ボリショイ劇場 くるみ割人形
1998年12月19日(日)
配役-
マーシャ:エレーナ・アンドリエンコ、
王子:ニコライ・ツィスカリッゼ、
フリッツ:A.シーロヴァ、
くるみ割人形:O.ソコローヴァ、
ドロッセルマイヤー:A.ポポフチェンコ、
シュタルバルム:A.ロパレヴィチ
鼠の王様:ヴラディーミル・モイセーエフ、
アルルカン:A.レシンスキー、
コロンビナ:M.プロヴィチ、
悪魔:L.フィリッポヴァ、A.エヴドキモフ、
スペインの人形:アナスタシーア・ガリャーチェヴァ、A.ボロティン、
インドの人形:I.セミレチェンスカヤ、S.ボブロフ、
中国の人形:Iu.チチェヴァ、K.シュレポフ、
ロシアの人形:A.レオノヴァ、A.メラーニン、
フランスの人形:S.グネドヴァ、B.アンナドゥルドゥィエフ、
花のワルツ:E.ドルガレヴァ、E.ドロズドヴァ、Iu.エフィーモヴァ、O.ミガイ、オリガ・スーヴォロヴァ、エカテリーナ・シプリナ、V.アレヒン、M.ヴァルキン、A.ヴァフチン、A.ヴォルチコフ、A.ヴォロビエフ、R.スクヴォルツォフ
指揮:M.エルムレル
演出:YU.グリゴローヴィチ
一幕はクリスマスを市長宅で祝うパーティの場面とマーシャとくるみ割り人形の出会いそしてそれが壊れ、マーシャは悲しみ。夜が更け、パーティも終わり、マーシャは気になってくる身割り人形をもう一度見に行くと、ねずみの王子が出てきて、人形たちとの闘いが始まる。その闘いが畢竟に入った時、マーシャはスリッパを投げて、ねずみの王子を撃退する。
すると、人形たちの王子である、くるみ割り人形が王子の姿となり、マーシャを夢の世界に誘っていく。一幕は雪の精の踊りで幕を閉じる。
2幕はお伽の部屋に行き、スペイン、インド、中国、ロシアそして葦笛の踊りなどが披露される。最後にマーシャと王子のグラン・パ・ドゥ・トゥに入っていく。
プリマのアンドリエンコは若々しく生き生きした踊りを見せてくれる。思いっきり手足を使った表現は見ているものをすがすがしい気分にさせてくれる若手ダンサーだ。顔は少しマクシーモバに似ていて、美しい人である。ちょっと弱々しいくらい細い。
王子になったツィスカリッゼは、プリマに負けないくらい華がある。彼が出てくるだけで舞台にメリハリがつく。その上、ジャンプがすごく高く。一度空中で止まっていると思えるような瞬間がある。表現力も抜群。こんなに素敵な男性舞踏手は始めてである。ドロッセルマイヤーさんもいつものとおり、ドロッセルマイヤーここにあり!!というほど、ぴったりの人材である。中国の踊りの男性舞踏手のジャンプはいつ見ても見事で、必ずと言っていいほど劇場が湧く。
世界のボリショイの名に恥じない舞台をいつも見せてくれる。どんなことをしても行く価値がある。優れた表現と技術の裏に、文字どおり血の滲むようなレッスンをしているかと思うと、知らず知らずのうちに涙が零れ落ちてくる。とにかく、人間業を越えた素晴らしい芸術に接してきた感動は4・5日、心の中に残って、チョロチョロとその炎を燃やしつづけてくれる。
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