2000年4月8日(土)
指揮:ヴラディーミル・ヴァシラッゼ
振付:ヴラヂィーミル・ブルメイステル
第一幕になりめだっていたのは王子よりも道化。といっても相対的なもので、ジャン
プの高さや回転の速さなどに安定感は感じられない。その分、演技に好感がもてた。
演出のせいか踊り手のせいかわからないが、王子の動きが少なく、性格の弱さが暗示される
反面、道化は第二の主役として幕をしきっていた。
第二場になって、白鳥の登場。
チェルノブロフキナ、外面的な美しさの反面、踊りは固く、崩れがしばしばみられる。
叙情的な場面(この場全体がそうであるわけだが)でも、踊りを越えてのしっとりした雰囲気が
伝わってこない。キリーロフの演じるロートバルトの凄味も今回は普通の出来。
第二幕。ブルメイステル版の光る場面。
それぞれの踊り、そしてその流れはいうことなく、かっちりとしている。
だけど、どうも淡々としていて、熱気に欠ける。
というわけで、チェルノブロフキナはダンチェンコの他のプリマとくらべると、もちろん
だんとつに存在感があるし、この演出、舞台と合わせると、国際競争力のある
レヴェルではあるのだが、どうも今回は全体的に挑戦的なところや、思いっきりのよさがないせいか、バレエの水墨画というか、缶詰とでもいうか、きちっとした完成品であることは
十分わかるが、見ていて湧き上がってくる喜びというものを味わえない舞台。
このメンバーのままでも、つぼにはまると相当高いレヴェルになると思うのだけど。
モスクワ・ペテルブルクの劇場に戻る
ぜいたくはすてきだに戻る
モスクワどたばた劇場に戻る