8月4日(火)
 

エア・カルゴで送った約120キロの荷物が届いた。日本で7月15日に岡山から送ったものだった。運送会社(グ
リーンライン)の話だと、10日ほどでつくはずだったから、1週間以上遅れて到着したことになる。

この荷物は120キロのうちのほとんどが食品類である。
日本で荷物を作るとき、船便で送ると、食品などの消耗品には4月から、1キロに対して10ドルの関税をかけら
れるということだった。
エア・カルゴでおくると、1キロにつき輸送料が1000円もかかってしまうので我が家にとってはこの輸送量は手
痛い出費となるにちがいない。
しかし、運送会社の人によるとこの4月から食料品に高い関税がかけられたので、現地での日本食の調達が
とても難しくなっているという。ロシアでの冬の食糧事情を考えるとどうしても千切り大根やのり、かんぴょう、し
いたけにその他いろいろ、考えうる限りの便利食を送らないではいられない。
これは・・・!と、ばかりに90キロほどの食品を用意した。

「本当にエア・カルゴで送ると税金はかからないんですね。」
「ええ、船便は、消耗品1キロにつき、10ドルかかっているんです。」
「なんとか、船便でおくるわけにはいきませんか?輸送料が相当高くつきますよね。」
「そうですね。でも、保障できませんよ。あっちの税管吏の態度しだいだと思いますね。とにかく、調べられる場
合には荷物を一つ一つ開けて、とことん調べるんですよ。船便よりエア・カルゴをお勧めします。」
「じゃあ、飛行機で送るのが一番安全なのですね。」
「そうと言えると思います。」

わたしと運送会社の人との会話は上のようなものだった。それなのに、それなのに・・・。
モスクワについたら、現地支社に連絡してくれと、言われたので、7月27日に電話をかけてみた。すると、
「いやあ、今、もめてるんですよ。全部開けちゃってですね。調べられたんですよ。」
「えっー!うそでしょう。エア・カルゴで消耗品を送るともめないって聞いてたから、高くってもエア・カルゴにした
んですよぉ。そんな・・・。」
「困っちゃってるんですよ。この荷物のほとんどが食料品でしょう。」
「ええ、もちろんです。食料品以外の船で送れるものは全部船で送っちゃったんですから。」
「困るんですよね。消耗品には関税がバッチりかかってしまうんですよ。」
「でも、おかしいなぁ。東京の人の話だと、エア・カルゴだと税金はかからないってことになっていたから・・・。」

消耗品にかかる関税は1キロにつき10ドルだと聞いていたので、もうその値段は言わずとがなだった。

「関税のかからないものだけでいいですから、うちへ持ってきてください。その他は横浜の実家へ送り返しても
らえませんか?」
「それが、関税を払うか、荷物の権利を全部放棄するかどちらかだと、言うんですよ。」
「えっー!!」

私たちがもって来ている現金はギリギリしかない。2番目のむすめのための日本人学校へ払う費用と新しいア
パートに写った際に支払わなければならない2ヶ月分の家賃と仲介料をキープして、最低2ヶ月分の生活費を
手元においておかなければならないだろう。
自動車を買うことも必須の条件だが・・・、それを買うお金はもうない。

夫が所属することになる歴史学研究所もヴィザのことでややこしいことを言ってきている。
6月に1ヶ月夫と家族のヴィザ代が一ヶ月150ドルといっていたのに、250ドルに上げるというのだ。その上、3ヶ
月分前払いをしてもらいたいという。
幹を揺すられた枯れ葉のように我が家からお金がなくなっていく。

「とてもうちは900ドルも払えないのです。恥ずかしい話なのですが、お金がなくって・・・・。」
「まあ、そうは言われても・・・。」
そうでしょうね、日本からの駐在員の人は税関で必死で日夜、顧客のために頑張るのが、お仕事で私たちの
家計を心配するのは、ちょっと・・・。でも、東京の本社の人は飛行機で送ったら、関税がかからないって言った
んだからァ!!
「困りましたねぇ。どうしたらいいんでしょうねえ。」
と、なるべく駐在員の気持ちを考えて、柔らかく言ってみる。
「半分くらい出しませんか?」
「エッー!!900ドルの半分でしょう?手持ちのドルがなくなっちゃうゥ・・・。」
本当だった。日本の駐在員の人たちにとっては、信じられないほど馬鹿げたたいしたことのない金額かもしれ
ないが、450ドルを払ってしまうと、ほかのどれかを犠牲にしなければならないくらいの痛い出費である。
「2・300ドルだったら・・・。」
「じゃあ、300ドルでいきましょう!明日、通関しちゃいますから。ジャア、どうも。」

んん・・・。どうしても納得のいかない出費だった。なんのために高いエア・カルゴにしちゃったのか・・・。ク・ク・
クヤシイィィ。
 
 

なにが一番クヤシイかって?

それはもう、関税を払うにしても、送った荷物を放棄するにしても、損をするのはこっちで、ロシアの関税職員は
どっちに転んでも得をすることになっているんだから・・・・。
なぜ関税職員が得するかって?それはわたしたちのたっぷり入った荷物を転売して(もちろん正札で!)もうけ
るから・・・ヨ!!

 

無茶が通れば道理引っ込むって、こんな時使う?
 




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