2000年2月26日(土)
指揮:P.E.クリニチェフ
演出:M.M.フォーキン
演出再現:G.N.ゲイデンレイフ
作曲:フレデリク・ショパン
舞台・衣装:V.F。ルィンディン
最初、幕が開けて舞台が始まった時、ちょっとした乱れがあるかと思われたが、なかなかたいした物である。ウヴァーロヴァの美しさが群を抜く。
とにかく、足の運びといい、手の持っていきようといい、踊りに品格がある。
美しい容貌に美しい衣装。妖精にはちょっと濃すぎるきらいはなきにしもあらずだが、なんとも美しい。
足を運ぶ時ほとんど音がしないのには驚いた。
パ・ド・ブレの時の細やかさは抜群。
ウヴァーロヴァを囲んで、ナタリヤ・マランディナ、ニーナ・スペランスカヤが花びらのように舞ってくれているが、スペランスカヤはいかんせんちょっと大きすぎ。バレエも大味である。足音も大きい。ちょっと興ざめであるが、他のメンバーの踊りに緊張感が溢れている。
ウヴァーロフも妖精の中に入って何の違和感もない。柔らかで美しい肢体の動きを見せてくれた。
美しい。このバレエは何度見ても美しい。
ショパンの音楽にぴったりの至福の時であった。
2000年2月26日(土)
指揮:P.E.クリニチェフ
演出:ミハイル・ラヴロフスキー
舞台:N.Iu.シャロノフ、S.A.シュマリノフ
衣装:O.D.チェルバッジ
音楽はおなじみのアイネ・クライネ・ナハト・ムジークやトルコ行進曲など、モーツァルトの有名な曲を使っている。
柔らかな旋律。衒いのない演奏が私達を包み込む。
カザノヴァは有名なディレッタントでその生涯の愛を描いたものである。本当の姿を隠した人生の仮面舞踏会というのが、カザノヴァのファンタジーという意味。
カザノヴァ扮するメドベーデェフはバネのある、豊かな表現力を持つダンサー、色々な才能の持つカザノヴァを演ずるにはふさわしい。
そのカザノヴァの愛をひとえに受けるのが、カプツォーヴァ演ずる心の貴婦人である。
わがままで気位の高くそれでいて子悪魔的な魅力を持つこの貴婦人にカザノヴァは翻弄される。
カプツォーヴァはコケティッシュにそれを上手く演じている。
思わず、可愛い!と、うなってしまう。
あの可愛らしさは踊りとその容姿、そして彼女のもつ雰囲気から醸し出されるものかもしれない。とにかく真面目になったかと思うと、カザノヴァの鼻を明かしたり・・・。
なかなかやるものである。
道化のユーディンのジャンプがとても立派であるが、拍手が少ない。どうしてなのかなぁ。演出に問題があるのかもしれない。
全般的に言うと、演出に盛り上がりが欠けるような気がする。
なかなかいい踊りを見せてもらっているのにもかかわらず、印象がそれほど深くない。
美しさもあるし、道化などが出て来て、面白さもその技巧の豊かさもあるのに、話の筋全体の中でこれぞという場面に出遭わなかった。
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