小松亮太&ヴィクトル・ラヴァジェン

タンゴ・スプリット

2000年9月16日 新潟市民芸術文化会館


正装・小松亮太

 新潟の芸術文化会館というところは、その名のとおりクラシック専用ホールでありまして、パイプ・オルガンがドーンと鎮座しているような高級な会場でございます。ということで、メンバーは全員タキシード&ドレスで正装。一般的な「タンゴ」の客層を考えると仕方ないと思いますが、小松亮太のように先鋭的な演奏家をクラシックのカテゴリー押し込めることは、非常に残念な現象です。
 客の入りは非常に悪く、キャパの半分くらいだったでしょうか? 小松亮太本人から「僕はライブハウスのような雰囲気が好きだから、皆さん、前の方に来ちゃってください」と促され、ゾロゾロと客が移動した結果、後ろ半分と2階席はガラ空き。年齢的にも半分以上はクラシック系のおじさま・おばさまでした。う〜む、もったいない。


ピアソラは1曲もなし

 今回は、アルゼンチンからヴィクトル・ラヴァジェンという大物バンドネオン奏者(オスバルド・プグリエーゼ楽団のメンバーだったそうな)を迎えた特別企画で、メンバーは小松亮太のレギュラーバンドとは異なる編成。ピアノ、コントラバス、バンドネオンという通常メンバーに加えて、チェロバイオリン4名という見た目にもクラシカルなメンバー。クラシックの感覚だと、これだけ弦の人数がいれば、当然指揮者が必要でしょうから、客のおばさまが「よく音が合うわねぇ」と感心(?)していました。ポピュラー系の私の目から見ても、ドラムなしでテンポもどんどん変わっていく演奏で、あれだけの人数がぴったりと息が合うというのは凄いことだと思う。
 さて、小松亮太ファンなら「おや、E.ギターはいないのか?」と気付くはず。そう、ピアソラの曲を演奏するには不可欠なE.ギターは今回はなし。ということは、今回のツアーはピアソラは1曲もなし
 ピアソラ・ブームとともに知名度を上げてきた彼にとって、これは大きな冒険でしょう。曲は古いタンゴの曲やヴィクトル・ラヴァジェンのオリジナル曲ばかり。私が知っている曲は1曲も無かったけれど、彼らの素晴らしい演奏は非常に満足できるものでした。ピアソラ無しというのは、やはり物足りなさは残るけれど、小松亮太という演奏家にとって、ピアソラはいつか超えなければならない大きな壁のはず。その一歩を踏み出したことは評価したいですね。
 次は本人作曲によるオリジナル曲というのを期待したいと思います。

 



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