BIO HAZARD 3


−EPILOGUE FILE−


[No.1/No.2/No.3/No.4/No.5/No.6/No.7/No.8]




EPILOGUE1

事件の後

ジル・バレンタインは旅立った。

クリス・レッドフィールドと

合流するためである。

だが……ジルを待っていたのは

もぬけの殻となった隠れ家であった。

床にはクリスのナイフが道標のごとく

純色の光を放っている。

ジルは迷いなくその場を立ち去った。

彼女は信じている。

必ず生きて再会する、

そう盟友と誓ったのだ。








EPILOGUE2

『クレア、すまない』

クリス・レッドフィールドは

何度目かの手紙を

いつもの言葉で締めくくった。

サングラスをはずして

カフェの暖かい日差しに目を細めると

目の前を娘が軽やかに通り過ぎていく。

……年の頃は妹と同じであろうか。

その後クリスは自分の行方を追い

妹が戦いに身を投じている事実を知った。








EPILOGUE3

バリー・バートンは

幼い娘達の前にかがみ込むと

ゆっくりとかぶりをふった。

「すまない、仲間が待っている」

一度は家族のため、裏切りに

手を染めようとしたこともあった。

それが仲間に許された時、男は家族と

離れていても信頼に報いる意志を固めたのだ。

「あなた、私達は大丈夫……」

妻は花のような笑みを浮かべ、

精いっぱいの背伸びで夫にくちづけをした。








EPILOGUE4

レオン・スコット・ケネディは

アメリカ政府情報局員を名乗る男を

前にしていた。

「俺を殺すのか……」

男はゆるく唇をを笑みの形にゆがませる。

「シェリーはよせ。あの子に罪はない」

「ああ、だが知り過ぎている」

男は目線を上げ

レオンのかを正面から見すえた。

「率直に言う。我々は君の能力を

高く評価している。悪い話ではない。

穏便にすませるなら選択は一つだ」

レオンは目を閉じ、そして答えた。








EPILOGUE5

「俺とシェリーを置いていくんだ」

クレア・レットフィールドは

レオンの言葉に耳を疑った。

「レオン、どうして?」

「君は兄貴を探しているんだろう?」

負傷しているレオンと衰弱したシェリーは

一刻も早い保護を必要としている。

しかし彼女にはこれ以上の

時間的余裕はなかった。

「私……必ず帰る。約束する!」

クレアは一人荒野へ消えた。








EPILOGUE6

「身寄りは?」

将軍校がつとめて穏やかに問いかけても

シェリー・バーキンは答えなかった。

少女に肉親はいない。

自らが生み出した軍用ウィルス゛G"

によって無残な最後をとげたのだ。

少女は自身の両腕で身体を抱きしめると

小さな唇をかみしめた。

きっと戻って来てくれる……。

孤独なシェリーにとって

クレアの残した赤い革ジャケットだけが

ただひとつ残された人との絆であった。








EPILOGUE7

女は鏡に映る自身の姿を見つめていた。

エイダ・ウォンと呼ばれた女……。

しかしその名前に

別れを告げる朝が訪れていた。

次の任務まで、あと数刻。

「私はもう、エイダじゃない……」

わき腹には真新しい裂傷があった。

女がエイダであった時

愛した男を守るために受けた傷である。

「これはエイダの傷。私に傷じゃない」

エイダ・ウォンで無くなる朝

女はとめどない涙を流していた。








EPILOGUE8

「またあんただけかよ、死神」

回収した唯一の兵士がハンクである

ことがわかると

ヘリのパイロットは毒づくように言った。

「いつもだ、あんただけが生き延びる。

どんな地獄のような戦場でもな」

ハンクはパイロットには応えず、

回収したカプセルを掌に取り出して

もてあそんだ。

地獄は死神の領域である

「死神は死なず、か……」

生還者はかすかな笑みを浮かべていた。







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