南部風鈴

 毛越寺へ行ったときのこと。友へのお土産に南部風鈴を買う。土産店の軒先は
(りんりん)♪(り〜んり〜ん)♪♪・・・・・うるさいくらい、そして短冊が忙しげに揺れている。風鈴という風情もないが、まあ仕方のないこと。賑やかなことだ。
色も緑系か茶系、微妙に違うし音色も違う。又、下がっている短冊に書かれている句も違う。 私はこういうのに拘る方である。
音色の良いのを、色の良いのをと選んで「これ下さい」と、・・・・・ 店のおばさんは既に包んであるのをよこす。私もう一度「これ下さい」と選んだのを差し出す。   「おんなじ物だよ」とおばさん。 「私、これが欲しいんです。色だって音色だってみな違うでしょう。短冊だって、(五月雨を・・・・・)や (古池に・・・・・)とか
(・・・・・蝉の声)など何種類もあるでしょう。これ下さい」私はがんばった。
「今、空いてるときだからいいけど・・・・・」おばさんはぶつぶつ言いながら箱に収め包んでよこした。 みやげ物店に限らず、よく見かける包装済みのもの、羊羹、漬物の類なら賞味期限の確認ぐらいでいいけど・・・・・たとえそれが大量生産の小物雑貨類の物であっても、私はうるさ型なのか、どれでもいいとは許せない性分だ。