ディスク・レビュー 2000年5月


artist

fra-foa

title

月と砂漠

label

TOY'S FACTORY (2000)

 D.U.B.の2人が学生時代に在籍していた東北大学軽音楽部Feelin' Free から生まれたバンドがついにメジャーデビュー。レコード会社はなんと天下のトイズ・ファクトリー! テレビCMはバンバン放送するは、ROCKIN' ON JAPANに見開き広告&インタビューは載るは、相当力を入れて売り出しています。
 ギターの高橋君は昔一緒にバンドをやったことがあるし、ボーカルの三上さんが学祭のコピーバンドで歌う姿を見たこともあるので、このデビューには感慨無量ですね。昨年7月には仙台のライブハウスでD.U.B.と対バンしてもらったのですが、彼らは次元の違うステージへと踏み出していきました。
 サウンドを分かりやすく言うと、Coccoを美人にしたボーカルにオルタナ色の強いギターバンドという感じか? エンジニアリングは大御所・渡辺省二郎、マスタリングはバーニーグランドマンの前田康二、という凄いスタッフで制作されています。次のシングルはなんとスティーブ・アルビニのプロデュースらしい。このまま突っ走ってくれ!


artist

面影ラッキーホール

title

音楽ぎらい

label

WAX RECORDS (1999)

 こちらも私の学生時代のバンド仲間・木原宙が在籍しているバンドのメジャー2作目。一部では超有名なバンドですが、なにしろ詞の世界がアレなんで(笑)、一般メディアに登場することはあまりない。タイトルだけ見ると(例:ひとり暮らしのホステスが初めて新聞をとった)コミックバンドか!?という感じですが、内容は濃い。ファンク、ソウルをベースとしたサウンドもハイグレード。
 まぁ、好き嫌いがハッキリするタイプのバンドなんで、万人にお薦めはしませんが、じゃがたらやビブラストーンが好きだった人には自身を持って推薦します。


artist

Dragon Ash

title

Viva La Revolution

label

Victor (1999)

 いやぁ、恥ずかしながら今さら買ってしまいました。いや、正確にはタワレコのポイントカードでもらいました(笑)。
 テレビでプロモビデオを見ると異常にカッコよくて、「降谷建志、最高!」なんてアホなことを考えていたんだけど、ビジュアル抜きでCDを聴いてみると、意外と普通、というのが正直な感想。別に彼は本格的なラッパーではないわけで、結構オールドスクールな感じのラップは、期待していたほどのスピード感を感じさせてはくれなかった。
 分かっていたこととはいえ、前半ヒップホップ、後半メロコア調のパンク、というとりとめのない構成もなんだかよく分からん。
 余談ですが、クレジットの中にディレクター梅原伸助氏の名前を発見。D.U.B.がプレステの仕事でお世話になった人なんですが、いい仕事しているなぁ。


artist

MARISA MONTE

title

memorias, cronicas e declaracoes de amor

label

EMI (2000)

 ブラジルの歌姫の新作。本人とアート・リンゼイの共同プロデュースで、メルヴィン・ギブスやピーター・シェラー(Ambitious Lovers ! )といったNY人脈と、リミーニャ、カルリーニョス・ブラウン等のブラジル勢が参加。カエターノ絡みでお馴染みのジャキス・モレレンバウムもチェロを弾いています。
 ブラジル音楽としてのルーツを大切にしつつ、普遍的なポピュラーミュージックとしての魅力も備えたサウンドは思わず聴きほれてしまうほどの美しさ。アート・リンゼイと出会って以降のマリーザ・モンチのアルバムに駄作なし。


artist

KIP HANRAHAN

title

A FEW SHORT NOTES FROM THE END RUN

label

american clave (2000)

 キップ・ハンラハン名義の4曲入りシングル。曲は全て古い音源で、レコーディングされたのは1984〜5年。当時、一応シングルでリリースするべく制作された曲のようですが、それが今さら突然のリリース。
 参加メンバーはジャック・ブルース、スティーヴ・スワロウ、アンディ・ゴンザレス等々、アメリカン・クラーヴェではお馴染みのミュージシャン達。ジャズともラテンともつかないハイブリッドな音楽は、レーベル名である「アメリカン・クラーヴェ」をまさに表現していると言えるでしょう。


artist

SREREOLAB

title

THE FIRST OF THE MICROBE HUNTERS

label

Electra (2000)

 音響系ではトータスと並ぶトップバンドと言えるステレオラブの新作。生楽器を主体としながらも、いわゆるバンドサウンドとは全く異なるアプローチでの音像には本当に感心させられます。特に1曲目の生ドラムの8ビートにマリンバのフレーズの反復をひたすら続けながら、様々な楽器の音を少しずつミックスして、じわじわと盛り上げていく構成力は本当に凄いと思う。
 夏のフジロック3日目に出演する彼ら。ライブではどんな方法論を見せてくれるのか楽しみです。


artist

ROVO

title

imago

label

dohb disc (1999)

 こちらもまた言葉では表現が難しい音楽ですが、ボアダムズの山本精一とダブ・スクワッドの益子樹が参加しているバンドといえば、なんとなく想像がつくのではないでしょうか?
 生楽器のダイナミズムとテクノの反復性、ボアダムズ的な凶暴性をミックスしたサウンドは、ステレオラブにも全く負けていません。彼らも今年のフジ・ロックに出ます。要チェックでしょう。


artist

LTJ BUKEM

title

JOURNEY INWARDS

label

Good Looking Records (2000)

 ミックスCDや自身のレーベルのコンピレーションは色々とリリースしていましたが、リーダーアルバムは初めてのLTJブケム。ソウルやジャズを取り込んだサウンドはドラムンベースの世界を完全に超えています。
 インナーにはリロイ・ハトスンやロイ・エアーズのレコードジャケットの写真が使われていて、「何故だ!?」と疑問に思いましたが、音を聴いて納得。フェンダー・ローズやサックス、生ベースをフィーチャーしたサウンドには、70年代のニューソウルやジャズ・フュージョンの感触があります。が、決して懐古的な意味ではなく、刺激的なリズムとミックスされたサウンドは非常に未来的。2枚組のボリュームで、聴きごたえ十分です。


artist

F.E.O.D.

title

F.E.O.D.

label

sound force (1998)

 4月のClub Edge というヤマハ主催のイベントでD.U.B.と対バンしたF.E.O.D.というクラブ系ユニットのアルバム。インディー・リリースながら、スクリーデリア・エレクトロの石田小吉、L-Rの黒沢健一という豪華なゲストが参加。
 打ち込みサウンドに生のドラム&ベースをミックスしたサウンドは、非常にカッコいいです。特にベースはエフェクトといいプレイといい、ベースの常識を超えたサウンドを出していて刺激的。
 ライブではサックス、DJ、女性ボーカルを加えていて、人力ケミカルブラザーズ(?)みたいな、大迫力の演奏でした。あのレベルの演奏をしていれば、メジャーシーンに出てくるのも近いのではないでしょうか?


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