UA

Turbo Tone '99

1999年11月19日 新潟フェイズ


最高の生ダブ・バンド

 1年半ぶりの新潟公演。今回は新潟フェイズですが、やはりUAにはホールよりスタンディングの方が似合う。ダブ・レゲエを全面的に導入した新作“Turbo”のツアーだけに、ダブ好きの私には見逃せません。開演前のSEにはやはりダブが流れ、期待がつのります。
 登場したバンドはDr,B,G,Key,Choという通常の楽器に加えて、打ち込みのマニピュレーター(外人)とスティール・パン&ギターという7人編成。夏のフジロックの時のバンドとはベースとキーボード(当然、朝本浩文)以外のメンバーは総入れ替えで、サウンドも全く違う。完全にダブなサウンドディレイもビシッと決まる。フジロックでは“AMETORA”ツアーのサウンドを引きずった音でしたが、今回は完全な“Turbo”仕様
 特にギターはなんと鈴木賢二!(漢字はこれで正しかったっけ?) Bomb The Bassで弾いていた、あの「KENJI JAMMER」ね。さすがに貫禄のあるプレイでダブ空間への切り込み方もバッチリ。さすがでした。いつの間に日本に帰ってきたのだろう? イギリスに永住したのかと思っていた。
 あと、スティール・パンの人も良かったねぇ。エレキギターとスティールギターもプレイしていたけど、特にスティールギターが絶品。外人のマニピュレーターの前にはミキサーがセットされていたので、ダブ・ミックスもコイツがやるのか?と思ったけど、ディレイ処理はハウスPAでやっていた模様。マニピュレーターは打ち込みトラックの抜き差しをやっていたようですが、そのバランスも絶妙で、理想的なサウンドでした。
 ともかく、最高の生ダブで、こんな演奏を女性シンガーのライブで聴けるとは、すごい時代になったものだと感心しましたよ。


素晴らしいUAの表現力

 主役のUAの歌もすごく良かった。デビューした頃のUAには「黒人系」のイメージがあったけど、今は完全にオリジナルのスタイルを築いていると思う。柔らかな声質と豊かな表現力は、まさにワン・アンド・オンリー。「ダブ」という新たな音場は彼女を次のレベルに引き上げたと言えるだろう。夏のフジロックよりも数段良かった。
 あと曲の良さ、ね。やっぱり朝本浩文は天才だなぁ、としみじみ思いました。尊敬しますよ。
 抑制の聴いたリズムなのに、じわじわとその場の温度を上げていくUAのボーカルとバンドのサウンドは本当に素晴らしい。私が今年観たライブの国内部門では文句無しに第1位ですな。海外部門のトップは、フジロックのアンダーワールドですが。
 ちなみに、観客で倒れた人が2人も発生していましたが、なぜ、あんな心地よい演奏のライブで倒れるのか全く理解不能。何をそんなに興奮していたのだろうか? 非常にマニアックで高度な音楽を作り上げているUAと観客のギャップに不安を覚えましたが、UAを聴いてダブに興味を持つ人が1人でも増えてくれれば、と願っています。

 



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