炎を見つめ 瀧を思う 


 寒い夜、ストーブの前に屈みこむ。本体の口を開ける。勢いよく燃えている。めらめらと燃え上がる炎をじっと見つめる。耳を翳す。時間が止まったような静かな夜。時々パチッという音。自分はここにいる。今日一日が終った。いろいろなことが頭をよぎる。だが、まとまらない。
温かい。電気器具のそれとは違う。柔らかな暖かさだ。何かを思いながら頭は空っぽ。そんな時間が過ぎる。 また同じようなことが瀧にもあると思う。勢いよく流れ落ちる瀧を見ていると、
吸い込まれそうな不安 怖さを覚える。何かを感じてしまう。何だか解らない。しぶきが掛かることもある。永劫に・・・・・途絶えることなく・・・・・私が生まれるずっとずっと昔から、戦争があってもオリンピックがあっても、なんら変わることなく、これからも私がいなくなっても水は涸れることなく・・・・・・・この春訪れた乗鞍高原、番所の大瀧を思い出す。こうしている今も、すごい勢いで流れ込んでいることだろう。