ボリショイ劇場 チッポリーノ


1999年4月4日(日)

配役

チッポリーノ:M.Yu.シャルコフ、かぶの女の子:M.A.ルィシキナ、木蓮の女の子:I.M.ピャートキナ、さくらんぼ伯爵:K.A.イヴァーノフ、さくらんぼ姫:M.E.ヴォロディナ、さくらんぼ姫:I.A.フェドトーヴァ、レモン王子:V.B.モイセーエフ、トマトの警察署長:A.B.ペトゥーホフ

作曲:ハチャトゥーリアン

指揮:A.A.コプイロフ

演出:G.マイオーロフ

台本:G.ルィフローフ

原作:ロダリ




野菜やくだものおとぎの国のできごとです。
広場ではかぶや玉ねぎ(チッポリーノ家)の家族が遊んでます。ぶどうの靴屋さんは靴をなおし、梨教授のヴァイオリンの調べにあわせて、みんなはダンスをしています。

突然、トマト警察署長が現れ、レモン王子が民と語らうために町へ来ることを知らせにきます。レモン王子は新しい法律を読み上げました。「お日様、雨、風を享受するための税金を全員から徴収すべし。」
人々はショックで動揺し、騒ぎの中で群集に押されたチッポリーノがレモン王子の足の上に倒れてしまいました。「これは王子にたいする無礼だ!反乱は鎮圧すべし!!」と警備の兵隊たちはおこり、チッポリーノのお父さんを逮捕してしまいました。
チッポリーノと友達のかぶ子ちゃんはお城に囚われているお父さんを探しにでかけます。道中、一人さびしくお城でくらしているさくらんぼ伯坊に出会います。3人はすぐに仲良しになり、トマト署長につかまりそうになりながらも、なんとかお父さんを助け出しました。
レモン王子とその家来たちは捜索にでかけ、チッポリーノがつかまってしまいました。
さくらんぼ姫と木蓮ちゃんは牢屋に入れられている彼を見つけます。木蓮はその陶酔させる香りをふりまき、見張りを眠らせます。そこへレモン王子がやってきて、牢屋が空なのに気づきます。怒った王子は街を砲撃しようとしますが、逆にチッポリーノたちに大砲のなかにつっこまれて、ドカーンとやられてしまいました。
おとぎの街には平和がおとずれ、暖かい太陽とあおぞらのもと、人々は仲良く暮しました。

明るい背景に、とても楽しくかわいらしい衣装が印象的。お話がお伽の国という設定なので、とてもわかりやすく、ユーモアたっぷり。
レモン王子のおさめる国はとても平和で笑いに満ちた明るい国。ところがところが、ある日、ふって湧いたような災難が・・・。さくらんぼ姫や木連ちゃん、チッポリーノの軽快なバレエとともに、頑張って力のあるところを見せたいレモン王子やトマトの警察署長が失敗に次ぐ失敗で笑いをさそう。

きっとアメリカのミュージカルなんかを意識したんだなぁというほど、楽しくて面白い舞台だけど、そこに出ている人の技術が違う。軽さの中にも舞台芸術としての重みが漂う。こんな素敵な、アンチ権力の舞台があのブレジネフの時代に初演されたというのが、不思議。
よくもまあ、レモン王子になってブレジネフが登場しなかったことだわい。それに警察権力の横行もうまく風刺されて、最後まで痛快だった。


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