ。観客の全員期待していたであろう“Like A Virgin”ですら、蛇足に思えるほど。
 とはいえ、いくらなんでも50歳を過ぎたら、「ダンシング・クイーン」とはいかないだろうなぁ。そりゃ、ロック界には60歳近くなっても現役ブロンディデボラ・ハリーみたいな人もいるが、マドンナはあんなキワモノ道は選ばないだろう。と考えると、「踊るマドンナ」の最終形がこのツアーとなるだろう。
 どんなアーティストにも、ライブを観るべき旬の時期というのが存在する。マドンナは1987年2006年こそがである、というのが俺の結論。



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