ディスク・レビュー 99年8月


artist

Zoobombs

title

Bomb Freak Express

label

東芝EMI (1999)

 メンバーチェンジ後のズボンズの新作。今までの全楽器がダンゴ状態で歪んでいたようなサウンドから変化し、楽器がちゃんと分離したクリアな音になりました。クリアといっても迫力がなくなったわけではなく、ハイファイでありながらも混沌としたパワーが感じられる素晴らしいミックスになっています。
 ロックとブルースとファンクを同時にドライブさせることができるズボンズは、間違いなく日本が世界に誇れるバンド。最高です。


artist

Towa Tei

title

Last Century Modern

label

eastwest japan (1999)

 サウンドはもちろん、アートワークも含めてのイメージ作りには、ディー・ライト時代から見事な才能を見せるテイ・トウワ。今回も全く隙のない完璧な作品です。“Last Century Modern”というタイトルだけでも一本とられたという感じ。
 でもねぇ・・・完璧なんだけど、どうも僕はテイ・トウワの音楽に何か違和感を感じるんだよね。それは多分、彼の音楽に「感心」はしても「感動」はしない、ということなんだと思う。今作に収録されたCharaボーカルの“Let Me know”なんかは確実に名曲・名唱なんだけど、どうもサウンドが素直な感動の邪魔をするんだなぁ。


artist

hiro

title

AS TIME GOES BY

label

TOY'S FACTORY (1999)

 SPEEDの島袋寛子ちゃんのマキシシングル。曲は当然の伊秩弘将で、ソロデビュー曲“見つめていたい”と同様ミディアムテンポの美メロ系の曲。かなりいいです。
 しかしまぁ、3曲目の“Delicious”は昔のアイドルみたいにラブラブな曲で、聴いているこっちが赤面してくるよ。伊秩弘将はこんな詞を書いていて「俺って一体・・・」と疑問に思うことはないのだろうか(笑)。


artist

AGHARTA

title

REVENGE OF AGHARUTA

label

IDEAK (1999)

 角松敏生の覆面バンド「アガルタ」の新作。といっても、旧作のリミックスor リマスターに新曲をプラスという構成なので、インディーでの最初のリリース、メジャーでの再リリース、今回のリマスターと、同じ曲を何回買わせれば気がすむのじゃ(笑)。ま、文句言いつつ買ってるんだけど。
 いくら「長万部太郎」という変名でサンバを演ったところで、角松のボーカルが聴こえてきた途端に、完全に角松ワールドになってしまうのがちょっと悲しいところ。角松がどれくらい真剣にブラジル音楽に取り組んでいるのかは知らないけど、どうせやるならTHE BOOMの宮沢和史くらい徹底的にやってほしいものです。というか、真剣にやらなければ、ブラジル人に対して失礼だと思うけど・・・


artist

LITTLE TEMPO

title

RON RIDDIM

label

cutting edge (1999)

 日本のダブ・バンドのメジャーデビュー盤。名前は前から聞いていたのだけど、実際に聴くのは初めて。正統派のダブといいいますか、ルーツ・レゲエ的なレイドバックしたビートとスティール・パンの響きが心地よい。
 ボーカル曲が2曲収録されたCDシングルも付いてまして、元フェアグラウンド・アトラクションのエディ・リーダーがいい唄を聴かせてくれます。彼女の声がまた意外とダブ空間と合うのですよ。


artist

DUB SQUAD

title

ENEMY? or FRIEND?

label

NS-com (1998)

 こちらも日本のダブ・ユニットですが、レゲエ系ではなくエレクトリックなテクノ系ダブ。リトル・テンポとは正反対の攻撃的なリズムが突き刺さってきます。これはマジでカッコいいですよ!
 このユニットも名前は随分前から知っていて、以前聴いた時はアンビエントな印象があったんだけど、今はオーディオ・アクティヴをもっとダンサブルにしたような感じ。フジ・ロック99のダンステントに出演していたはずだよなぁ。ライブ観ておけばよかった・・・


artist

TRICKY

title

JUXTAPOSE

label

ISLAND (1999)

 ブリストルからニューヨークへと移住したトリッキーが、サイプレス・ヒルのDJマグスとヒップホップ・プロデューサーのグリースとコラボレートした新作。トリッキーの作品というとダークでドロドロしたイメージがありますが、今回はアメリカのヒップホップの要素が加わり、今までよりは聴きやすくなっています。が、底辺を流れるダビーな低音はやはりブリストル直系。呪いのようなトリッキーの声が迫ってくる音像はかなりヤバイです。


artist

PRINCE

title

THE VALT

label

Warner Bros. (1999)

 殿下の未発表曲集。ワーナーから「プリンス」名義でのリリースということは、おそらく殿下には無断での発売と思われます。ライナーには「85年から94年の間に作られた」と書いてありますが、参加メンバーのクレジットはニューパワージェネレーションで、曲のテイストも90年代前半の感じ。残念ながら80年代後半の絶頂期の曲は2曲くらいか?
 内容は大したことないと分かっていても、買わざるを得ないのがプリンス・マニアの辛いところですな。


artist

VA

title

Marvin is 60

label

Motown (1999)

 本家モータウンからリリースされたマービン・ゲイへのトリビュート盤。参加シンガーはなかなか豪華で、エリカ・バドゥとディアンジェロのデュエットという企画もあり。ただ全体的に原曲のイメージそのままにカバーという感じなので、サウンド的な面白さはない。ま、マービンの曲を大胆に解体なんてアルバムををモータウンが作るわけはないか。
 私が注目していたのは、この企画に参加すると報道されていた小沢健二。現在ニューヨーク在住だそうだし、ついに世界デビューか!?と楽しみにしていたんですが、残念ながら日本盤のみのボーナス・トラックでした。ジャネイがカバーした“got to give it up”のバックトラックをそのまま使って、小沢はなんと日本語でカバー。唄の上手さでは黒人シンガーとは全く比較にならないんだけど、カバーの面白味という意味では小沢のバージョンが一番良かったです。


artist

PEDRO LUIS E A PARADE

title

E TUDO 1 REAL

label

Warner Music Brasil (1999)

 リミーニャのプロデュースによるペドロ・ルイスのセカンド。マルコス・スザーノ、レニーニというブラジル音楽界の重要人物も参加しており、前作よりもエレクトリックな感じになっていますが、彼らの太いグルーヴはますますパワーアップ。ブラジル音楽ファンだけでなく、レッチリとかのミクスチャー系を聴いているようなロック・ファンにも是非聴いてほしい。ブラジルのロックは世界の最先端を完全に独走しています。
 宮沢和史との共作「ブラジル人・イン・トーキョー」も収録されていますが、宮沢のアフロシック・バージョンよりも数段かっこいい。やっぱり本物は違うわ。


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