ボリショイ劇場 白鳥の湖


1999年3月3日(日)

配役:

白鳥:エレーナ・アンドリエンコ
王子:コンスタンティン・イヴァノフ
:ドミトリー・ベロガロフツェフ
王妃:マリヤ・ヴォロディナ
スペインの踊り:イリーナ・ズィブロヴァ、ヴラディーミル・モイセーエフ

指揮:A チスチャコーフ

演出:ヴァシーリエフ、1幕2場はイヴァノフ版を一部使用

台本:A.アガミロフ、V.ヴァシーリエフ



ヴァシーリエフによる新演出をはじめてみた。以前の版と話の設定が異なる。王子の母が女王ではなく、父が王として登場。彼は領民から嫌われており、さらに満月の夜に悪魔に変身し、気に入った娘を白鳥に変身させるという設定になっている。湖のほとりで王子は白鳥に化けさせられた姫に出会い、恋に落ちる。そして花嫁を決めるパーティーに来るよう約束する。白鳥=姫は約束とおり城に来て、王子も王妃も満足するが、その瞬間、悪魔に化けた王が白鳥=姫を連れ去り、王子が後を追う。つまりオディーリア(黒鳥)は登場しない。湖に来た白鳥=姫を悪魔=王がくどくが、彼女が拒むと「呪いは永遠に続くぞ」と脅される。そこへ王子が登場し、白鳥=姫と二人で王に呪いを解くよう頼むが断られる。嵐がおこり、山のような波は二人を襲い、さらに自然はあらゆる命を絶滅せんとする。が、自然も愛の力には負けたのか、月が木々に隠れると嵐はおさまる。呪いが解けて人間に戻った娘たちは湖のほとりの愛し合った二人のことをことにふれては思い出し、それ以来ここは「白鳥の湖」と呼ばれるようになった。

1幕1場はボリショイらしく豪華な舞台装置と衣装が光っていたが、道化が登場しないのが物足りない。1幕2場はイヴァノフ版を残しているけど、王がマントを脱ぐと悪魔に変身というのは、唐突すぎるし、めりはりがない。王子は長身でジャンプも大きくとても光っていたのが今回の収穫だが、そのためか白鳥がかすんでしまった。さらにパドドゥではヴァイオリンのソロが黄金の絹のような素晴らしい音色による演奏をしたため、ついオーケストラに目がいってしまった。2幕1場は、白鳥=姫がグリゴローヴィチ版でのロシアの王女の踊りの曲で登場するが、それまでの各国の王女の踊りよりもりあがらない。そのうえなんとなく王が悪魔に変身してなんとなく連れていってしまう。2幕2場も悪魔がオデッタをくどいたり、王子が悪魔にお願いをしたりとなんかへんな筋。最後に二人が愛を優先させて死ぬことで他の白鳥たちの魔法が解けるというのは本来の筋らしいが、いままでの版よりいいところって?あと何回か見てみないとわからないけど、ハテナの演出でした。


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