ヨハネの黙示録 ハルマゲドンの話  12


 

12. 6章~11章  7つの封印・7つのラッパ 

 ここからいよいよ未来について、特に世界の終末と言われる時期のことについての記述が本格的に始まります。6章からの「7つの封印」、8章2節からの「7つのラッパ」、15章からの「7つの鉢」が中心的な進行で、これらの間にいくつかの挿入部分が入ります。

 各記述内容と時間的な前後関係については、正確に判断できるようには書かれていません。同一の出来事を別の表現で繰り返していると解釈できる部分もあります。そのため、黙示録の記事をもとにして未来に起こる各出来事をきれいに年表のように並べることは不可能です。また、それらがいつ起こるか、そしてまたどのような期間で起こるのかについても記述はありません。

 『ヨハネの黙示録』は単に未来の各出来事を順番を追って説明するために書かれたものではないからです。中心主題は、前述したようにあくまでもイエス キリストであり、神と人間との関係がいかなるものになっていくのかを示すのが『ヨハネの黙示録』です。

 

 ですから、「○◇□△年に世界の終りが来る」とか「▽×が起こったのは世界の終りの兆候だ」というようなことを『ヨハネの黙示録』をもとにしてもっともらしく論じてみても、それらは根拠となる黙示録からの資料を全く欠いており、勝手に作られたフィクションにすぎません。

 たくさんの新興宗教団体がその推理小説もどきの作り話を中心的な教理に据え、しかもそれを聖書に基づくものものとして多くの人々を惑わしているのは残念なことです。
 

 さて、6章から封印が解かれて巻き物が開かれていきます。ここからは、かなり抽象的な表現が多用されます。ユダヤ独特な表現や当時の政治的支配者に対する配慮によって、事物を指し示す名称は、実際のものとは異なった比喩や隠喩に変わっていますので、注意が必要です。

 それらの比喩や隠喩を確かな根拠無しに解釈すると、文章全体の読解に誤りを生じさせる可能性がありますので、それは避けるべきです。不明な言葉は、そのままそれを読んだ時に読者にイメージされたものを保持して読み進めて行けばそれで十分です。

   12-1 6章 第1から第6の封印が解かれる 

 子羊キリストが次々と封印を解いていきます。白い馬、赤い馬、蒼白い馬…そしてそれらに乗る騎手、等々が出てきます。上に記したように、白い馬とは必ずしも実際の白馬ではなく、弓や冠も必ずしも実際の弓や冠ではありません。6つめの封印が解かれると、太陽が黒くなったり月が赤くなったり天空が巻き取られたりと書かれていますが、このあたりは独特なユダヤ的表現が含まれます。

 第1の封印が開かれた時の光景は、白馬、弓、冠などで、戦争を象徴するというのが一般的な解釈です。上と同様に一般的な解釈を並べてみると、第2の封印の開かれた時の光景は殺戮と流血、第3が飢饉、第4が死、第5が殉教、第6が天変地異。これらはいずれも1つの解釈であり、黙示録のここだけの記事を読んだだけではこれらのことが具体的にこの解釈のそのままに起こって行くのかどうかは直ちに判断できませんが、福音書に何度も繰り返して記される終末の記事とほぼ一致しており、 これらはほぼこの解釈通りとみることができます。※↓
 そして6章の16,17節の中で、これらのことが神の審判と裁きによるものだということが示されます。

 

 

   12-2 7章 保護される者たち 

 6つの封印の開封により、災い〈戦争→殺戮・流血→飢饉→死→殉教→天変地異〉が示され、これらが6章で記されたのですが、第7の封印が開かれるのは少し先に飛んで、8章からとなります。第6の封印が解かれた後の所に、7章の挿入部分があり、ここに記されている災いから保護される人々のことが書かれています。

 先ず、4人の神の使いの者と刻印を持った神の使いの者が、災いを与える権能の与えられた神の使いの者に向かって、イスラエル人の選別と刻印が終るまで、しばらく災いを与えるのを止めておくように伝える場面から始まります。

 イスラエルの各部族から選ばれた144000人、そして衣を子羊キリストの血で洗って白くした、数えられないほど多数のあらゆる民族、部族、国民からなる人々、これらの人々があらゆる苦難から逃れ得ると記します。

 これらの144000人の人々と白い衣を着た人々が何を意味するのか、またどのような形で災いを免れるのかについては多数の説があります。
 

 

   12-3 8章・9章 7番目の封印・7つのラッパ 

 8章に第7の封印が開かれた光景が記されます。それは、しばらくの静寂と、次の災いの前触れでした。

 そして、神のそばで仕えていた7人の神の使いの者たちに7つのラッパが与えられ、それが吹かれていきます。ここも、前述のように、例えばある菓子メーカーのマークにあるような、羽を持った小児のような「天使」が現代のトランペットのような楽器を吹き鳴らす光景を具体的に示しているわけではありません。象徴的な表現です。

 7人の神の使いの者のラッパの音とともに示される光景を、前の7つの封印と同様に一般的な解釈を続けていきます。引き続き災いが起こる情景が続きますが、封印の時よりも少し具体的な表現となっていて、字句の通りに読み進めることのできる部分が増えます。

 第1の神の使いの者がラッパを吹くと、雹と火が地上に下り、陸地の3分の1が焼き尽くされます。

 第2の神の使いの者がラッパを吹くと、海に火だるまになった山のような固まりが落ちて、海の3分の1の海水が血のようになり、その中に生きていた生物が死に浅薄が破壊されます。巨大ないん石が海に落ちたような表現ですが、実際にどんなものになるのかはわかりません。

 第3の神の使いの者がラッパを吹くと、燃える巨大な星が空から落ちてきて、それが海以外の水と水の源泉に落ち、地上の水の3分の1の水質が変わり、そのためにそれを飲んで多数の人が死にます。

 第4の神の使いの者がラッパを吹くと、天体に異変が起き、光が少なくなって暗黒が訪れます。またここでさらに残る3つのラッパの災いを強調する鷲の鳴き声が記されます。

 第5のラッパから9章になります。再び地上に星が落下します。そしてここから直接一人一人の人間に害を与えるものが出てきます。イナゴが発生して人間を苦しめます。このイナゴも普通の昆虫のイナゴではなく、一つの象徴的表現です。そのイナゴには人間を苦しめる力はありますが、人間を殺す力は与えられていません。

 第6のラッパでは、ついに、人類の3分の1が火と煙と硫黄で殺されます。しかし、このように神の審判の結果が表れても、残りの人間たちは悔い改めず、神に反対する道を歩み続けます。
 

 

   12-4 10・11章 巻物・第7のラッパ 

 6つめの封印と7つめの封印との間に7章の文章が挿入されていたのと同じく、6人めの神の使いの者のラッパと7人めの天使のラッパとの間に10章と11章の前半が挿入されています。

 ヨハネはここで別の神の使いの者を見、その神の使いの者が「第7の天使のラッパが吹き鳴らされていよいよ神の奥義が預言の通り成就して行く。もはや時が延ばされることはない。」と宣言するのを聞きます。開かれた巻物はヨハネに渡され、ヨハネの預言の使命が改めて命じられます。

 11章に入ると、異民族によって聖都エルサレムが42ヵ月踏みにじられること、2人の特別な力を持った預言者が遣わされ1260日間預言すること、その2人は神に反抗する勢力によって殺されるものの、神の霊によって生き返り、背後世界に入ることが記されます。前後の記述から見てこれはエルサレムでの出来事で、神に反抗する者たちの一部が、背後世界に入る預言者と、その時発生した大地震…都に7000人の死者をもたらした…を見て恐怖に満たされ、神を崇めるようになります。

 第7の神の使いの者のラッパが吹かれると、いまや地上の全てが神の統治のもとに置かれる時が来たことが宣言されます。
 

 


      


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