柏餅ひとつ 

 端午の節句も数日過ぎた頃、「あれっ、柏餅食べなかった!」思い出した途端、
急に食べたくなる。柏餅を買いに行く。ケースには一つだけ・・・・・奥にあることもあるので一応聞いてみた。
「柏餅は?・・・・・」 「一つだけになって・・・・・節句が過ぎると、ぐ〜んと売れなくなるんです。少ししか作らないので・・・・」と店の若旦那はすましたもの。残念! 無いとなると余計食べたくなるものだ。どうしよう?
折角来たのに・・・・・
「じゃぁ、ドラ焼き下さい」 彼は包みだした。ちょっと待て!私はほのかな期待をして言った。
残り物に福あるって言うから、その柏餅も入れて下さい」と・・・・
だが、勘定はしっかりと取られた。当たり前かもしれないが・・・・・
帰宅後、食べるとき、私は「仲良く半分づつね。」とその一個の柏餅を半分に切って夫に差し出したのだ。
「何だこれは・・・・柏餅が半分づつなんて」??? 
それ!お出でなさったぞ!これこれしかじか・・・・・そこで始まったのだ。
夫は言う。「あっそう。じゃぁいいです。何も買わなきゃいいんだ。何で一つだけ残ったものを出しておくんだ。しみったれたことして・・・」更に続く「俺が店の主だったら一個だけ出しておけるか!引っ込める」と・・・・・
私だったらどうするだろう?先ず、一つ残すのがいけない。柏もちを最後に買ったお客さん、幾つ買ったかは別として、その時点で「どうぞ」とオマケして上げたい。
たとえそのお客さんが「二つ下さい」ときた人であっても「どうぞ・・・・・」と三つ包んであげたい。「ありがとう!」お客さんの笑顔が嬉しいし、店の好感度にもつながるんじゃないか?きっと又来てくれるだろう。 カゲの声が言う。(商売はそんな甘くない!これが毎日だったらどうなんだ?最後の一つまでしっかりと売り上げるんだ・・・・・これが商売だ!)
でもね、私は反論したい。(毎日そんなヘマするようじゃ商売が下手なんだ!おおよその売り上げ数字が読めないなんて、もっと勉強しろ!その上で、たまには損して得しろ!)と・・・・・オマケがどうこうではない。あのすまし顔の応対が気に入らない。もう、行くもんか!!!