ディスク・レビュー 99年2月


artist

角松敏生

title

TIME TUNNEL

label

IEAK (1999)

 ようやく出た7年ぶりの新作。
 アガルタではブレイク・ビーツを使ったり、ブラジルのリズムを使ったりと実験的な音作りをしていましたが、自分名義のアルバムでは開き直ったかのようなバリバリの角松サウンドを聴かせる。シンセやホーンの音色、シンセベース+生スラップの重ね方など7年前と全く変わらないわけで、中途半端な80年代感が漂ってきますが、それが角松サウンドの個性だと言われれば返す言葉は無い。イントロを聴いただけで「これは角松だ」と分かるということは、完全に個性として確立しているのだな。
 気になったのは、詞のテンションが落ちたような気がすることで、職業作詞家が書いたような感じの曲もある。レトリックが巧妙になったのかもしれないけど、“All is Vanity”や“あるがままで”での血を吐くような気迫が伝わってこないのが残念。ま、あの頃の個人的なつらい経験を楽曲として昇華していた彼は異常な精神状態にあったのでしょうが。
 とはいえ、演奏のクオリティは非常に高いし、楽曲も粒揃いで、11曲(ホントは12曲)収録というアナログ的な「アルバム」構成には30代ミュージシャンの良心が感じられます。


artist

SPEED

title

Precious Time

label

TOY'S FACTORY (1999)

 100点。文句なし(笑)。


artist

宇多田ヒカル

title

Movin' on without you

label

EAST WORLD (1999)

 テレビCMでお馴染みの新曲。CMでサビだけ聴いた時はあまりのカッコよさにマジでビビりましたが、曲全体を通して聴いてみると、“Automatic”ほどのインパクトはない。“Automatic”では詞の内容がストレートに伝わってくるミックスだったのですが、今回はボーカルも楽器の一部として扱われているような感じで、彼女の詞の良さが生かされていないのが原因か?
 しかし、16才の子供が「私から別れてあげる いいオンナ演じるのも楽じゃないよね」なんて詞を書くんだから、すごいですよね。才能に年齢は関係ないということなんでしょうねぇ。


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