Underworld

OBLIVION BALL

2007年11月24日(土) 幕張メッセ


これってエレグラ?

 2005年のエレグラ以来、2年ぶりに来日のアンダーワールド。しかも、単独ライブではなく、THE ORBやSIMIAN MOBILE DISCOも出演するオールナイト・イベントで、ライブの合間はアンドリュー・ウェザウォールがDJするという豪華な企画。これって、エレクトラグライドそのものだと思うのですが(笑)。
 2000年から6年連続で開催され、晩秋の恒例行事となったエレクトラグライドでしたが、2006年はなぜか開催されず。事情はよく分かりませんが、名前は違っても同じ趣旨のイベントが開催されるのは、嬉しいことです。

 まずは入場前に、お約束のTシャツを購入。そして、2005年に続いて、今回のライブもCDとしてリリースされるので、HMVのブースで予約を受け付けていました。ただし、2005年のエレグラのライブCDは、会場での予約限定でのリリースでしたが、今回は初回限定とはいえ、普通に市販されるので、焦って予約する必要なし。
 それにしても、ライブ本番が11月24日で、ライブ盤の発売が12月22日というリリースの早さには驚かされます。ミキサー卓からの2mixをそのまま録音して、ごく簡単にマスタリングしただけでCDプレスに回さないと、この日程は無理だと思う。超大物のアンダーワールドが、メジャーとの契約を更新せず、インディーで活動しているのは、メジャーのレコード会社では実現不能なこういうスピード感を求めているからなのでしょうね。

 会場は、ライブ&DJのフロアと、フード&ドリンクのフロアに2分され、さらに半分屋外のスペースではアンダーワールドゆかりの映画が上映されるという、盛り沢山な構成です。


 

120 DAYS (21:00〜22:00)

 トップバッターはノルウェーのバンド。まだお客さんが全然少なくて、ステージ間近で観ることができました。
 ギター兼ボーカル、ドラム、シンセ関係が3人という編成。8ビートでニューウェーブっぽい演奏だったので、普通のロックバンドかと思ったら、生ドラマーはシンバルとかフィルインのアクセントを加えるだけで、基本のドラムは打ち込み。プロディジーみたいに、打ち込みでダンスビートを流して、ドラマーが生のダイナミクスを加えるパターンはよくあるけど、普通の8ビートを打ち込みで流すというのは、意図が不明だなぁ。
 後半は、ギター兼ボーカルもギターを捨ててシンセ音源に向かい、4つ打ちビートにグランジ風のシャウトを加えるという演奏で、これは結構カッコよかった。


 

ANDREW WEATHERALL (22:00〜23:00)

 今夜のウェザウォールは、4回のステージをそれぞれテーマを変えてDJプレイするという企画。
 最初のテーマは「Nu Skool set」でしたが、1曲目はなぜかプライマル・スクリームの“loaded”。もちろん、ウェザウォールの代表曲だし、聴きたいとは思っていたけど、これが「Nu Skool」かね???
 そして、2曲目はハッピー・マンデイズの“Step On”。おマンチェ世代は、盛り上がるけどさ、このプレイのテーマは「セカンド・サマー・オブ・ラブ」だろ(笑)。

 なんとも疑問符だらけのDJプレイでしたが、最後に帰る時に、入口前のタイムテーブルを見たら、最初のテーマが「Indie/Dance set」に紙を貼って修正されていました。それなら納得ですわ(笑)。


 

フード&ドリンクには問題あり

 夕飯を食べていなかったので、腹ごしらえへ。しかし、フードエリアの行列がひどい。いや、行列しているのかもよく分からないカオス状態で、並ぶ気も起きない。巨大キャンパスでTOMATOのアート・ペイントが行われていましたが、こんなスペースよりも、食べ物の屋台を増やしてくれ。

 フードエリアは諦めて、半分屋外の映画エリアに行ってみると、ホットドッグの屋台が出ていました。寒いけど、我慢して並んで、ようやくホットドッグとビールをゲット。しかし、なんの工夫もないただのホットドッグだった・・・。

 ホットドッグでは満腹にならないし、体も冷えたので、温かい物が食べたい。というわけで、なんとかフードエリアの行列に潜入し、パスタを注文。店員の外人は「パスタ!パスタ!オイシイヨ、パスタ!」と威勢良く声を出しているけれど、冷めたパスタの上にトマトソースをかけただけで、全然温かくないよ。ビールも一緒に頼もうとしたら、「窓口が違う」と言われるし。食べ物環境は、残念ながら0点です。


 

SIMIAN MOBILE DISCO (23:00〜24:00)

 今年のフジロックでも、ちょっとだけ観たはずだけど、全く記憶に残らなかった、このバンド。
 しかし、今回のライブはすごく良かった。ステージ中央には、シンセ機材が満載されたテーブルが置かれ、メンバーはその周りを回りながら(笑)、シンセのツマミをいじり倒すという、家のベッドルーム・スタジオをそのままライブに持ち込んだようなスタイル。
 とにかく、低音の出方が尋常ではない。アナログ・シンセの出力をそのままPAスピーカーに繋いだような、モロ出し(笑)の低音が大音量で迫ってくる。サウンドの鮮烈さでは、アンダーワールドを上回っていましたね。


UNDERWORLD (1:00〜3:00)

 ついに、主役の時間です。ステージには、カール&リックの2人に加えて、今回もダレン・プライスが登場。2005年と同様、3人組アンダーワールドでのライブです。カールは、芸人みたいなラメのジャケットを着用(笑)。カールはトレードマークだったヘッドホンでのモニターをやめて、インイヤーモニターに替えていましたね。見た目がスッキリしました。
 また、機材のセッティングも変更されていて、ミキサー卓をステージ横に向けていました。確かに、この方がリックとダレンのミックス作業をしている様子がよく見えていいですね。コンピューターはiMacが2台とPowerBookが1台動いていたようです。

 曲目は以下のとおり。
Nu Train
Crocodile
Boy, Boy, Boy
Cowgirl/Rez
Beautiful Burnout
Glam Bucket
Two Months Off
Rowla
Born Slippy Nuxx
King of Snake
Pearls Girl
Moaner
--
Jumbo

 1曲目の“Nu Train”では、観客をじらせて、徐々に盛り上げておいて、いきなりシンセパッドのリフをドッカンとカットインするミックスがいい。
 そして、“Boy, Boy, Boy”では、なんとリック・スミスがマイクに向かって歌っている! いや、アナタは歌わないで、ミックスに専念していていいんですよ(笑)。これにはマジで驚いた。
 最高だったのは、“Cowgirl/Rez”。基本は“Cowgirl”で、最後に“Rez”のシーケンスが出てくるのですが、“Cowgirl”で極限まで盛り上げておいて、さらに“Rez”をブチ上げるという2段ロケットのようなミックスは、とんでもない破壊力でした。
 2000年以降のライブでは、映像のポジションが後退していましたが、今回は、TOMATOの映像とのコラボレーションも完全復活。リアルタイムに流される映像の前で踊るカールの姿は本当に美しい。さらに、“Two Months Off”では、チクワみたいな風船オブジェが大量に出現。アンダーワールドのライブで、こういう舞台演出は初めて見ましたが、これも盛り上がった。
 “Born Slippy”は、2003年バージョンのピアノのフレーズは使わず、久々に最後まで“Nuxx”バージョンのままで通しました。
 最後はお決まりの“Moaner”で終了、と思ったら、なんとアンコールで“Jumbo”も演ってくれました。そして、終了後に先にステージ袖に戻ろうとするダレン・プライスも呼び止めて、3人で肩を組んで観客に挨拶です。3人組アンダーワールドの完全復活ですな。

 私は1999年のフジロック以降の東京公演は全部観ていますが、ダレン・エマーソン脱退後では、今回がベストライブですね。
 2005年の3時間ライブでは、Riverrunプロジェクトの曲で間延びした印象がありましたが、今回は選曲といいミックスといい、無駄なところが全く無い。1999年のフジロックでのライブは別格だけど、今回はあのライブにかなり近いクオリティーだったと思う。
 これは私の個人的な想像ですが、ダレン・エマーソン脱退のわだかまりが無くなったことが、この好調をもたらしたのではないだろうか。
 ダレン脱退後、数年間は2人での人手不足ライブを続けていたのは、カールとリックの「意地」だったような気がする。代表曲“Born Slippy”でピアノをフィーチャーした2003年バージョンを作ったのも、あのシンセ・パッドのフレーズは実はダレン・エマーソンが作ったもので、ダレンのアイディア抜きで曲を再構築したかったのではないだろうか?
 実際「Everything, Everything」で効果的にフィーチャーされている“Cups”のシンセリードのリフは、ダレン・エマーソンが作ったものだけど、2人になってからのライブでは、あのフレーズは使われたことが無い。
 新作「Oblivion with Bells」の選曲にはダレン・エマーソンが協力したそうだから、3人の関係が良くなって、過去の曲に素直に向き合えるようになった結果が、今回の素晴らしいライブに繋がったように思う。


 

やっとまともなメシ

 PAブース前の大混雑エリアでアンダーワールドを観ていたら、激しく体力を消耗。というわけで、深夜3時ですが、メシ。
 相変わらずフードブースの行列はひどいですが、プルコギ丼は美味かった(笑)。


THE ORB (4:00〜5:00)

 まさかバンド編成で登場するとは思わなかったTHE ORB。しかもレゲエだ(笑)。黒人ボーカリストは、白いお面をつけて登場したのですが、あまりの歌の下手さ加減に、最初はアレックス・パターソン本人が歌っているのかと思いましたよ(笑)。
 う〜ん、2003年のフジロックで観たTHE ORBは、テクノだったよなぁ。どうしちゃったのだろう???

 なんとか5:00までライブを聴いて、さすがに最後のウェザウォールのDJはパスして帰りました。
 今回はアンダーワールドが全面プロデュースしたイベントでしたが、来年はエレクトラグライドが復活してくれるといいのですが・・・。



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