ダンチェンコ劇場 白鳥の湖


2000年4月8日(土)

配役
オデッタ:タチアーナ・チェルノブロフキナ、
王子:ドミトリーザバブーリン、
王妃:ヴァレンチナ・エルミロヴァ、
ロートバルト:ヴラディーミル・キリーロフ、
道化:ニコライ・イズマイロフ、
パ・ド・カトル:カドリヤ・アミーロヴァ、エカテリーナ・トルニナ、ロマン・マレンコ、アンドレイ・シシュキン、
アダージョ:オリガ・パポーヴァ、
三羽の白鳥:インナ・ブルガーコヴァ、オリガ・パポーヴァ、リョーシャ・スルィマ、
四羽の白鳥:アンナ・ボルコヴァ、エカテリーナ・ニキーチナ、アナスタシーア・ペルシェンコヴァ、ユーリア・サビルズィヤノヴァ、
ナポリの踊り:アナスタシーア・ペルシェンコヴァ、
ハンガリーの踊り:オリガ・クズィミナ、リョーシャ・スルィマ、ドミトリー・ロマネンコ、アレクサンドル・シェイン
スペインの踊り:オリガ・クリャジェヴァ、
マズルカ:イリーナ・ベラヴィナ、ドミトリー・エルルィキン

指揮:ヴラディーミル・ヴァシラッゼ

振付:ヴラヂィーミル・ブルメイステル



出産の休暇を終えての待ちに待ったチェルノブロフキナの白鳥。
序曲の後半でさっそく登場。
花を摘みにきた彼女のしぐさは、それだけで、可憐できれいで絵になる。
岩かげへ進んだところで、ロートバルトの大きな翼に飲み込まれるこの演出としては、
百点満点の出だし。

第一幕になりめだっていたのは王子よりも道化。といっても相対的なもので、ジャン
プの高さや回転の速さなどに安定感は感じられない。その分、演技に好感がもてた。
演出のせいか踊り手のせいかわからないが、王子の動きが少なく、性格の弱さが暗示される
反面、道化は第二の主役として幕をしきっていた。

第二場になって、白鳥の登場。
チェルノブロフキナ、外面的な美しさの反面、踊りは固く、崩れがしばしばみられる。
叙情的な場面(この場全体がそうであるわけだが)でも、踊りを越えてのしっとりした雰囲気が
伝わってこない。キリーロフの演じるロートバルトの凄味も今回は普通の出来。

第二幕。ブルメイステル版の光る場面。
それぞれの踊り、そしてその流れはいうことなく、かっちりとしている。
だけど、どうも淡々としていて、熱気に欠ける。

というわけで、チェルノブロフキナはダンチェンコの他のプリマとくらべると、もちろん
だんとつに存在感があるし、この演出、舞台と合わせると、国際競争力のある
レヴェルではあるのだが、どうも今回は全体的に挑戦的なところや、思いっきりのよさがないせいか、バレエの水墨画というか、缶詰とでもいうか、きちっとした完成品であることは
十分わかるが、見ていて湧き上がってくる喜びというものを味わえない舞台。
このメンバーのままでも、つぼにはまると相当高いレヴェルになると思うのだけど。


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