マリインスキー劇場(ペテルブルク) 海賊


1999年6月9日(日)

配役
コンラド(海賊):アンドレイ・ヤーコヴレフ(2)、メドラ:スヴェトラーナ・ザハーロヴァ、ギュリナラ:イリーナ・ジェロキナ、ランケデム〈奴隷商人):ニキータ・シェグロフ、ビルバート(海賊):ドミトリー・カルネーエフ、アリ(海賊):イーゴリ・ゼレンスキー、セイドパシャ:ロマン・スクリプキン

指揮:バリース・グルジン

演出:P.グーセフ(プティパ版)



プロローグ:3人の命知らずの海賊が嵐の中、帆船をあやつるが、とうとう座礁してしまう。
一幕:波の押し寄せる岸辺に、助かった3人の若者が打ち上げられている。彼らを娘たち(メドーラ、ギリナーラ)がみつける。メドラは、そのうちの一人、コンラッドを好きになる。コンラッドは彼女に自分や仲間のこと、自分達が海賊であることなどを語る。そこへトルコの兵隊たちがやってくる。娘たちは海賊をかばい、自らが囚われの身になり。奴隷商人ランケデムは仕官に大金をばらまき、娘達を買う。海賊たちは彼女らを救出することを誓う。市場でランケデムはセイドパシャにギリナーラを売る。そこへ大商人にふんしたコンラード一行が到着する。セイドパシャはメドラの美しさにこころを奪われ、彼女をも手にいれたがるが、コンラードがとてつもない値段をつけるので競り勝てそうもない。セイドパシャがあきらめたとたん、海賊はその正体を現し、メドラらとらわれの娘たちおよびランケッデムを奪って逃げる。
二幕:海賊たちは娘達奪還の祝宴を催す。メドラはコンラッド、アリと踊る。娘達はメドラになんとか家に帰れるようコンラッドを口説いてくれないかと頼む。コンラッドは、他の海賊たちの反対をおしきって娘たちを岸へ帰すことにする。ランケッデムは自分を解放してくれたらコンラッド復讐を手伝ってもよい、と海賊たちに言う。ランンケッデムは睡眠作用のある花束を娘たちを通じてコンラッドに渡す。コンラッドが目を覚ましたのは海賊たちはメドラを奪って逃走してしまった後である。
三幕:セイドパシャのハーレムで。セイドパシャはギュリナーラの美しさを忘れられず、ランケデムが連れてくるほかの娘達を気に入らない。そこへメドラが連れてこられ、喜んだセイドパシャに買われてしまう。そこへ聖地巡礼者に変装した海賊たちがあらわれる。セイドパシャは午後の祈りに彼らを招くが、時をみはからって海賊らは娘を奪って逃走する。
エピローグ:コンラッド、メドラ、その友達たちは嵐で荒れた海の中、新たな航海に出かける。

海賊という話自体が散漫なのか、舞台を見ていてその筋を分かることがなかなかできなかった。それぞれの人々の役どころをつかむ感じはよくできているとは思ったが、見ているこちらの力不足か、クライマックスを感じない。舞台の中央でバタバタと話が展開していく。 ただ、バレエの踊りそのものはとてもきれい。特に男性舞踏家アリ役になったゼレンスキーのおどりは、完全性が見られる。素晴らしい跳躍。素晴らしい躍動感。次に彼が出てくるのを待ち遠しく思えるほど、ゼレンスキーが出てくると舞台の雰囲気が変わる。主役であるヤーコヴレフが食われてしまっていたくらいだ。 72年生まれの若き才能を見せてもらって男性舞踏家の美しさを堪能した。


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