赤 い 手 綱

 初恋の馬がダービーに出走、その雄姿を見に、また応援に!カメラ&双眼鏡を×にタスキ掛け
いざ出陣!レース観戦よりパドックに陣取りだ。後日、さんざん撮りまくった一枚を、所属の
厩舎に送ったところ、「丁度、馬主さんが見えていたところへ配達されたので、喜んで持って帰られ
ました。」と、後で
調教師さんからの話し。何と言う偶然か。馬主さんにとっても、フアンからの
写真は嬉しかったらしい。私はもう、有頂天になってしまった。それではと、大きく引き伸ばして
再度お送りしたところ、今度は馬主さんから、礼状と共に、未だ牧場にいた頃の仔馬の写真が
送られてきたのだ。可愛い仔馬、「こんなだったの・・・」今度はその牧場へ行って見たくなった。

「初恋の馬の故郷へ行こう」!ある夏休み、友人と北海道の某牧場へ・・・・それにしてもどう、
行ったらいいのやら、荻伏のバス停を下りたものの途方にくれてしまった。尋ねるにもあまり
人も見当たない。何人か通る。けどなかなか声が掛けられない。二人してだんまり・・・その時、
反対側の歩道を前方から犬を連れたご婦人が来る・・・・・何となく「あの人に聞いてみよう」と、
反対側に渡る。「すみません、これこれ然々・・・・・?」「あぁ、それなら今、息子さんが店にまだ
いるはずだから・・・・」「エッ!ホント?」その人は、すぐ角の食品店の奥さん、犬の散歩だった。
息子さんが某牧場の息子さんと同級生で、丁度買い物に来ていたところだったのだ。何という
偶然だろうか。嬉しさと吃驚!もし他の人に尋ねていたら、又、息子さんが買い物に来なかったら
一足遅かったらとか(これはきっと、赤い糸に違いない)私は気持ちの中で、彼の赤い手綱を
しっかり握っていたのだろう。何ともラッキーなことだった。彼の車で彼の生まれ故郷へ。
彼の母親に会った。もう繁殖馬を卒業、のんびりと草を食んでいた。柵に寄って来た。
(貴女がお母さんなのね〜)まんまるい目に私の姿が映って いた。
牧場の皆さんに温かくもてなされ、お昼までご馳走になってしまった。そしてこの帰り、
あの駅長さんと出会う。