1999年4月30日(日)
詩人ルシキンによって作られたお話。脚本はA.ペトロフ、音楽はM.グリンカとV.アガフォニコフ。
一幕、キエフ国のお祭りの日、リュドミーラは自分の花婿を選ばなければならない。そこへ花婿候補が現れる。ラトミールとファルラフ。その後にルスランが登場する。
ルスランとリュドミーラは大分以前から愛し合う仲であるが、今のところそれは秘密。
お祭りの日の後、教会でお祈りをしている時、魔法使いのチェルノモールが出てくる。
リュドミーラは魔法にかけられ、気を失い連れ去られる。ルスランとガリスラーバ、ラトミールがさらわれたリュドミーラを探しにいく。
森の中で、魔法使いとの激しい戦いが起こり、ルスランはそれに勝ち、魔法の剣を手に入れる。それで、わるい魔法使いの魔力のある長い髭を切り、リュドミーラをルスランを中心にガリスラーバとラトミールの力を借りて、未だ魔法にかけられているリュドミーラを助け、とうとうキエフ国に連れて帰る。そしてめでたくリュドミーラとルスランは結婚する。華やかな結婚の宴がキエフ風のダンスにのって催される。
クレムリン劇場は凄く大きな劇場である。一見近代的に見える大ホールの中でやるが、あまりにも大きすぎて観客と舞台の間が空き過ぎる。
舞台が大きいのでバレエリーナはとことん動き回らなければならないだろう。大変な肉体労働に思えてしまう。
クレムリン大会宮殿と呼ばれているらしいその建物は本当に巨大である。そこでは昔、ソビエト時代に党大会が開かれていた。こうやって一般庶民にも温情でバレエを見せてやってるんだぞぉ!みたいな威圧感がひしひしと伝わってくる。無機的なコンクリートの建造物の中にも関わらず、置かれている調度品はとても贅沢。一つくらい家の応接間に置けば、素晴らしいであろうというような厚手のサテン地でくるまれた猫足の椅子などがそこここにある。
まあ、劇場はこのくらいにして、バレエの内容は大味だった。
一人、ハザール国の后妃となったスベートラーナ・ツォイの踊りだけが異様に光る。
プリマであるリュドミーラは眠っている時間が多いのと、表現力が稚拙なのと、舞台が大きいので大ぶりにしなければならないからか、感情がこもってこない。魔法使いに捕まえられて泣いている時にも、なんだか機械的な感じがして、その泣いている姿を見ると、鳥肌が立ってしまう。
男性舞踏手陣もあまり振るわないように思われた。
ただ、ロシア的というか、ウクライナ的な森の感じと人々の踊りが印象的であった。
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