11月17日(木)
 

モスクワの学校の秋休みは突然やってくる。
10月31日から9日までの10日間。3日前に
「31日から10日間の秋休みに入る。その中で秋の遠足へも子どもたちを連れて行きたいと思う。」
と、宣言された。
「へー。秋休みなんかあるの。ふーん。いいねえ。」
10月5日、木曜日、零下の気温の中、モスクワから車で1時間30分ほどの郊外、セルギエフ・パサートへの観光バスを貸し切り遠足。当日は個々にお弁当を持って、朝8時に出発。
「夕方5時には帰って来ます。では、いってきま〜す。」
と、観光バスが停車している道路まで、元気良く学校からゾロゾロと7年Gクラスの皆は歩いて行った。
もちろん、熱心なアラーの信者であるチェチェン人のアミーナはパス。
教会に入ってイコンを見せていただくために、女の子はスカートをはき、髪を覆い隠すためのスカーフは必携。
上の娘のためのいいスカーフが思い浮かばない。ならば・・・と、彼女は台所にある食器拭きのためのおおきめの麻の布巾を持って行った。(これはロシア人のクラスメートたちにとってはかなり手ひどいカルチャーショックであったに違いない。)
そしてメインのママの久しぶりの愛情弁当を持って行った。

もちのろん。上の娘は純日本的、平均的なお弁当を持たせて行かせた。
メニューは卵焼き、ほうれん草のごまあえにウィンナー。
梅干しの入ったおにぎり。

う〜ん。日本の香りがほんのり香ってくるようではないか。
娘はお弁当を見せ合って、せめてみんなの持って来ているサンドウィッチなんかと交換してお弁当を広げて楽しむものとばかり思っていた。


ところが、クラスメートのお弁当は何と、母親の愛情を微塵も受けていないものである。

バナナ3本。ポテトチップス1袋。小さなお菓子の入った小袋とさまざま。
あるいは皮のむいていないりんご2個とか。
板チョコを数枚。

お弁当らしきものは見当たらない。でも、帰宅は夕方5時である。

つまり、子どもたちもまたおかあさんと同じように、お弁当というものはお菓子と果物だと思い込んでいるらしい。

セルギエフ・パサートでロシア正教の教会と人形博物館などを見学して、バスの中で、
「さあ、食べよう。」
と、いう先生の一声のもと、出てくるわ出てくるわ。皆のリュックからお菓子が・・。


娘は、みんなのお弁当(?)を見てビックリしてしまった。
やっぱり、こういうのもカルチャア・ショックとでもいうのだろうな。



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