RISING SUN ROCK FESTIVAL 2005 in EZO

2005年8月20日 石狩湾新港ふ頭横野外特設ステージ


北海道に初上陸

 今までは、まさか自分が参加するなんて夢にも思わなかったエゾロック
 しかし、今年はフィッシュマンズ再結成があると知って、どうにも気持ちを抑えられなくなり、夏休みを利用して北海道に行くことにしました。35歳にして初の北海道上陸ですよ(笑)。
 飛行機で往復だとメチャメチャ交通費がかかるので、行きはのんびりとフェリーで行きました。金曜の朝10時半に新潟を出発して、小樽到着は土曜の朝4時過ぎ。S寝台というシングルの半個室9,300円でしたが、船上ホテルに一晩泊まったと思えば安いもんです。一番安い2等だと5,000円ちょっとですが、相部屋のザコ寝はキツそうでした。寝台にしておいて本当によかった・・・(笑)。

 ライジングサンは、金曜・土曜の2日間の開催ですが、私は日程の都合上、フィッシュマンズの出演する土曜だけを観に行きました。2日間とも参加した友人によると、金曜はかなりので場内はドロドロだったとのこと。到着した小樽で、「長靴現地調達するべきか?」と真剣に考えながら、小樽のフェリー乗り場内にある温泉で朝まで仮眠。
 この温泉で早くもフィッシュマンズTシャツを着た若者に遭遇して、ちょっと嬉しくなる(笑)。


会場に到着

 札幌駅近くのホテルに荷物を預けて、まずは地下鉄で10数分の麻生駅へ。駅はダイエーに直結しているので、ペットボトルを調達。そして、シャトルバスに乗って30分ほどで石狩港近くの会場に到着しました。札幌市街から意外と近かったですね。
 地下鉄もシャトルバスも乗客は20歳そこそこ若者ばかり。いかにもオレンジ・レンジ目当てな感じで、中には「GLAY EXPO」(笑)のビニールバックを持った女の子もいたり。フジロックとあまりに違う客層に「場違いな所に来てしまった・・・」とかなりビビる(笑)。

 しかし、入場してみると、フジと同じ感じの客層で、安心しました。要するに、札幌からクルマで1時間かからないのだから、大人はみんなクルマで来ていて、シャトルバスを利用するのはクルマのない若者と私みたいな旅行者だけ、ということなんでしょうね。
 入場ゲートをくぐると、正面にメインの「SUN STAGE」が見えます。そして、両側にはテントが立ち並ぶ。苗場と違って平地なので、開放感がありますね。テント宿泊で参加するなら、フジロックよりも快適そうです。
 天候は残念ながら曇りで、たまにもパラつきましたが、昨日の雨による泥状態は回復していてひと安心。


北海道のフェスはひと味違う

 SUN STAGEのエリアにレジャーシートを敷いて、陣地を確保。まずは、Tシャツ売り場へ。
 お目当ては、フィッシュマンズライジングサン限定Tシャツだったんですが、残念ながら売り切れ。しょうがないので、オフィシャルのTシャツだけ買いました。フジロックの大行列に比べると、それほど待たずに買えましたね。

 会場内は広い。さすがは北海道だ(笑)。
 ステージ合計6カ所なので、規模としては、フジロックと同レベル。逆バンジーのアトラクションがあったり、お祭りムードはフジ以上かもしれません。
 あと、牧場の草を丸めたもの(?)がたくさん置かれていて、この上で昼寝をしたら気持ちよさそう。これも北海道ならではの光景なんでしょうね。


北海道の食は大充実

 ライブ開始が13時なので、まずは昼メシ。
 いや〜、何を食べるか迷う。マジで迷う。フジロックの倍は屋台が出ているような気がする。それにバリエーションも豊か。ジンギスカンまであったもんなぁ。北海道民の食にかける情熱、恐るべし。に関しては、フジロック完敗ですよ。
 とりあえずは、無難に札幌名物スープ・カレーを食べてみました。


ORANGE RANGE (SUN STAGE)

 まさか、この俺がオレンジ・レンジを観る日が来るとは・・・。結論的には大人の観るものではない。
 様々な音楽の要素をミックスしている点は面白いと思うけど、なんと言っても、演奏がショボいボーカル3人声のデカさでゴマかされている感じ。メンバーが6人いても、コード楽器ギター1本だけなんだから、サウンドのバリエーションにも限界がある。
 あと、MCで「セックスは好きですかー!」とか、お前らは中学生か!?
 人気・セールス面では言えば、出演者の中ではダントツの大物だけど、出番が一番最初にセットされているところに、フェス主催者良識を感じました。
 フジロックには決して出演できないバンドその1。


氣志團 (SUN STAGE)

 まさか、この俺が氣志團を観る日が来るとは・・・。結論的には演奏は不要MCだけの方が面白いな(笑)。
 MCはねぇ、マジで面白かった。30代にはストライクゾーンなネタの数々。オレンジ・レンジの替え歌で「僕らはいつも石田純一」とか(笑)。オレンジ・レンジの「沖縄から熱い風を運んできました!」というMCに対抗して、「木更津から生暖かい風を運んできました!」とか(笑)。共演するバンドをちゃんとチェックして、笑いのネタを常に研究する姿勢には感心したよ。ただし、演奏に関しては、オレンジ・レンジと同レベル。
 フジロックには決して出演できないバンドその2。


TOKYO No.1 SOUL SET (RED STAR FIELD)

 フジロックに続いて、この夏2度目のソウルセット。ステージはフジのホワイトオレンジを足して2で割ったような音楽性の「RED STAR FIELD」。
 セットリストは、多分フジと全く同じだったと思いますが、ターンテーブルの針が飛ぶ、という最悪のトラブル2度発生。楽器陣はそのまま演奏を続けられても、ビッケラップは完全にストップ。ビッケ、よくキレなかったなぁ・・・。


DATE COURSE PENTAGON ROYAL GARDEN (RED STAR FIELD)

 今年のフジロックに出演しなかったので、楽しみにしていたDCPRG。
 菊池成孔のセッティングからはCDJが消えて、オルガンに使うシンセのみ。各楽器で延々とソロを廻す長尺の演奏は、かなりジャズ寄りに感じました。
 3曲だけの演奏なのに、45分の持ち時間を大幅にオーバー。観客をジラせまくって、ようやく“CIRCLE/LINE〜HARD CORE PEACE”で観客が踊り出した時には、終了時間30分近くオーバーしていました。
 菊池さん、時間を守る気は全くなかったようです。最近は「情熱大陸」に出演したりして、メディアへの露出が増えていますが、フェスのマナーは守りましょうよ・・・。
 演奏終了と同時に、次のStrange Love Psychedelicoのお客さんが一挙に流れ込んできて、客層が完全に入れ替わったのが面白かった。


フィッシュマンズ (SUN STAGE)

 北海道まで来た最大の目的、フィッシュマンズのライブがついに始まる。
 SUN STAGEに戻ると、スクリーンには「フィッシュマンズ」の文字が。これを見ただけで、ちょっと涙が出てきた。
 フィッシュマンズが現役だった時には、日比谷野音が最大のライブ会場だったはず。佐藤伸治の死から6年。ついに、野外特大ステージでフィッシュマンズを聴ける日が来たのだ。

 PAエンジニアはもちろん盟友ZAK。この巨大なPAスピーカーでフィッシュマンズをどう鳴らしてくれるのか、期待が高まります。スタッフは全員オレンジ限定「I'M FISH」Tシャツを着用。観客も「I'M FISH」率はかなり高い。みんなこの日を待っていたんだねぇ。
 そして、ステージに登場したメンバーは一列に並んで、まずは観客にご挨拶。茂木欣一柏原譲HONZIダーツ関口の後期フィッシュマンズのメンバーが並ぶ姿を見て、また目頭が熱くなる。佐藤伸治の代わりにギターを担当する木暮晋也に加えて、スカパラの沖祐市がキーボードで参加。

Weather Report / 原田郁子

 1曲目は・・・あの柔らかなシンセ・パッドが流れる。“Weather Report”だ。また、この曲を再びライブで聴けるなんて・・・最高だ。イントロだけで、もう涙が出てきたよ。
 そして、登場したボーカリストは、クラムボン原田郁子。フィッシュマンズ好きで知られるクラムボンだから、予想通りの人選だけど、トリビュート盤で“ナイトクルージング”をカバーしていたので、“Weather Report”を歌うとはちょっと意外。
 郁子ちゃん、歌いながらもなんかモジモジしていて、所在ない感じだなぁと思ったのですが、それは多分ピアノがないせいですね。クラムボンでもポラリスでも、ピアノ彼女の歌常に一体だから、ハンドマイクステージ真ん中で歌うというのは、きっと何か物足りないのでしょう。

ナイトクルージング / 永積タカシ

 次はフィッシュマンズ最高の名曲ナイトクルージング”。この曲を歌えるのは原田郁子しかいないと勝手に思っていたけど、代わりに登場したボーカリストはハナレグミ永積タカシ
 ハナレグミって全然聴いたことないので、どんな感じになるのか想像できませんでしたが、演奏が始まった途端、そんな不安は吹き飛んだ
 ドラムベースの完璧なコンビネーション。豊かに響く低音。これがフィッシュマンズだ。これこそ本物の音楽だ。オレンジレンジな若僧共よ、お前らにこれが分かるか?

 永積タカシの伸びやかな歌声は佐藤伸治とは全く違う開放感で、夕暮れの空に向けて、この名曲を解き放っていく。
 「窓は開けておくんだよ いい声聞こえそうさ」
 そう、あれから6年経つけど、ずっと窓を開けてこの瞬間を待っていたんだ・・・。もう、涙が止まらなくなってきた。

頼りない天使 / UA

 次に登場したのはUA。この1曲だけのためにUAを東京から連れてくるとは、なんと贅沢な企画だ。
 意外なことに、佐藤伸治のボーカルに一番近い味を出していたのがUAだったと思う。男性と女性との違いはあるけど、2人のボーカルは音響としての心地よさを追求する部分が共通している。
 UAなら、フィッシュマンズに正式加入してもいいかもね。

MELODY / 忌野清志郎

 UAの「次はもっとスゴイわよ」というMCに続いて登場したのは、なんとキヨシロー! いやぁ、メチャメチャ驚いたよ。
 サプライズな人選だけど、“MELODY”のメロディーとキヨシローは意外と合う。佐藤伸治のボーカルの裏返る感じとキヨシローの歌のスタイルには意外な共通点があったのだなぁ。
 ジェームス・ブラウン風のマントを羽織って登場したキヨシローは、一気に観客の心を掴んでしまった。さすがの貫禄です。

いかれたBaby / 原田郁子・永積タカシ・UA・忌野清志郎・ビッケ

 あっという間に最後の曲。4人のボーカリストが全員登場し、さらにソウルセットのビッケも参加。最初はビッケ用のマイクが用意されていなかったので、本当に急遽駆けつけてくれたのでしょう。
 「悲しい時に浮かぶのは いつでも君の顔だったよ」
 ちょっとしんみりする歌詞だけど、キヨシローのリードの元で会場は一体となって、フィナーレを迎えました。

 「いかれたBaby」・・・佐藤伸治表現するのにピッタリな言葉だよ。

 今回の再結成ライブを知った時、俺は追悼ライブみたいな企画を想像したんだよね。佐藤伸治の代わりになるボーカリストなんているわけないから、「最後のフィッシュマンズ」であるドラムの欣ちゃんが叩きながら歌う。で、ステージの真ん中には佐藤伸治愛用していたギターをセッティングして、もちろんマイクも用意。佐藤伸治の魂が舞い降りることを信じて、演奏するという。
 だから、ゲスト・ボーカリストが参加すると知って、なんか邪魔だなと思ったんだけど、今回のライブを観て、はっきりと分かった。俺が間違っていた

 佐藤伸治から6年経って、今やるべきことは、彼が残した曲に新しい命を吹き込むことだ。誰かが彼の曲を歌い継ぐことによって、佐藤伸治の音楽は生き続ける。フィッシュマンズの音楽止めないこと。それが僕等にできることだ。
 ステージを去る前に、欣ちゃんは「また会おう!」って叫んでいた。そう、必ずまた会おうぜ! 


吉田美奈子 (RED STAR FIELD)

 フィッシュマンズが終わってしまい、抜け殻状態でEARTH TENT横のレストラン・エリアへ移動。
 すると、ドスの効いた歌声が遠くから聞こえてくる。そうか、フィッシュマンズと重なって吉田美奈子は観れないはずだったんだけど、DCPRGが時間を大幅オーバーしてくれたおかげで、RED STAR FIELDは時間が押していたのです。ラッキー! 夕飯は後回しにして、ステージへ走る。
 いやぁ、美奈子さん、見た目ドスが効いてるよ(笑)。ライブを観るのは約10年ぶりだけど、あの圧倒的ボーカリゼーションはますます深みを増している。若僧共とは存在感が全く違う。圧巻は名曲“LIBERTY”で、ゴスペル的な盛り上がりにシビれた。本人曰く「ロック・フェスなので、絶叫調にしてみた」そうですが(笑)。
 バンド・メンバーはお馴染みの美奈子バンド。ドラム山越勉氏のみ初めて聞く名前でした。ポンタ山木秀夫沼澤タカといった歴代の大御所ドラマー達に比べると、ちょっと弱いなぁ、というのが正直な感想。やっぱ、ファンクはドラムが命だからねぇ。
 ちなみに、美奈子先生は「いつもと違って今日は短いステージ。時間をオーバーすると、すっごい怒られるんだって!」と話していましたが、DCPRG菊池成孔は相当怒られたんでしょうなぁ(笑)。


ROSSO (SUN STAGE)

 チバユウスケ照井利幸という90年代の日本のロック・シーンを牽引してきた2人によるバンド。初めて聴いたけど、どの曲も同じような曲調なのが難点でしょうか。ミッシェル・ガン・エレファントの“世界の終わり”みたいにメロディアスな曲もあるといいと思うんだけど。

 さすがは北海道、暗くなると一気に肌寒くなってくる。朝まで会場で過ごすなら、テント絶対必要な感じです。今回は、軽い装備で参加していたので、ROSSOの途中で札幌のホテルに帰りました。バスも地下鉄も結構空いていたので、大半の人は朝まで会場で過ごしたみたいですね。
 北海道の皆さん、お疲れ様でした!



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