可愛いバレンタイン


 ずっとずっと前のこと、夕方買い物の帰り道・・・・・ベルを鳴らしながら自転車が、私の脇を
通り過ぎた。「プー プー」と、お豆腐やさんだ。先の門で呼ばれたのであろうか、停まった。
母親と小さい女の子が話している。母親はお豆腐を受け取り、女の子は何かを渡していた。
だんだん近づいて行く私・・・・・
「・・・・・・・・」「・・・・・・・・」恥ずかしそうに喋っている女の子とお豆腐やさん。その場へ来た私・・・・・
「わぁ〜嬉しいなぁ〜」お豆腐売りのお兄ちゃん。大事そうに持つ大きな両手には、小さな
チョコレートが・・・・・
そうだったのか・・・・・・と、思わず私も足を止めたのだ。お母さん、女の子、お豆腐やさん、
そして足を止めた全くの他人である私も、みんなそれぞれの笑顔だった。
可愛い、ほほ笑ましいバレンタインデーの出来事である。私は、嬉しくなっちゃったぁ〜。
冷たい手を擦りながらも心はホッカホカだった。