アルファロメオ物語


 それは二十世紀の終わり、私の身に起きた、ものすごい出来事でした。
或る福引で、籤運の弱い私が何と外車を、それも真っ赤なアルファロメオを当て
たのですからさぁ大変です!!!
★「うわぁ〜すごい。どうしよう、どうしよう。ほんとどうしよう」
  嬉しいより先に 「どうしよう」の連発。
☆「いったい誰が乗るんだ?」
  悲しいかな私は免許を持っていなかったのです。
★「そうね〜家にはもうスペースも無いし、それに2台もいらないし、いっそ今のと
  換える?」
☆「ダメダ!四駆でないと山へ行けないぞ」
★「そうか・・・・・おお、ロメオ!ロメオ!私はせめて自転車ぐらいで良かったのに・・・
  どうして今、ロメオなの・・・」
  当ったのが半分恨めしい。
☆「じゃー君、今から免許取ったら?」
★「ロメオに乗るために?そうね、この際やってみようかなぁ・・・」
☆「どっちにしてもお金がかかるぞ!!免許取るのに人の数倍、それに・・・・・と」
あぁこれは痛い、きつい言葉。取りあえずレジ袋に入れて持ち帰ったのです。
それから4ヶ月ほど、真っ赤なアルファロメオは箱に入ったまま箪笥の上に眠っていた
のです。眠れる箱のロメオ様です。
明けて二十一世紀!「ロメオを組み立てよう」プラモデルなんて何十年ぶりだろうかと、
手を付けたものの、何とまぁそのパーツの小さいこと、細かいこと。楊枝より細い、仁丹
より小さいそれらの接着に、目はショボショボ、やっとエンジン部分を完成。それが何と
ウズラの卵の大きさです。「もう、やめた!製作一時中止!」という事で、再び眠れる
箱のロメオ様。今では押入れの片隅、箱工場に待機中?・・・・・いいえ、
幻の真っ赤なアルファロメオは、きっと夢の中を走っていることでしょう。