ディスク・レビュー 99年4月


artist

上原多香子

title

my first love

label

TOY'S FACTORY (1999)

 恐れていたSPEEDの多香ちゃんのソロ・シングル。いかにSPEEDファンの私と言えども、この歌唱力はキツイ(笑)。しかし、意外に売れてるらしいんだよね。これでスタッフが「よし!多香子はソロ・シンガーでもいけるぞ!」なんて勘違いしないことを祈るしかないよな。今回のセールスは初上場株のご祝儀相場みたいなものだと思いますが・・・
 ま、河村隆一マイナス100点、多香ちゃん100点、総合で0点という感じか!?


artist

Cubic U

title

Precious

label

東芝EMI (1999)

 宇多田ヒカルのニューヨーク時代の作品。サウンドは典型的な低予算R&Bという感じ。と言っても、本場の低予算R&Bで、音は完全に洋楽です。
 これも“First Love”の影響でかなり売れているようですが、平均的な日本人にはピンとこない音楽だと思う。テレビでも頻繁に耳にする“Close To You”がやはりベスト・トラック。


artist

Original Love

title

変身セット

label

ポニーキャニオン (1999)

 10周年記念の限定ボックス。ベスト“変身”、ライブ“EX-L”、ビデオ“ten years after”のセットだが、ライブ盤はリミックスを加えて、後日またリリースされるというマニア泣かせの商品。
 全体的に感じられるのは、田島の「今のオリジナル・ラブこそベストだ」という思い。ビデオもヒストリー物とは言いながら、昨年のツアーのライブ映像が中心だし、ベスト盤も初期の楽曲の収録は少ない。特に“EYES”から1曲も選ばれていないのが謎。
 ミュージシャンは誰でも「自分の最新作こそ最高だ」と思っているのだろうし、そうでなければ創作活動は続けられないのだろうけど、ビデオで“Million Secrets of Jazz”を歌うシャープな田島と、現在のすっかり太って変なテクノもどきポップスを演奏している田島を見比べると、どう見ても昔の田島の方がカッコいいのだ。田島ファンとしては非常に複雑な思いを抱いてしまう10周年です。


artist

池田亮司

title

+/-

label

TOUCH (1996)

 サウンド&レコーディング・マガジンではよく名前を目にするアーティスト。「サイン波を駆使した独特の音響」なんて表現される人ですが、聴いてみてビックリ。本当にサイン波が押し寄せてくる感じ。波形が見えるようなシンセ音がミニマルなループとして重なり、音響空間を形成していく。この人はマジで天才ですよ。


artist

VA

title

Reich Remixed

label

NONESUCH (1999)

 いつか誰かがやるだろうと思っていたスティーヴ・ライヒのリミックス。コールド・カット、ハウイーB、DJスプーキーなど豪華な顔ぶれです。ミニマルとテクノは共通する部分が多いだけに、ほぼ予想どうりのサウンドで、「なんじゃこりゃ!?」というような過激なリミックスはない。ま、NONESUCHからのリリースだから当たり前か。
 それにしても、この豪華なリミキサー陣の中に当然のように加わっている竹村延和とケン・イシイって、やっぱり偉大だ。


artist

石野卓球

title

throbbing disco cat

label

Ki/oon (1999)

 発売が何度も延期されたので、期待が膨らんでいた卓球のソロ3作目。1曲目はいきなりのディスコ全開でビックリするけど、全体的にはミニマルな感じで、前作“BERLIN TRAX”の延長線上と言える。
 一時期はやたらと盛り上がったテクノですが、ブームも収まったというか、シーンが細分化したというか、こういう王道のテクノ・サウンドって久しぶりに聴いたなぁ、という気がしますが、さすがは石野卓球、貫禄の仕上がりです。


artist

CHARA

title

STRANGE FRUITS

label

Sony Music Entertainment (1999)

 多分、これはチャラの最高傑作だろう。前作“Junior Sweet”も良かったけど、これは完全に前作を超えている。複数のプロデューサーによるサウンドの完成度もチャラのボーカルの表現力も素晴らしいとしか言いようがない。チャラのボーカルって、歌詞は全然分からないんだけど、確実に何かが伝わってくるんだよね。あの独特の歌唱をきっちりと収録したエンジニアリングも見事です。


artist

SQUAREPUSHER

title

BUDAKHAN MINDPHONE

label

WARP (1999)

 前作でフリージャズ的なサウンドに方向転換したスクエアプッシャーですが、このミニアルバムも同じ方向性のサウンドです。が、音響系とも言えるサウンド処理が施されており、前作よりは聞きごたえがある。
 でも、フロアからはもう全く相手にされないでしょうねぇ。


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