Marisa Monte

2007年5月29日(火) Bunkamura オーチャードホール


15年ぶりの来日

 ついに来たよ、ブラジルの歌姫。ていうか、俺にとっては音楽の女神、マリーザ・モンチ様。
 今回が初来日かと思ったのですが、1992年6月に一度来日していたのですね。アート・リンゼイがプロデュースした「MAIS」が話題になっていた頃ですが、当時は来日していたことを全然知らなかった。なんと15年ぶりの再来日。
 会場は、渋谷東急オーチャード・ホールクラシックミュージカルが中心の上品なホールなので、当然(?)私は初体験です。
 まずはグッズ売り場をチェック。日本盤CD以外に売っていたのは、Tシャツキャミソールで、明らかに女性用なので、購入は諦める(笑)。ビデオでしか持っていなかった「MAIS」と「BARULHINHO BOM」をDVDで買い直したかったんだけど、残念ながらDVDの販売は無し。ライブを観た後は、CDよりもライブDVDの方が売れると思うんですけどねぇ。
 客層は30代以上が主力だけど、学生らしい若者カップルも結構いました。ブラジル人率2割くらいか?
 オーチャード・ホールで面白かったのは、場内の案内役をイベンターのバイトの男の子達ではなく、東急の制服(?)を着た女性従業員が担当していたところ。建物だけでなく、接客も上品なホールでした。


完璧な演奏とサウンド

 定刻の19時を10分ほど過ぎて、場内は暗転。そして、真っ暗なまま演奏が始まり、マリーザ・モンチ暗闇の中で歌い出します。だけに集中させるいい演出ですが、何か違和感を感じる。PA出音が良すぎる。演奏のバランスもマリーザの歌も完璧過ぎて、まるでCDを聴いているかのようだ。
 2曲目で照明が点くと、ステージセット後方の壇上マリーザ様が! 黒い素敵な衣装をお召しですよ。さすがにもう40歳近いので、決して若くはないけれど、妖艶な美しさに磨きがかかっています。
 そして、バンドは9人編成。

DADI / ベース、ギター
MAURO DINIZ / カヴァキーニョ、ギター
PEDRO BABY / ギター
CARLOS TRILHA / キーボード、プログラミング
MARCELO COSTA / ドラム、パーカッション
MAICO LOPES / トランペット、フリューゲルホーン
PEDRO MIBIELLI / バイオリン
MARCUS RIBEIRO / チェロ
JULIANO BARBOSA / ファゴット

 

 しかし、バンド全体を見てもやはり違和感を感じる。まず、転がしのモニターもステージ横のモニターもない。そして、なんと、マリーザのボーカル・マイク以外には、ステージ上にマイクが全く立っていないドラムにもアコースティック・ギターにも全くマイクが無い。要するにステージ上にはPA関係の機材が全く無くて、シンプル楽器ミュージシャンだけがいるのだ。
 どうやら、ミュージシャン達は全員インイヤーモニターを使っているのでモニタースピーカーは不要、アコースティック楽器ピックアップマイクで音を拾っているらしい。ドラムは電子ドラムで、多分ローランドのV-Drumか?
 というわけで、見た目は酒場で演奏する旅芸人バンド(笑)みたいなのに、PAスピーカーからは濁りの全くない完璧なバランスのサウンドが適度な音量で出てくるのです。生ドラム基本でPAのバランスをとっていくと、どうしても大音量になってしまうので、電子ドラムの採用が非常に効いていましたね。
 キーボードの人の横ではラップトップPowerBook G4MacBook Proか?)が動いており、ほとんどの曲で同期演奏していたようです。曲のアタマでマリーザ様が「ウン、ド、レ、アー(?)」と唸っていたのは、クリックに合わせてポルトガル語カウントしていたのだと思う。
 伝統的な楽器最先端のテクノロジーを組み合わせたバンドの演奏も素晴らしいが、何よりもマリーザ様ボーカル美しさにはホレボレする。歌ももちろん上手いのだけど、声自体質感がとにかく心地よい。このバンドに入れば、毎日、マリーザ様のボーカルが聴けるんだよね。俺、マジで加入したい(笑)。
 ともかく、普通のホールで、ここまで音がいいライブを私は観たことがありません。


 演奏した曲は以下のとおり。中原仁さんのブログから転載させていただきました。

1. Infinito Particular (InfInito Particular)
2. Universo ao Meu Redor (Universo ao Meu Redor)
3. Carnavalia (Tribalistas)
4. Vilarejo (InfInito Particular)
5. Eu Nao Sou da Sua Rua (Mais)
6. O Bonde do Dom (Universo ao Meu Redor)
7. Passe em Casa (Tribalistas)
8. Maria de Verdade (Rose and Charcoal)
9. Carnalismo (Tribalistas)
10. Alta Noite (Rose and Charcoal)
11. Satisfeito (Universo ao Meu Redor)
12. Danca da Solidao (Rose and Charcoal)
13. Meu Canario (Universo ao Meu Redor)
14. Segue o Seco (Rose and Charcoal)
15. Beija Eu (Mais)
16. Ate Parece (InfInito Particular)
17. Pra Ser Sincero (InfInito Particular)
18. Tema de Amor (Memorias... =Amor I Love You)
19. Nao E' Proibido (未録音)
20. Velha Infancia (Tribalistas)
(アンコール)
21. Nao Va Embora (Memorias... =Amor I Love You)
22. Ja Sei Namorar (Tribalistas)

 中心となるのは昨年同時リリースした新作2枚とカルリーニョス・ブラウン他とのコラボ作品「TRIBARISTAS」。
 とにかく、どこをとっても良い曲が揃っている。どうしたら、こんなにも良いメロディーとサウンドを生み出せるのか不思議になるほど、素晴らしい曲達が次々に奏でられる。
 圧巻は18曲目の“Tema de Amor ”の奇跡的に美しいコード進行と、予期しない方向に流れていくメロディー。いやぁ、涙出たよ、マジで。
 終盤までは観客は座っていて、ブラジル人の観客がたまに叫び声を上げる程度の静かなライブだったのですが、19曲目でマリーザ様観客手拍子を求めると同時に、ついに総立ち。本編ラストの“Velha Infancia”では観客コーラスに参加して、場内の温度はグッと上がります。
 場内興奮のままアンコールに突入し、マリーザ様がエレキ・ギターを弾く “Nao Va Embora”と「TRIBARISTAS」収録の疾走系のナンバー“Ja Sei Namorar”でライブ終了。
 しかし、客電が点いても、お客さんは全く帰らない。ステージ上の楽器の片づけも始まらず、2回目のアンコールがありそうな雰囲気で、5分以上拍手は続いたと思いますが、結局アンコールは実現せず。
 今回は5/26が名古屋、5/29、30と渋谷で2回公演なのですが、名古屋のお客さんはブラジル人の方が多くて、相当盛り上がったらしい。2回目のアンコールでは、アカペラで観客と一緒に合唱したそうですが、渋谷初日ではブラジル人が少なかったので、スタッフが2回目のアンコールを止めてしまったのだそうだ。翌日の5/30は反省して(?)2回目のアンコールを演ったとのこと。う〜ん、翌日の方を観に行けばよかった・・・残念!
 ともかく、私の長い音楽リスナー人生の中でも、かなり上位にランクされる素晴らしいライブでした。もしも東京に住んでいたら、絶対2日連続で観に行ったと思う。
 次の来日はまた10年後、なんてのはやめてくれよ。頼む。

 



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