電話06-6941-2483
住所:大阪市中央区鎗屋町2-4-14
ランチ11:30〜13:00 (L.O.)、ディナー18:00〜21:00 (L.O.) 日曜・第一月曜
地下鉄堺筋本町下車、松屋町筋へ。農人橋歩道橋を渡り100メートル歩いた右手。駅から7分。
2013年4月
点数による評価は<4、3、3.5=14.5点>
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予約はOpen Tableからできる。
ディナーに訪れることをお薦めします
食べたもの
◎ゴボウ
◎人参のスナック
◎気泡をたくさん含ませた碓井えんどう豆のパン
◎しっとりと火を入れた蛤と碓井えんどう豆のフランと桜
◎赤ムツ 若ゴボウ 鳥取県匹見のワサビ
◎手延べパスタ 金目鯛とウニとスナップエンドウのソース
◎子羊の背肉 菜の花とはこべ
◎ハッサクの粒々とその皮のクリーム ココナッツ
◎ヨモギと春苺
ほんのりとした暖かさ、まぶしさ、土から顔を現した花をみつけた時の驚き、そして儚さ、淡さ、頼りなさなど、料理で春をよくぞここまで表現したなぁというコース。藤原シェフの面目躍如。ベートーヴェンのヴァイオリンソナタ「春」をパールマンが弾くと少しの雲もない、透き通った春の青空になるが、クレーメルが弾けば冷たい風が吹く日があったり、霞んだり、雨が降ることもある春になる。今回の料理はその中間。ややパールマン寄りというところ。
デザート最後の一品は、後々まで記憶に残るだろう傑作。ヨモギをつぶしてベチャベチャにしてケーキ状にしてしまい、その上に春のフルーツとのせ、間にキャラメルをはさむことでよもぎのほんのりとした苦さ、フルーツの甘酸っぱさをつないで新しい味を創造している。
メインの羊料理は、なんと菜の花とハコベのソース!肉のなかでも羊は個性が強く、ソースもそれに対抗できるインパクトあるものを合わせるのが定石と思っていた。すごい発想だなぁと思ってシェフに尋ねると「牧場の羊のイメージです」と言われ、なるほど羊と草の関係は自然だし、相性がいいことに思い至る。この料理では、粒マスタードが両者の関係をつないでいる。
魚料理はピュレ状にしたワサビが隠し味、というか第二のメインになっている。しっかり鼻にツーんとくるのだけど、それがとても柔らかい。わさびそのものを味わうために刺激のレヴェルを保ちつつ、ぎりぎりここまでというところに調整しているのが腕の見せ所。と思って、これもシェフに尋ねると、匹見のワサビはそのまま食べてこれくらいの刺激だとのことです。本当かなぁ?
パスタは手延べそうめんの技法で作ったものに、セモリナ粉をまぶして仕上げたもの。ウニがたっぷりと使われているのにあっさりと春の味で、スナップエンドウから木の芽の息吹や草の香りが感じられました。
夜のコースとくらべると、ランチには8割くらいの料理が出され、値段は半額以下なのでとてもお得なはず。ディナーでは質的に劇的にグレードアップするわけでもない。 だけど今回はもの足りなさが強く感じられた。ポーションと皿数の関係はよく考えられており、量的には十分。Fujiyaの料理は15皿以上ではじめて完結する構成となっているのかもしれない。だから、そのどれかーたとえ小さなものだとしてもーが抜けると、全体のバランスが崩れ、食後感がぐっと軽くなるのかもしれない。