奈良の仏像


 秋篠寺・・・訪ねる前からこの寺の名前が気に入っていたが、この技芸天を
拝見してからはもう、すっかりファンになってしまった。初めて訪ねて行った時は
一人だった。あの薄暗いお堂の中で、ベンチにかけたり、壁に寄りかかったりして、
ただただその御姿に魅せられていた。想像していたより大きかった。そのお顔は
慈愛に満ちた優しい、憧れを感じさせるようなお顔だった。
 東大寺、戒壇院の四天王。筆と巻紙を手にした広目天のあの鋭い眼、ゾクゾクッと
寒気まで覚える。
 浄瑠璃寺のお堂と池のたたずまい、九体仏にはため息が・・・・・
そしてもうひとつ、狂おしいほどの想いを抱き続けているのが、かの阿修羅!
彼?彼女?あの目は何を想い、何を見つめているのだろうか。余りにも美しく、
哀しく、怖い。今でもずーっと心の中に抱き続けている。
 毎年のように、奈良・京都の仏像に逢いに行ったのも、今はもう昔のこと、
懐かしく思い出す今日この頃だ。           2004年2月